積算ソフトで入札競争に負けない方法
土木工事を受注するためには、とにかく入札に勝利することが必要です。入札に勝たなければ土木工事も施工管理も何も始まりません。その入札競争に勝ち抜いて、土木工事を受注する際、“強い味方”になってくれる存在が、いわゆる「積算ソフト」です。
これまでの入札経験で培ってきた各発注者の積算に必要な情報・条件などといった入札ノウハウ、そして、積算ソフトに含まれる歩掛りや単価などの精密データ・・・この二刀流をもってして、入札競争を勝ち抜ける、そう信じている方は多いはずです。
しかし、並み居るライバル企業たちがつかめない最低制限価格をはじき出してくれる最強ツールであるはずの積算ソフトにも思わぬ落とし穴があります。公表された予定価格から積算ソフトで「正しい積算」を行うには、経験の知恵やノウハウだけでなく、プラスアルファがなければ思わぬ誤計算を呼んでしまうのです。
積算ソフトの失敗事例その1【端数処理問題】
予定価格から実際の最低制限価格を導き出すときに、端数処理について考慮しておくことは外せないポイントです。しかし、この端数処理条件が反映されていなかった、ということは意外にあるミスです。
1.積算ソフトの設定でどの位で丸めるか設定条件をミスしていた
これはもう救いようのないミスです。積算担当者以外に誰も責められない失敗なので、こんな積算ミスだけはやらかさないようにしたいものです。積算ソフトの担当者に任せっきりにするのではなく、自分自身でしっかり設定チェックをしておくようにしましょう。
2.一般管理費の端数調整を誤って設定してしまった
ほとんどの場合、1,000円未満の端数処理は一般管理費で調整されます。予定価格最低制限価格を算出した場合、この一般管理費で調整される「切り捨てられた端数」が考慮されていないと、真の意味での最低制限価格を算出することはできません。
積算ソフトの失敗事例その2【単価設定問題】
毎年改定されている「建築工事県単価表」にない資材の単価設定は頭を悩ませるところです。
単価条件設定が厳しすぎた(一番安い資材価格を見積もった)ために、失格となってしまった、逆に、一番高いクオリティで見積もったために入札に勝てない、ということもあります。
日頃の情報収集で得るしかない情報を、積算ソフトのデータのみに頼っていてはまずいときもあるのです。一番採用されている資材納入業者から、最低3社以上の業者見積もりの比較平均価格を当てはめるのも良い手段でしょう。積算ソフトにできない「足で稼ぐ」苦労が必要な場合もあります。
積算ソフトの失敗事例その3【直接工事費問題】
直接工事費と共通仮設費の積上げからはじまって、積算ソフトが「正しく」導き出したはずの最低制限価格でも、入札に勝てない場合もあります。積算ソフトで計算すれば、必ず「勝てる入札」が可能になるのなら苦労はありません。
大きな可能性として挙げられるのが、見えていない「直接工事費」の可能性です。もし複数の直接工事費があって、それぞれの端数丸めが行われていたらどうでしょうか。加えて、共通仮設費は、直接工事費から処分費を差し引いたものに率を乗じて算出しますが、その数字も変わってきます。積算ソフトではカバーできない情報もあるのです。
積算ソフトを妄信するな!
土木積算ソフトには、例えば、ガイアGaia9、ATLUS REAL(アトラス レアル)、メビウスZEROなどなど優秀なソフトがあります。発注者ごとに最適な歩掛、単価、損料、経費、低入札基準、端数処理などを自動設定できる積算ソフトのほか、個人事業者や中小企業に最適化した安価な土木積算ソフト(頂ITADAKI)も登場するなど、積算ソフトはとても便利です。
しかし積算ソフトを使いこなしつつも、その一方で積算ソフトを妄信しないようにすることも大事なのかもしれません。単純な誤計算、積算ミスで受注を逃さないように注意したいものです。