作成が面倒でテンプレートを使って作成した
土木の公共工事では、施工計画書を工事開始前に提出する義務がある。とくに大きい工事となれば、施工方法、品質管理基準、写真撮影箇所といった項目も膨大になる。作成が面倒だと感じている人も多いかもしれない。
この施工計画書をきちんと理解して作成している技術者がどれくらいいるだろうか。
施工計画書は、当たり前がゆえにテンプレート化されていることがほとんどだ。私も、一から作成することが億劫で、少しでも作業を端折るために、テンプレートを使っていた。
だが、このテンプレート化された施工計画書をそのまま現場で使ってしまうと、恐ろしいことが起きてしまう。
テンプレート化された施工計画書の怖さ
現場所長として3回目の現場。所長としての仕事にも少しずつ慣れてきた頃だった。施工計画書の作成も、良くも悪くも慣れてきていた。わたしは横着して、工種が似ていた前回工事の内容を少し変えた施工計画書を作成し、そのまま発注者に提出した。
はじめは何ごともなく順調に工事が進んだ。だが、工事が進捗して3ヶ月ほど経ち、施工計画書の変更が6回に達していたとき、発注者から指摘を受けた。
「今回の舗装工事で使用する材料はRM30ですよね? よく見ると品質管理基準がRM40で出てますよ」
「付随するすべての施工計画書の修正が必要です」
見てみると、たしかに指摘はそのとおりだった。しかし、ここで当たり前に恐ろしい現実を突きつけられる。
施工計画書の変更回数は6回。つまり、遡って全ての施工計画書の修正をしなければならなくなったわけだ。
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終わることのない修正地獄
やっとの思いで施工計画書を修正しても、新たな修正箇所が次々とあがってきた。発注者も忙しいので、修正箇所すべてを細かく確認することはできない。あとになって、「ここも間違ってますよ」と都度教えてくれるのだが、前回の工事内容を流用して、ほとんどそのまま作ったので、今回工事には該当しない、辻褄が合わない箇所が大量に出てきて、いつまで経っても修正が終わらない。
工事が始まって3ヶ月のタイミングといえば、現場も絶賛稼働中。昼間は現場で動けない。夕方はクタクタで、修正に集中できない。まさに修正地獄だった。
「これなら最初からテンプレを使わずに、一から作成したほうが早かったな…」と心から後悔した。
テンプレートを使うことは悪いことではない。しかし、細かな部分は面倒でも一から作成することを、若手の技術者たちにはお勧めしたい。
とくに、工事の要点は自分で整理すること。施工計画書は、工事の基本。この書類に沿って工事が進められていく手順書だ。この工事でもっとも品質や出来形に重要なポイントはどこなのか。どのような施工方法と品質管理で管理を行なっていくのかを理解して施工計画書に盛り込んで、工事関係者が読んで内容を理解できるものでなければならない。
この意識を持つだけで、施工計画書でのミスは減り、クオリティも段違いに上がるはずだ。