建設業界を辞める前に考えてほしいこと
建設業界は離職率が非常に高い。これは、厚生労働省が発表しているデータからも明らかだ。
若い世代で、この業界の大変さに気づき絶望して辞めていく人、仕事に嫌気がさして辞めていく人、仕事量が多すぎて他の業界に目移りして転職する人、理由はさまざまだ。
建設業界で働く誰しもが1回は、この業界を離れようかな?と思った経験があるのではないだろうか。私も何回この業界を辞めようと思ったことか。
しかし、この業界を辞めたいと思っている人にこそ考えてほしいことがある。
今から話す考え方は、今後のキャリアに活かしていける経験談だと思うので、ぜひ参考にして欲しい。
任された現場を死に物狂いでやり切る
どんなに嫌な現場でも、どんなに苦しい現場でも、現場は必ず終わる。終わりがある。どんなに忙しく、職人との関係が上手くいかなくても、どんな問題が発生しても、現場は必ず終わるのだ。
よく、現場を任されているにも関わらず、途中で辞めていく人がいる。それだけは絶対にオススメしない。理由は単に他人に迷惑がかかるというだけでなく、自分の成長を止めてしまうからだ。
覚えておいて欲しいのは、メンタル的に厳しい現場ほど、自分が成長できるということ。これは私も何度もそういった経験をしてきたからこそ言えることだ。
楽な現場をソコソコこなして、気持ち的にも楽だなと感じているときは、ほとんど成長できていない。しかも、ぬるま湯につかっているので、成長できていないことにすら気づかない。
苦しくてしょうがない現場を1現場やりきるだけでも、その後の自分のキャリアは驚くほど変わっていくだろう。
苦しい現場とはどういう現場か?
実際、「今の現場キツイな」「もう行きたくないな…」と思えるような苦しい現場とは、どのような現場を思い浮かべるだろうか。
苦しい現場というのは単純に、施工条件が悪い現場だけではない。職人と人間関係がうまくいっていない現場、近隣住民との関係構築ができていない現場、工事難易度が高く毎日なにかしらの問題が発生する現場など、要因はさまざまだ。
だが、そのさまざまな要因に対して悩んでいる人は、本当に変える努力をしただろうか?自分にできることは何かと考え、行動に移しただろうか?
きれいごとに聞こえるかもしれないが、苦しい現場は、必ず自分を成長させてくれる。
職人との人間関係が悪くてその時は苦しくても、それでもめげずに一生懸命コミュニケーションを取ってみたり、打ち合わせや管理を行えば、関係性が変わるかもしれない。さらに今後の自分の対応力にも箔が付くだろう。
最初は自分のことを嫌っていた職人も、一生懸命動き、歩み寄ろうとする姿を見せることで、それなりに認めてくれるようにもなる。そうなった時には、苦しかった分、涙が出そうになるくらい喜びを感じることができる。
逃げても良い。でも、諦めるな。
ここで勘違いしてほしくないのは、私はなにも「苦しいことから逃げずに我慢しろ」と言っているのではない。
苦しかったら、逃げても良いと思う。しかし、建設業界において、仕事においては、苦しいと思った時こそが”勝負”ということを忘れないで欲しい。
例えば、自分のミスで現場が止まってしまった場合、その重大なミスは今後自分が成長する上で非常に大切な経験・学びとなる。ミスをした時は、上司や職人、会社から、厳しい言葉を浴びせられることもあるかもしれない。だが、そのミスを無駄にしなければ、今後必ずあなたは成長できる。
ミスをしようと思って、自分からミスをしにいく人間などいない。新人だけでなくベテランであっても、誰でもミスはするのだ。もしミスをしてしまったら、ガッツポーズできるくらいのメンタルを持って欲しいということだ。
ただ、ミスをした時、実際にガッツポーズをしていると「こいつなめてんのか?」と思われて、上司や職人からブチ切れられる可能性もあるので、ガッツポーズは心の中で留めておいてほしい(笑)。
どうしても辞めたいと思ったら
ここまで私の考えを述べてきたが、それでもどうしても建設業で働きたくないと思ったら、それは仕方のないことだ。
建設業である程度の経験を積んだ人ならば分かると思うが、他業種は非常に緩く感じてしまう。転職した人に話を聞くと、こんなに仕事が楽で良いのかとビックリしたと言っていた人もいた。
それだけ施工管理は、膨大な仕事量をこなしていて、誰でもできる仕事ではないということだ。
もし建設業界を離れることになっても、必ず培った経験は大きな武器になるだろう。品質管理、工程管理、安全管理、原価管理という業務は、形は違えど、どの業界に行っても必ず役に立つ。
建設業界で働いて欲しい気持ちは山々だが、建設業界の素晴らしさには、業界にいるうちはなかなか気づかないものなのかもしれない。