焼き鳥

【クイズ】公務員との食事、焼き鳥は何本までならセーフ?

贈収賄の注意が必要な建設業界

建設業界では多額の工事予算を扱うため、他の業界以上に贈収賄についての注意が必要です。

1993年に発覚したゼネコン汚職事件では、政治家の脱税事件の押収資料から、ゼネコン各社から政界に賄賂が送られている実態が判明し、建設大臣や県知事が逮捕されるという事態に発展しました。

これほどの大事件ではありませんが、身近でもこわいお話もあります。

気前の良さが災い? 26万円接待疑獄

ある地方の建設業界のA社長が、入札情報を教えてもらう見返りに県のB職員を接待したとして贈賄罪に問われた事件がありました。この事件では2年間、12回にわたって飲食費や宿泊費など約26万円を支払っていたのです。

しかし、B職員が入札情報を漏えいしていたのはA社長ではなく、A社長の部下の社員に対してでした。A社長には「賄賂を供与した」という認識がなく、容疑を否認しました。

A社長を知る人物は「A社長がプライベートで仕事の話をすることはない」と断言しています。社内でもA社長が仕事の話をすることはほとんどなく、仕事の細かいことは気にかけないそうで、入札情報に興味を示すとは思えないということでした。

もともとこの地方の建設業界では、「積算ソフトの性能の向上で予定価格を高い精度で割り出せるため、リスクを犯して公務員から予定価格を教えてもらうのは割に合わない」と、A社長に対する嫌疑を疑問視する声が上がっていました。

しかも、A社長とB職員は父親の代からアウトドアのレジャーを共に楽しんでいたという友人関係にありました。両氏が大人になっても、一緒に飲んだり、宿泊したりという友情は続いていました。費用は割り勘の時もあれば、どちらかがおごるときもあったようです。

細かいことを気にしないA社長は気前の良い人柄で、友人におごっていただけだったのかも知れません。しかし結果的に、A社長には懲役1年(執行猶予3年)の判決が言い渡されました。B職員は逮捕後に懲戒免職となり、実家の農業を継ぐことになったそうです。

どの行為が「国家公務員倫理規程」に抵触する?

国家公務員の行動を規制するルールとして「国家公務員倫理法」と「国家公務員倫理規程」が定められています。国家公務員が利害関係者から贈与や接待を受けることが禁止されています。

利害関係者とは、許認可・立ち入り検査・契約などの相手方を指します。具体的には、「金銭や物品の贈与」「飲食などの接待」「送迎などのサービス」「ゴルフや旅行」などが禁止されています。

では、ここでクイズです。次の1から6うち、どの行為が「国家公務員倫理規程」に抵触することになるでしょうか?

  1. 公務員の配偶者が知人だったので、祝儀を出した。
  2. 公務員に祝電として漆塗りの箱が付属している「うるしDENPO」(料金は電報料プラス5,000円)を送った。
  3. 公務員にメセナ活動として行うコンサートの無料招待券(1枚3,000円相当)を2枚贈った。
  4. 多数の者が出席する立食パーティーで公務員に無料で飲食物を提供した。
  5. 公務員による工場視察の後に意見交換を行いたいと考えた。しかし、会議室が埋まっていたので喫茶店に移動した。その際にコーヒーとクッキーを提供した。
  6. 公務員に職務として出席してもらった会議が長時間にわたったため昼食(3,000円)及び夕食(3,000円)の両方を提供した。


飲食の提供はいくらまでなら大丈夫?

前掲した1から6の事例はすべてセーフです。6の飲食物の提供については、倫理規程第3条第2項第7号にて『職務として出席した会議において、利害関係者から簡素な飲食物の提供を受けること』ができると定められています。同規程における「簡素な飲食物」とは「食事1回あたり3,000円程度までの箱弁を想定」とされており、3,000円程度であれば「常識的な範囲内」として飲食を提供することは差し支えないようです。

ところで皆さま、すみません。「焼き鳥は何本までならいいのだろう?」と疑問に思って書き始めた原稿だったんですが、調べてみますと、どうも焼き鳥屋さんではなく、「箱弁」が想定されているようです。焼き鳥弁当で3,000円なら、かなりの本数が入っていそうな気もします。というわけで、「公務員との食事、焼き鳥は何本までならセーフ?」の答えは「3,000円程度の焼き鳥弁当」とさせてください(汗)。

1~6の事例に関する見解や解説、その他の事例については、下記のサイトをご参照ください。

参考:人事院ホームぺージ「国家公務員倫理規程 論点整理・事例集

「接待」は悪いことではありません。接待はコミュニケーションの場をつくり、もてなす相手と良好な関係を築くことが目的です。ひと昔前までは、接待による仕事の獲得が当たり前のように行われていました。しかし相手が公務員の場合は気づかいが必要です。

コロナ禍の影響で飲食を共に楽しむ文化は一時的に下火になったような気はします。しかし、なんだかんだといっても建設業界の勇者は夜のお店に行くことが多いようです。

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関西をベースに広告コピー、取材記事、農家レポートなどさまざまな原稿を執筆しています。ギターはスケールに挑戦中です。
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