"利益が潤う現場"の共通点とは?利益を出すのも施工管理技術者の仕事

“利益が潤う現場”の共通点とは?利益を出すのも施工管理技術者の仕事

利益を出すのも施工管理技術者の仕事

現場での仕事は安全第一。一方で利益を上げることも求められます。現場勤務に従事する施工管理技術者は、技術力の向上とともに利益をいかに上げるか?という、非常に矛盾した問題を常に抱えています。

安全に、なおかつ最新の技術を取り入れて工事を進めるには、それなりの費用が必要になります。仕事をきちんとこなしてくれる人材を確保しつつ、事故となる要因を1つずつ潰していき、できるだけ速く効率的に仕事が進むように、施工計画や資材・重機の調達計画を立てる必要があります。

しかし、それだけで利益が出るかというと、そうではありません。安全に仕事ができるとか、資材や重機がきちんと現場にあるというのは、環境を整えるにすぎません。人の動き方、動かし方が利益に直結するのです。

利益が潤う現場で分かった「人の動かし方」

利益が潤う現場で見たのは、立場や役職の境界が無くなり、全員がフラットな関係で仕事ができている状況でした。とある高速道路のトンネル工事の現場でのことです。所長・副所長・工事長・工事課長といった役職者やヒラの職員、また職長や作業員といった立場の境界線を無くし、ちょうどよい距離感で人間関係を構築していました。仲は良いのですが、友達という関係ではなく、プロジェクトパートナーと言ったほうがしっくりきます。

役職で人を呼ぶことが無いのはもちろん、時には呼び捨てだったり相手が年上であっても敬語ではなくタメ口を聞いても良い現場でした。「年齢や立場の分厚い壁を取っ払い、皆で一緒に仕事を進めていく!」という、所長方針がそこにはあったのです。

その現場では、規則では無いのですが、あだ名で呼ぶことを推奨していました。名前で呼ぶか、あだ名で呼ぶかは個々の判断にゆだねられていたのですが、これによって人と人との距離感がバランスよくなり、遠すぎず近すぎずという距離感を維持することができたのです。なので、和気藹々としていながら締めるところはしっかり締める、という程よく楽しめる緊張感が醸成されていたのです。

ですので、皆が仕事を遊びのように楽しみ、面白がりながらプロジェクトを進めていたのが印象的でした。いつもどこかで笑い声が聞こえ、表情には元気があふれ、現場の空気はいつも活況でした。現場パトロールや店社の社員の見学などがあったときには、彼らから「こういう現場で働きたい」という声も聞かれました。

そして、この現場は利益がかなり出ており、毎月の飲み会の他にも、BBQや富士登山などのレクリエーションを企画したり、工事の区切りのときには事務所内で焼肉パーティーをしたりしていました。もちろん全て現場持ちで、個々の負担は全くありませんでした。


利益が出ない現場はこんなところ!

一方で、利益が出ない現場も経験しました。以前パトロールで訪問した、ある道路工事の現場では、空気のよどみ方がハンパではありませんでした。事務所に入るなり、「もう帰りたい」という雰囲気に襲われたのです。その場にいたいと思わなくなり、早く離れたい気持ちで一杯でした。

なぜそのような雰囲気になっているかというと、所長以外の人たちが「仕事をイヤイヤやらされている」という感じになっていたからなのです。パトロール当時はそこまで分からなかったのですが、あとから伝え聞いたところによると、その現場に赴任した人の異動希望がかなり多かったらしく、すぐにそこを離れたいと思う人が大半だったとのことです。

人間関係がギクシャクしており、役職者のいうことは絶対で、下にいる人や作業員はその指示に従うことが求められ、まるでロボットのように動いているとのことでした。そのことを聞いてパトロール時のことを思い出し、「確かにみんな表情が無かったな」 と感じたのです。その現場は赤字となったとのことでした。

建設現場は「人の動かし方」が利益に直結する!

では、現場の利益や雰囲気は、すべて所長の腕次第なのかというと、ヒラの施工管理職員にもスキルが求められます。作業員に指示をしたり、現場の方針を決めるのは、施工管理職の仕事だからです。

なので、所長はもちろんですが、それ以外の施工管理職員も、人の動かし方を考える必要があります。それによって利益が大きくなり、仕事以外の楽しみが増えるのなら、人の動かし方をきちんと考えることは取り組む価値が大きいのではないかと思われます。

どうすれば、利益を出せる現場になるのか、今一度、施工管理技士として考えてみてはいかがでしょうか?

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大手建設会社に勤務する30代の建設技術者。 工事費1000億円超の現場で、計画・設計等を担当しています。
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