時代遅れもいいとこ
新人を教育するとき、「まずは積算は計算機を使ってやってみるべき」とか「施工図は自分の手で描けるようにならなきゃダメだ」とか言っていませんか?
もしもそれに思い当たる節があるのであれば、ちょっと思い返して欲しいことがあります。
建築士試験の実地試験に関して、未だに手書きの図面を描かせることに「今どき業務で手描きなんてしねーよ」とか疑問に思ったことはありませんか?
こんなにもCADが普及した世の中で、業務で図面を手描きするなんてことは、ほぼなくなりました。にもかかわらず、なんでわざわざそんなことやらせるのか、時代遅れもいいとこじゃないかと思いますよね。
きっと誰もがそんな疑問は持っているはず。
にもかかわらず、新入社員が入ってきたとき「積算を理解するためには、まず計算機を使って手で拾ってみろ」なんていう教育が横行しているように思います。
とても矛盾していないでしょうか。
あなたの住みたい町で”働く×暮らす” 施工管理求人特集【PR】
情報が簡単に手に入る時代
何もこれは積算に限った話ではありません。
最初の1年は、現場で走り回ってみるべきだとか言うこともあります。新人研修に手で図面を描かせる練習をさせるというような話も聞いたことがあります。
まさに支離滅裂。特にこの建設業では顕著だと感じます。
「10年間の下積みがないと、寿司を握らせてくれない」。こんな習わしに関して、文化は大切だと思う反面、10年って長すぎない?って思う自分もいます。
もちろん良い面もあるのかもしれませんが、今の時代においてはナンセンスだと感じています。
時代と共に価値観が変わってきています。昔は小さな町の人たちの中でしかなかったコミュニティは、今ではインターネットを通じて世界中の人たちと簡単に作ることができるようになりました。
それによって、情報を簡単に手に入れることができるようになりました。どんな知識も技術も、より効率的に手に入れることができるようになり、当時の最先端技術は庶民にも使えるものとなっています。
クックパッドで誰でも簡単にプロの味が再現できるようになり、YouTubeを使って歌やダンスで簡単にファンを作ることもできるのです。門外不出の秘伝の味も、芸能界の特権も今や存在しない世の中ということです。
つまり、一生懸命苦労しながら汗水たらして作り上げてきた技術というものは、労せずして継承することができる簡単なものにしない限り、誰もやりたがらない。そういう世界になってしまったということなのです。
時代に逆行している
あなたはそうやって技術を習得できた。その経験は素晴らしいことだと思います。ですが、その経験をそのまま新人に教えるのは違うように思います。
Excelがあるのに計算機を使わせるというのは、ポンプ車があるのにモッコでコンクリート運ばせるようなもの。時代は進化しており、だから効率化が実現してきたわけです。
要するに、業務で積算ソフトを使っているのに計算機を使わせたりするのは、ナンセンスだと言いたいのです。無意味とは言わないまでも、時代に逆行していると言わざるを得ません。
ハイスピードで変化しているこの時代において大切なことは、新入社員にハイスピードで今の皆さんの技術を習得してもらうことです。その上で、皆さんが思いつかないような効率的な技術を新たに作り出してもらうことが大切なのです。
みなさんの責務は、自分たちを超える人物を育てることです。それが進化なのですから。そのためには、教わった通りのことを教えていては間に合いません。
新人が、どうやったら無駄な動きをせず、ハイスピードでみなさんと同じ動きができるようになるのか。それを考えて教育をすることが重要だと考えます。
※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。