はじめに
今回は基本に戻った内容です。
9月10月から新しい工事がはじまった人、今からはじまる人が多いと思います。
そこで1つの土木工事を題材にして全体の流れを把握できるように解説していきます。
もちろん工事点数を意識した内容ですすめていきます。民間の建設会社に勤める中堅・若手の土木技術者の視点で、公共土木工事(道路・河川)を施工するという条件で解説していきます。
土木工事のすすめ方
- 受注~着工まで
- 着工~中間検査まで
- 中間検査~竣工検査まで
ジョウ所長
しかしそれぞれの段階で「これは押さえておいてほしい!」っていうところがあります!
全体の流れをみながら要点をおさえて解説していきます。
アタマを柔らかくして、楽しみながらご覧ください!
① 受注~着工まで
まず結論は、徹底的に予測して対応です。
予測せずに行き当たりばったりではろくな結果なりません。
受注~着工までの内容は以前YouTubeにて解説していますので、お時間ある方は是非参考にしてみてください。
【土木工事】着工までにする事っ!10選っ!【やること多いっ!】/ YouTube(ジョウ所長の土木技術者サポートチャンネル)
この動画の内容をざっくりですが紹介すると、こんな内容の解説をしています。
- 施工計画書
- 基準点測量
- 各管理者との打ち合わせ・立会・協議
- 実行予算
- 道路使用許可申請書
- 施工体制台帳及び体系図
- 型枠支保工及び足場設置届
- 材料承認願
- 地元対応
- 産業廃棄物処理関係
今回はこの10個にもうひとつ追加したいと思います。
それは、設計照査と詳細設計業務資料を貸与してもらうです。
ジョウ所長
もう少し丁寧に解説すると、まずそもそものお話で、設計照査と詳細設計業務を簡単に解説すると、
設計照査とは
設計図書や現場で疑問に思うことやおかしいところをチェックして書面で受注者から発注者へ提出する書類
詳細設計業務
受注した工事を以前に設計コンサルタントさんが構造や法令に合致するように構造計算や検討した書類をまとめたモノ
簡単ですがこんな感じです!
ジョウ所長
そのヒントを工事着工前に現場技術者がきちんと把握しておくことが非常に重要です!
例えば、法面工で鉄筋挿入工が計画されていたとします。
- 設計の土質はどんな土質で
- 円弧滑りはどのような計算で
- 施工後の引抜試験はどのような条件で
設計されているかは、すべて詳細設計に記述されています。
この内容を把握して現場着工すると、施工中に設計とは違う土質になったり、設計条件とは違う環境になったりしてもすぐに気が付くので、現場対応が非常に早くなり、結果、現場がスムーズに進捗するってことになります。
こんな感じで、設計図書以外の詳細設計まで把握することで現場を広い視野でみることが可能になります。
広い視野をもつためには、徹底的な準備が必要ってことですね。
② 着工~中間検査まで
結論は、中間検査までの施工管理が点数の8割です。
竣工検査は中間検査結果に引っ張られがちだからです。
具体例をまじえながら解説すると、結論を要約すると着工~中間検査までの出来が最後の工事点数へ大きく影響するってことですね。
なので工事前半部分・スタートダッシュの施工管理がめっちゃ重要だよねっ!ってことになります。
ここからは書類と現場の2つにわけて解説します。
書類
基本姿勢は、発注者から言われる前に作成して提出する。
逆に「発注者から言われてから対応する」が一番アカンと思ってください。基本なんでも主体的に先手先手で対応する、ですね。
施工前半で作成する主な書類は、
- 工事打合せ簿(指示・通知・協議・提出・報告等)
- 工事履行報告書・週間工程表・休日作業届等
- 段階確認・立会願
- 工事写真整理
- 日々の出来形管理及び品質管理
- 施工体制台帳・体系図の追加修正
- 材料承認願の追加
- 地元及び各関係者との立会及び立会打ち合わせ調書
- 安全管理等
- 産廃関係の対応
- 創意工夫
創意工夫は最後でええのとちゃいますの?
