鈴木 真菜さん 国土交通省 大臣官房 技術調査課 技術開発調整係長

鈴木 真菜さん 国土交通省 大臣官房 技術調査課 技術開発調整係長

国交省は、どこに転勤しても、楽しいことがきっとある職場

2年ほど前、国土交通省大臣官房技術調査課の山﨑晴香さんに取材したことがある。今回お話を聞いた鈴木真菜さんは、図らずも、山﨑さんと同じポストの後任に当たる。担当も同じ人事と採用だ。

実際に鈴木さんとお話してみると、たしかに元気な方、率直でコミュ力が高い方という印象を受けた。キャリア官僚と言うより、現場代理人のそれに近いと感じた。うまく言えないが、周りをパーっと明るくするなにかをお持ちのようだ。妙な言い方になるが、「ちゃんと人と会った」感じがあった。

そういった感じは、記事中、鈴木さんの発言の随所ににじみ出ている。読めばすぐに感じ取れると思うので、とりあえず読んでみてほしい。

「人の役に立ちたい」という思いから、土木を選んだ

――大学では土木を学んだようですが、土木を選んだ理由はなにかあったのですか?

鈴木さん もともと「人の役に立ちたい」という気持ちがありました。土木は、たくさんの人の命を救ったり、生活を豊かにしたりすることができます。土木のスケール感に惹かれて、土木を学ぼう、土木を仕事にしようと思いました。それで中央大学の土木学科に入りました。

――中央大学の土木に入った理由はなにかあったのですか?

鈴木さん 入学したときはとくにはなかったんですけど、研究室の先生が、河川系の最先端を行くような研究をされていた先生で、それが私にとっては運命的な出会いでした。山田正先生という先生でした。

山田先生が一番光って見えた

山田先生(中央)の誕生日会(鈴木さん提供写真)

――山田先生に惹かれて研究室に入った感じでしたか?

鈴木さん そうですね。山田先生が一番光って見えたので、研究室に入りました(笑)。誰よりもパワフルで、学生に対して希望を持っている先生だったんです。そういうところに惹かれて、山田先生の研究室に入った感じでした。

――研究内容よりも山田先生の人柄に惹かれた?

鈴木さん そうですね、人柄でしたね。今は退官されて、同じく中央大学の研究開発機構というところで教授をしておられます。

――研究室ではどのような研究をしましたか?

鈴木さん 個人としては、気候変動下における河川流量の不確実性を水文統計学を用いて評価するという研究をしていました。また研究室の研究としては、江戸城外堀などの閉鎖性水域の水質浄化の検討に向けた水質調査や、平水時および台風時の利根川で流量観測したり、豪雨災害発生時にはオープンデータから当時そのような局地的大雨が降っていたのかなどを調査したりしました。このように自分の研究の他にも、幅広くいろいろな研究に携わることができたので、さまざまなことに興味を持つことができました。

「ウチ落ちたらどうするんですか?」

――就活はどんな感じでしたか?

鈴木さん 中央大学には、学生が運営する公務員講座というのがあって、みんなで一緒に勉強するんですけど、私が在籍していた研究室の大半の学生は、講座のスタッフとなって、講座も受けることになっていたんです。大学院に行くと決めていたけれど、知らず知らずのうちに、公務員試験の勉強をしていて、受験もしていました(笑)。そのうちに、国家公務員、国土交通省を目指すようになりました。

――国土交通省1本でしたか?

鈴木さん そうです。ほかは一切受けませんでした。筆記試験はすでに受かっていて、面接のチャンスは2回あるので、「絶対受かる」と前向きに考えていました(笑)。面接官の方にも「ウチ落ちたらどうするんですか?」と聞かれましたが、「今回落ちても、また次回来ます」と答えました(笑)。

――国土交通省でなにをやりたいというのはあったのですか?

鈴木さん 河川行政に携わって、災害などで命を落とす方を1人でも減らしたいと思っていました。

――全国転勤も気にならない?

鈴木さん 全然気になりませんでしたね。知らない場所に行けるのは、むしろ楽しみでしたね。

流域治水とインフラツーリズムに携わる

大和川河川事務所在籍中、河川敷のゴミ掃除をする鈴木さん(たぶん前列左端、本人提供写真)

――最初の配属先はどちらでしたか?

