施工の進捗率が低い監督員は、施工計画書に問題あり!
近年の工事では、簡単な計画を立てて施工を進めたとしても、法律や工事の決まりなどから、思うように工事が進まないことも多く見られるようになってきました(国の定めた2次製品を使用しなかったことで設置のやり直しを命じられた、という例もあります)。
監督員は1つの工事を請け負うだけで、日々大量の書類作成に追われますが、せっかく完璧な書類を作成したのに、工事の進捗率が全く上がらないとなんの意味もありません。
そこで、なぜ監督員が進捗率を思うように上げることができないのかを、いくつかのポイントに分けて整理していきたいと思います。
ここでいう監督員とは、施工管理技士のことです。私の現場では、監督員と呼ばれているので、以下監督員と称します。
工事の計画工程をしっかり把握しているか?
監督員にとって工事の計画工程を把握することは、工事の進捗率を上げることに直結します。
「当たり前だよ」と思っていても、実はほとんどの監督員がおろそかにしているのが、この計画工程の把握です。工事における種別、工種、数量、製品規格などを頭に完璧にインプットして工事を進めていく監督員が意外と少ないのです。
工事における種別、工種、数量、製品規格などを頭に入れておかないと、現場で施工者に使用材料を聞かれたときに、手元に資料がないと何も答えられなくなり、わざわざパソコンのデータなどを確認しなければならなくなるため、大きなタイムロスが生まれます。
大事なのは頭に入れる事、極端に言えば工事内訳を見なくても、だいたいの工事内容が頭に入っていることが監督員の理想です。これは工事の進捗率にそのまま影響してきます。工事の計画工程が頭に叩き込まれている監督員は、工事の段階が進むにつれ、必要な材料の準備や施工に必要な機材の搬入など、次の作業に必要なものをあらかじめ用意しておくことが出来ます。
優秀な監督員は、進捗率に悪影響が出そうな作業をあらかじめ理解しているため、早い段階で施工工程の変更などを行い、作業効率の向上を図ります。
逆にこれが出来ていない監督員は、そういった準備がおろそかになり、工事が止まってしまうことも多々あります。自分の工事の進捗状況がどうも毎回遅いな、と思う監督員の方は、まずは工事の計画工程をしっかり把握することから意識しましょう。
安全管理の書類に極端に難しい内容はないか?
安全管理は作業員の方々の安全を守るための大事な取り組みです。工事の点数にも、安全管理の書類の内容は少なからず影響してきます。だから監督員は素晴らしい書類を作成して役所に提出します。
しかし、ここに落とし穴がある場合もあります。いくら素晴らしい内容の書類を作成しても、それを実行できなければ意味がありません。過度な内容の書類は後々自分の首を絞めることになります。
極端な例を出すと、「毎日、安全衛生協議会を1時間行う」ことを書類に記入してしまったとします。書類に記入するということは、それを実施した写真が必要になります。工事の点数を上げるために良かれと思って取り入れたことでも、毎日1時間、工事の作業時間が減るというのは大きな問題です。こういったところでも、作業員の作業時間を考慮した安全管理の書類作成が必要になります。
イメージアップ(地域貢献活動)も大事、でも力を入れ過ぎない
現場の作業をそっちのけにして、極端にイメージアップ(地域貢献)活動の実施に力を入れ過ぎて、工事の進捗率を落としている監督員も非常に多くいます。地域のイメージアップに力を入れるのは非常に良い事です。しかし、そこに力を入れ過ぎてしまい、工事の利益が減ってはなんの意味もありません。
工事の優良点が欲しいのは、監督員なら分かります。しかし、まずは監督員として、作業員の利益を考えることも仕事の一環だと私は思います。何事もバランスが大事ということです。
進捗率が上がらないと嘆いている監督員さんで、力の入れる部分を勘違いしている方が多いのは事実です。進捗率は工事にとって非常に重要ですので、どこに重きを置くかよく考えながら書類を作成してみると良いと思います。