水道局係長が同級生と海外旅行に行った末路…。刑法197条はデンジャラス!

公務員は同級生と海外旅行に行ってはいけないの?

ある地方のA市水道局係長(45)が設備工事業者と海外旅行に一緒に行っていたことが分かり、収賄罪の嫌疑をかけられました。

  • しかし、入札はこの係長が所属する課とは別の課が担当していました。
  • しかも、係長はこの設備工事業者の社員と高校の同級生だったのです。これはセーフではないでしょうか?

公務員が利害関係のある企業の接待を受けることは、原則として禁止されています。

公務員が、その職務に関して接待を受けた場合、公務員は「収賄罪」(刑法197条)に、接待した企業は「贈賄罪」(刑法198条)に問われる可能性があります。

・刑法第197条
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の拘禁刑に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の拘禁刑に処する。

・刑法第198条
第197条から第197条の4までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金に処する。

【クイズ】公務員との打ちっぱなしはアウト?セーフ?

とくに公務員とゴルフや旅行をすることは禁止されています。そこで接待についての人事院の見解を見てみました。

さて、以下の事例はセーフでしょうか、アウトでしょうか?

  1. 訪問を受けた際に、公務員に文房具を貸した。
  2. 職務で来た公務員を、周辺の交通事情等から相当と認められる範囲で、社用車で送迎した。
  3. 港湾工事の検査で、事務所が雇い入れた民間船に公務員に同乗してもらった。
  4. 公務員と一緒にゴルフ練習場でゴルフの練習をした。
  5. 公務員と一緒にパークゴルフをした。
  6. 公務員と一緒に日帰り登山をした。登山対象の山の最寄りのバス停に集合、解散する日帰り登山だった。


公務員との付き合い方も安全第一

1から6の事例はすべてセーフです。ゴルフ、登山などのデンジャラスな言葉もありますが、セーフです。しかし、A市水道局係長には悲報が待っていました。

結果的に、A市水道局係長はまず、自宅謹慎となりました。これは利害関係者ではなくてもA市の公務員とA市の業務を請け負う設備工事業者が一緒に海外旅行に行くことが、社会通念上好ましくないとして、法令違反とまではいえないが処分の対象となってしまったのです。

その後、水道局係長は主任に降格となりました。しかも、地方紙で報道までされてしまいました。その地方の建設業界の方々に知れ渡ってしまったのです。

社会通念上相当と認められる」か否かは、利益供与の理由、金額、頻度、公務員との関係性などを総合的に勘案して判断することとされていますので、建設業界の方はちょっと気をつける必要があるかもしれません。

グレーゾーンにも落とし穴があります。ゴルフは、打ちっぱなしかパークゴルフにしておいたほうが安全なようです。前掲の事例6の登山の場合は、バス停に集合・解散だったため、旅行ではないと認定されたようです。登山は現地集合・解散として、海外旅行は避けたほうがよさそうです。

これは危ないかなと思ったときは、人事院のホームページで事例をご確認ください。197条のデンジャラスぶりを裏付けるがごとく、実に200ページにのぼる事例集が用意されています。こちらも、安全第一が大切です。

参考:人事院ホームぺージ「国家公務員倫理規程 論点整理・事例集

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関西をベースに広告コピー、取材記事、農家レポートなどさまざまな原稿を執筆しています。ギターはスケールに挑戦中です。
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