鈴木さん 近畿地方整備局の大和川河川事務所でした。流域治水課で、流域治水関係の協議会の事務局のほか、遊水地の計画などに携わりました。大和川流域は、流域治水に関しては全国でもトップクラスに取り組みが進んでいる流域で、市町村の意識レベルも高く、いろいろ勉強になりました。

あとは、大和川流域には亀の瀬という狭窄部かつ地すべり地帯があり、80年前の大規模な地すべりにおいて、国鉄のレンガ造りのトンネルが埋もれたのですが、地すべり対策を行う中、80年の歳月を経て偶然発見された幻のトンネルがあります。そのトンネルをインフラツーリズムに活用するということで、トンネルや最近新しくリニューアルした亀の瀬地すべり歴史資料館の見学ツアーをやったり、川沿いのサイクリングロードでサイクリングイベントをやったり、かわまちづくりの一環として河川敷でイベントを行ったりしました。いろいろできて楽しかったですね。

――いかにも楽しそうですね(笑)。

鈴木さん はい、仕事はただただ楽しかったですね(笑)。人に恵まれたというのもありました。充実した1年間でした。

すさみ串本道路の工事発注に携わる

プライベートでダイビングする鈴木さん(どれかは不明、本人提供写真)

――その次は?

鈴木さん 2年目は、和歌山田辺市にある紀南河川国道事務所に行き、工務第三課の工務係というところで、新規道路改築事業であるすさみ串本道路の工事発注の仕事をしました。初めての工事発注で、かつ発注本数も多かったので、仕事は大変だったんですけど、なんとか食らいついてやっていました(笑)。他の職員も工務は初めてという方が多かったので、教えてもらうと言うより、自分で慣れるという感じでしたね。忙しかったですが、ここでも充実した1年間を過ごせました。

――さすが(笑)。

鈴木さん (笑)。ここでも職場の方々と仲良くさせてもらって、週末はほぼほぼ一緒に遊んでいました。海が近かったので一緒にダイビングしたりとか、職場内の熊野古道を歩く会に所属して、中辺路というルートをみんなで一緒に歩いたりしました。

国交省志望の学生たちと話をするのが、単純に楽しい

――その次が、今いる本省の技術調査課ですね。

鈴木さん そうです。人事と採用を担当しています。

――初めての本省勤務はいかがですか?

鈴木さん まず人の多さにびっくりしましたね(笑)。技術調査課だけで80名ぐらいいるのですが、前の事務所全体とほぼ同じ人数なので、規模感に驚きました。

――部外者ですけど、正直多すぎますね。

鈴木さん (笑)。同じ職場なのに、見えないところにまで人がいるんです(笑)。ラインによって仕事の内容も全然違うので、初めての本省勤務としてとても勉強になる職場です。

――人事採用の仕事はどうですか?

鈴木さん もちろん楽しいです。とくに、国土交通省志望の学生さんたちと話しをするのが、一人ひとりの思いが伝わってきて、単純に楽しいですね。

どこに転勤しても、楽しいことがきっとあるよ

――学生さんからよく聞かれる質問などはありますか?

鈴木さん やはり転勤とかライフイベントのことはよく質問されますね。私はまだ3年目だし、単身なので、「今のところ、私は楽しく仕事している」としか言えませんが、「どこに転勤しても、楽しいことがきっとあるよ」とは言っています。

――本当のことをどこまで言っていますか?

鈴木さん 個人的には、良いことばかり言い過ぎて、入った後に後悔してもらいたくないという思いがあるので、なるべく現実を伝えるようにしています。実際の給料はこれぐらいということで、話をボヤかさないで、具体的な数字で伝えたりもしています(笑)。

――大学に行って説明会をしたりとかもしているのですか?

鈴木さん してます。母校にも行っています。それこそ公務員講座で「先輩に話を聞こう」みたいな企画があって、そういう場で話したりとかもしています。

――学生さんに国土交通省のなにをアピールしていますか?

鈴木さん 所管業務がたくさんあって、仕事の幅が広いことですかね。入省してから、自分の興味に沿った仕事をするチャンスもあるんです。それはアピールするようにしています。あとは、働き方も変わっていることはちゃんと伝えています。

――技術調査課での仕事も、たぶん充実した1年間になるんでしょうね。

鈴木さん そうですね(笑)。

やっぱり、人の命を救う仕事に携わりたい

TEC-FORCE派遣で道路調査を行う鈴木さん(本人提供写真)

――昔に比べれば、本省も残業はかなり減ったそうですが。

鈴木さん 人事の時期は忙しいですけど、それ以外はけっこう早く帰っています。最近は、早く帰って、ジムに通うことを目標にしています(笑)。

――なぜにジムに?

鈴木さん 社会人になって運動する機会が減ったので、体づくり、健康のためにジムに通っているんです。

――今後やりたい仕事はありますか?

鈴木さん 大学で河川について学んだこともあり、河川行政に携わりたいと思っています。前年度、石川県輪島市にTEC-FORCE派遣も経験したこともあり、特に河川防災に関する業務に興味があります。

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