眼鏡を拭くサラリーマン

「サラリーマン根性だけの技術者」が建設現場の品質を下げている

現場の品質を下げる「サラリーマン根性だけの技術者」

大きなゼネコンで、最初から大規模な現場に関わってしまうと、「サラリーマン根性だけの技術者」になってしまう確率が高い。

サラリーマン根性とは、自分の担当のところ以外は全く何も分からない、言われたことは一応やるが責任は負わない、など悪い意味で使われる言葉だ。

読者の皆さんも思い当たる節はないだろうか?元請の人間でさえ、「それは私の担当じゃありませんから!」と内容を説明する前に逃げようとする人がいる。非常に情けないことだ。

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優秀な技術者になるための”理想的な現場の大きさ”とは

優秀な建築技術者になるためには、全体を把握できるような、規模が小さい、鉄筋コンクリート造の現場が一番成長が早い!と私は思っている。

もちろん、自分で現場を選べるハズもなく、選べるとしたらゼネコンの規模によって、扱う案件の規模を推定するしかないだろう。

もしあなたが小さな工務店や建設会社に所属していて、施工するのはせいぜい3、4階建てのビルやマンションならば、それは成長できる恰好の現場(教科書のような現場になる)と考え、必死に全体を把握できるように頑張って欲しい!

例えどんなに大きな超高層であろうと、所詮は小さな現場の延長で、職人の数や生コン量、鉄筋量が違うだけでやることは大して変わらない。

だからこそ、中規模現場を徹底的に理解し、全体が把握できるようになれば、超高層の建築工事などのどんな大きな現場に行っても、スーゼネに入ったとしても、自信を持ってやっていけるハズだ。

努力を積み重ねる過程で注意してほしいこと

小規模な現場の中で全体を把握する努力を積み重ねてこそ、「サラリーマン根性だけの技術者」ではなく、立派で正統な技術者になるための着実な道を歩んでいると断言できる。

ただ、注意してほしいこともある。

現場規模が小さいと、施工図面や安全管理などが片手間になり、一番厳しい基準からは外れたレベルに落ち着いてる可能性は否定できない。それを常に念頭に置き、4~5年、3棟ほどの経験を積んだら、もう一段上のレベルに挑戦することを考えて欲しい。

そうすることで後々、規模の大きなゼネコンで、今までより一回りも二回りも大きな規模の建築に関わった時、あなたは『な~んだ!やってることは何ら変わらない!その割には、周りにいる現場管理者たちはなんだか皆よく理解していないようだなぁ』と感じることだろう。

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技術や知識を覚えるには「公共工事」も狙い目

公共工事の割合が高いゼネコンも技術を覚えるには狙い目だ。ただ、そのゼネコンの評判だけは確かめたほうがいい。公共工事は入札のため、中には異常に安い値で落札し、下請けを徹底的に虐めて、利益を出そうとするゼネコンも存在するからだ。

公共工事が100%に近いゼネコンは要注意だ!民間工事とのバランスも確認するべきだろう。公共工事には必ず、コンサルもしくは監理設計事務所が間に入り、杓子定規なことを含め、民間工事では味わえないような勉強ができる。

人に説明する時に、どうしてそうするのか?そうなるのか?その理由は一体どの本のどこに書いてあるのか?あらゆる材料の細かな規定がどうなっているのか?などを知ることができる。これは、民間工事であっても、他人に説明する時などに知識として知っていて損はない。

私の場合は、公共工事のそういった経験を、設計事務所やゼネコン、監理する役人のそれぞれの立場で経験している。これらの経験は、後に海外の政府開発援助の仕事をする時に随分と役に立った。

どんなに立派な組織に所属していたとしても、その中のことや一部のことしか知らないと、「井の中の蛙大海を知らず」になってしまう。技術を学ぶことを第一に考えるならば、大海に出て、色々な世界の様々なやり方を見たほうがいい。

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アジア、アフリカなど海外の建築現場で長年、施工管理に従事している。世界中で対日感情が良好なのは、先人たちの積み重ねである。日本人として恥ずかしくない技術者でいたい。
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