ジョウ所長
でもぼくのおススメは、「施工中に作成開始しておく」です。
理由は、計画した創意工夫がパッとしなくても、施工中であれば追加・修正できるからです。
経験上、竣工間際に創意工夫をまとめていると気が付くんです…。「あ~この創意工夫パッとせんな~〜〜」と(笑)。
なので施工中にまとめ始めると追加や修正が可能なのでおススメです。少しでも竣工間際に書類を少なくしましょう。
現場
基本的な方向性は現場は施工計画書どおりにいかない…。
そう!現場は生きています!
なので、練りにねった施工計画書であったとしても、そのとおり施工できないってことがザラにあります。
また、最近は気候変動の影響もあり、「雨」「雪」の影響で施工が遅れるなどは日常茶飯事です。
なので日常業務の中で、計画どおりにいかない前提で施工管理するように心がけましょう。
また、現場初期はよくトラブルに遭遇します。
例えば、
- 地元さんから「工事始まって振動騒音がうるさい」
- 河川や水路へ濁水等が流れる
- 施工業者さんから「施工ヤードが想定より狭い」
などなど現場のトラブルをあげ出すとキリがありません。自分自分のテンションも下がりますしね…。
そこで、1つ頭に入れておいてほしいことがあります。
それは、トラブル発生時、工事評価という視点ではマイナスですが、別の切り口もあるってことです。
トラブル時の対応・対処を発注者は逐一見ています。トラブル発生時、冷静に現場をみて的確な対応ができれば、マイナスどころかプラスになるとぼくは考えます。
なのでトラブル発生時は決して落ち込むことなく、いつも以上に冷静かつ迅速な対応を心掛けてください。
③ 中間検査~竣工検査まで
結論はつねに竣工検査を意識することです。
理由は、この時期が一番気が抜けるから。やはり人間なので中間検査が過ぎると気が抜けます。
なので、中間検査以降は常に竣工検査を意識することで、自分自身の緊張感をキープすることを心掛けましょう。
書類
まず「ゴールを設定する」ですね。
パソコン内に竣工検査用のフォルダを作成し、そこへ格納していきましょう。
ポイントは日々の書類と竣工書類用を一緒にするってことです。別々にすると竣工時にまた整理・まとめが発生するので時間がかかります。
そこで日々の書類と竣工書類を合体させて毎日コツコツ積み上げていきましょう。これを意識するだけでも、最後の整理がかなり楽になります。
工事書類作成関連の記事はいくつかありますので、下記から読んでみてください。
追加でのポイントですが、電子・紙にかかわらず、どの書類にも鑑・総括表を作成することです。これは、チェックする側の人(検査官及び今後維持管理でその書類を見る人)への配慮です。
書類を作成したあなたはどの部分に何が記述されているかわかっていますが、チェックする側の人はまったくわかりません。
なので、一つひとつの書類、例えば品質管理ならば
- どこに生コン関連の書類が
- どこに盛土関連の書類が
記述されているか、「目次」を都度作成しましょう。
これ意外とできてない人が多いです。常に相手のことを思う「目配り気配り」の精神でまとめましょう。
現場
工事中盤から終盤は工期が迫ってくる緊張から現場が錯綜しがちです。その結果、現場内が散らかっていき、雑然とした現場内で作業すると思わぬことが発生します。
なので終盤の現場では、週に1度は絶対に整理整頓・片付をおこなって未然に事故・ケガを防ぎましょう!
めちゃくちゃ当たり前のこと言ってますが、人間、期限が迫ってくると当たり前のことができなくなるので、絶対に頭の中に入れておいてください。事故・ケガを防ぐために整理整頓!
※この記事は、『ジョウ所長のblog』の記事を再編集したものです。
土木工事のすすめ方【受注〜着工〜中間検査〜竣工検査】 / YouTube(ジョウ所長の土木技術者サポートチャンネル)