最初に学ぶべき施工図は、本当に「躯体図」で良いのか?

最初に学ぶのは躯体図?

現場に入って数年経過し、ある程度の経験や知識を積むと、図面の作成やチェックの業務を割り当てられるようになってきます。そこで、上司から言われるのが、こんな言葉ではなでしょうか?

「仕上げの図面はまだ難しいから、とりあえず躯体図からチェックしてみるか?」

躯体図に比べて、タイル割り図や平面詳細図などの仕上げの図面は情報量が多く、図面の読解力や経験がないと良い図面に仕上がらないことが多いので、いきなり仕上げの図面からスタートさせる先輩たちは少ないでしょう。

しかし、本当に躯体図からのスタートで良いのでしょうか?今回は躯体図についての私自身の考えをお伝えさせていただきます。

そもそも躯体図とは?

まずは、意匠的な面での躯体図の意味から考えていきましょう。

そもそも意匠的な意味での躯体とは、「最終形の建物から、仕上げが無くなった状態」であるともいえます。つまり、コンクリートを打設して型枠の脱型も終了して、「さあ、いまから仕上げ工事が始まるぞ」という状態が躯体としての完成形です。

だから、躯体の後に行われる「仕上げの厚みや納まり」が分かっていないと躯体図は完成しないのです。

具体的には、

  • サッシ廻りの納まりに対する「チリ」や「逃げ」の寸法を把握する。
  • タイルと石が仕上がって同じ仕上がり面になるための「仕上げに必要な厚み」を理解する。

ということを行っていないと、最終的に「建物を美しい作品」として仕上げることができません。

だから、「躯体図を理解するためには、仕上げの納まりが一通り分かっていないと出来ない」という考えより、最初に学ぶべきは「仕上げのディテール」ではないか?という意見を述べる人もいます。

でもやっぱり最初は躯体図

しかし、躯体図にはもう1つの側面があります。それは「構造図を適正に表現をすること」という意匠的ではなく、構造的に躯体図に取り組むという見方です。

おそらく、「とりあえず躯体図」という諸先輩方の多くは、「意匠的」な面よりも「構造的」な面のほうが強いのではないでしょうか?

というか、まずは「構造図を理解して欲しい」という気持ちがほどんどだと思います。

だから、施工図チェックの経験がない若い方々は、諸先輩方のチェックした「仕上げのディテール」を元に意匠関係のチェックを行えば良いので、構造図を穴が空くほど見ながら、符号の1つ1つからチェックすることをお勧めします。

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大学工学部を卒業後、大手ゼネコンに入社。駅前再開発工事や大型商業施設、教育施設、マンションなどの現場監督を担当している30代の1級建築施工管理技士。新人時代の失敗で数千万円の損失を出した経験から、日々の激務に追われながらも、新人教育に熱意を燃やしている。現場でのケンカの回数は30回ほど。
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