僕は現場監督時代、よく1年生の教育係を任せられました。教えるのがうまいと思われていたこともあったかもしれませんが、おそらく僕に任せていれば無理な教え方をしないだろうということだったのでしょう。
もちろん1年生だけではなく、2年生や3年生を任されることもありました。そんな学生から上がったばかりの若手をたくさんみていくうちに、気付くことがありました。
今回はこれをシェアします。
教育にはフェーズがある
相手が1年生の場合、建設業や現場のことは1つも知らない、まっさらな状態から教えることができます。なので、僕なりの理論で、一からわかりやすい言葉を選んで教えることができます。
以前Instagramに投稿した「教育のフェーズ」が体系的に出来上がったのは、これを繰り返してきたからです。階段を登るように順序立てることで、僕の現場を離れて次の現場に行ったとしても、成長し続けることができる「考え方」を植え付けることができます。
ただし、2年生・3年生になると話が全く違ってきます。なぜなら基礎を教えられてきたという「想定」になるからです。すでに学んできたことを踏まえ、階段をもう一段上っていける教育をしていかなければいけません。
ですが、なかなかそうはいかない現実があるのです。
「なんでここを知らないんだ?」だったり、「そんなことをもう知っているんだ!」と思うことがあったり。つまりこれは、教え方に一貫性がなく、マチマチだということです。
「デキる」新人の末路
何も僕が全て正しいことを教えていると言っているのではなく、教えることや順番にムラがあるということです。
階段を1つ飛ばしで教えてしまうと、何が起きるのか。それは、「デキるなこいつ」と、他の先輩に思われてしまうのです。
別にいいんじゃない?と思う人もいますが、そうではありません。過剰に期待したり、むやみに卑下したりすると、相手の性質や能力がわからなくなります。できていないのに、あたかもできるような感じに見せることはできますが、その分だけ大きな期待が乗っかります。
つまり、「このくらいできるだろ?」という期待に対して、「こんなこともできないのか」という感情が襲い掛かってくる可能性が高くなってしまうのです。できると思わせることは、降りられないほど高いステージにあげてしまうということ。そこに積み上げられた階段はないのです。
本当に知ってほしいところを知らず、知らなくて良いところを知っている状態。例えば、順番を丸暗記しただけの取り繕った工程表を描くことはできるが、その理屈を理解しているわけじゃない場合。
見せかけの工程で進んだ現場はどうなるか想像できるでしょうか?確実にぐちゃぐちゃになります。でも、何が原因なのかを探ることも、正常にもどすこともできません。なぜなら、理屈がわからないから。
一度「デキる」のレッテルを貼られてしまった新人は、できなくなることを不安に思います。そしてレベルの高い、忙しい現場に配属されたりします。当然、それなりに一生懸命ついていこうとするでしょう。でも、基礎がなければ応用力がありません。足し算引き算を知らないのに、1つの方程式の解き方を暗記してしまったわけです。
果たしてこれは、新人の責任なんでしょうか?それは違います。では、先輩の責任なんでしょうか?実はそれも違います。
これは、若手教育が悪いのです。
行き当たりばったりで教えることは、ハイレベルな現代においては得策ではありません。整理できないほどの情報があるのですから。どういう順番で、何を教えなければいけないのか。そして何を知ることができれば、次に繋げられるのか。
そういう順番を、会社としてしっかりと作っておき、それに沿って教育をしていく。これによって1年で飛躍的に成長する人材を育成できます。
順番を間違うと、5年たっても10年たっても何もできない、見せかけの人材が育ちます。まずは、教育のマニュアル整備から始めてみてはいかがでしょうか。
※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。