竣工検査で検査官が出来形に個人的主観を求めすぎる問題

今回は、現場で何度も話題になる「検査官が出来形に個人的主観を求めすぎる問題」について書いていきます。

検査の場で「なんでここはこんなになっているの?」「コレ規格値入っているんだろうけど、、、なんかおかしくなぁーい?」と言われて、根拠のない個人的主観で分からないままモヤモヤしたこと、ありますよね。

じゃあ、その“合格ライン”って、一体どこにあるのか。って思ったことありませんか?

そもそも出来形は「検査官の感覚」では決まらない

まず大前提です。出来形が合格か不合格かは、検査官の気分や感覚で決まるものではありません。

国交省の「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」に書いてあります。『受注者が測定した各実測(試験・検査・計測)値は、すべて規格値を満足しなければならない』と。

逆に言えば、規格値さえ満たしていれば、それは合格ということになります。

さらに、設計値と実測値を対比した出来形管理図表を作って管理すること、そして実測値が規格値に対して偏ったり、バラツキが大きいときは原因を究明し改善することまでが基準に書いてあります。

ちなみに測定する箇所数についても、「基準で『◯◯につき1箇所』となっている項目は、小数点以下を切り上げた箇所数で測る」と書いてあります。測る場所の数まで正確に決まっているわけです。(管理値が多い分には問題ない)

ここ、すごく大事なんですが、判定の物差しは「規格値」であって、「検査官が個人的に欲しい主観」ではありません。これは私の意見というより、基準にそう書いてあるという話です。

そもそも規格値って、誰がやっても同じ基準で合否を判断できるように決められているものだと思うんです。検査官の機嫌や好みで合格ラインが変わったら、業者はたまったもんじゃない。

だから物差しが共通化されている。これは発注者にとっても受注者にとっても、フェアな仕組み。

そういう前提があるので、もし検査の場で規格値を超える精度を求められたら、本来は「その根拠は、どの基準のどこに書いてありますか?」と聞いていい話なんです。

まぁ実際にその場で言えるかどうかは、立場と元請さんとの関係性次第です(笑)。ひろゆきのように「それあなたの主観ですよね!?」とは言えないですけどね(笑)。

法面工や各工種で実際に決まっている「許容差」は、意外とおおらか

「規格値、規格値って言うけど、法面はどうよ?」って話をします。われわれ専門業者では常識ですが、簡単に書きますね。

国交省の出来形管理基準(共通編)だと、

  • 吹付工(モルタル・コンクリート)の厚さは、設計厚が5cm未満なら-10mm、5cm以上なら-20mmまでが許容差。
  • 吹付面に凹凸がある場合は、最小吹付厚で設計厚の50%以上、平均厚で設計厚以上を確保すればよい。
  • 法枠工(現場打・現場吹付)だと、延長Lが-200mm、法長は10m未満で-100mm、10m以上で-200mmまでが許容差。

数字を並べてみると分かりますが、許容差は基本「マイナス側」、つまり“設計より薄く・短くなりすぎない”ための管理なんです。コンマ何ミリで神経戦をする世界では、本来ないわけです。

たとえば、法長12mの法枠なら、規格値の読み方としては設計より20cm(-200mm)短くならない範囲に収まっていれば満足、ということになります。意外とおおらかでしょ?(笑)

各工種、同じように結構緩いんですよ。土木はとくに!

吹付厚の「最小は設計の50%以上、平均で設計厚以上」という考え方。これ、検査で薄い場所があったときは切り札ですね(笑)(書いてある以上は)

たまたま薄い一点を見つけて「ダメだ」と言われても、基準は最小厚と平均厚で見るルールになっていると説明できます。

といっても、この数字を絶対に下回ることはまずありませんし、あったことがありません(たぶん)

絶対に規格値以上の仕上がりで設計以上の面積ですからね。

規格値があいまいな工種は「施工計画」で決めるもの

法面の世界って、基準の表にズバッと数字が載っていない項目も結構あります。たとえばグラウンドアンカーや鉄筋挿入工の削孔長など。

「削孔長は設計長以上を確保する」のが当たり前なんですが、じゃあその測り方や合否を、誰の判断で決めるのか。

これも基準に答えが書いてあります。

「工事の種類・規模・施工条件などによってこの管理基準で測りがたい場合、あるいは基準・規格値が定められていない工種については、監督職員と協議の上で施工管理を行う」

最初の協議は施工計画書になります。われわれであれば、一般的な普段使用している施工計画を出して、それが通ればOKなはず。検査時に後からとやかく言われる筋合いは無いわけです。

しかも検査官の主観で、もしくはドコどこの業者がこうやって、あーやってとか検査時に言われても「知らんがな!」って感じです(笑)。

つまり、基準に無いからといって、検査官が一人で「俺がダメと言ったらダメ」と決めていい話ではない。

一番最初に協議して決めるものなんで、協議に何か言いたければ最初に出てきて言うか、役所側で統一しておくべきなんです。

まぁ無理な話なんですけどね。。。

検査官と闘うために!(笑)

じゃあ実際どう立ち回るか。

基本中の基本ですが、その現場の規格値を全て頭に入れておく、です。

判定基準を知らないと、言われるがままになります。これが一番効果あります。その周辺の知識は全て頭に!

そして、写真と記録で“逃げ道を塞ぐ”。出来形の測定状況、不可視部分、出来形立会確認など。これを一目で分かる写真でしっかり残しておく。

国交省の基準でも、完成後に見えなくなる箇所は写真管理基準に沿って撮って保管し、請求されたら速やかに示すことになっています。

要は、ちゃんと撮ってあれば問題ないし、検査官側の言いたい放題はさせないってことです。

また、協議は絶対に残す。現場の事細かい協議をしっかり残して担当者に言った言わないが無いように。口約束は検査の場で簡単に消えます。

ぶっちゃけ、検査官だって人間です。準備が甘い業者には強く言うし、データと写真でビシッと固めてくる業者には、変なことは言いにくい。

結局、求めすぎを防ぐ一番の方法は、こっちが基準と記録で武装しておくことなんです。攻めの守り、って感じです。

検査官が厳しいのは、別に悪いことばかりじゃないと思っています。緊張感があるからこそ、現場の質も保たれる。

私も監督だったころ、厳しい検査官に育ててもらった部分は確かにあります。次回こそは、次回こそはって思っても、同じ検査官に当たったことないですけどね。

ただ、その厳しさが「基準に基づいた厳しさ」なのか、「個人の感覚の厳しさ」なのかは、まったくの別物です。

前者はありがたく受け止める。後者は根拠を聞いて、規格値と協議記録で淡々と返す。

われわれがやるべきは、感情でぶつかることじゃなくて、規格値という共通言語で会話することなんだと思います。

それが結局、自分の現場と職人を守る一番の盾になりますからね。

検査を受けている若いエンタ

そして、今後起こるであろう検査は検査官が未熟で検査になるのか?って問題。

最近の役所も若い子がやっているのはイイのですが、あまりにも素人。その上の課長や、下手すりゃ部長までも素人・・・

ホント役所も人手不足でなんともならん状態!!!私的には政治のミスだとは思いますが、今さらなんとしようもない・・・

今後われわれの業界もどうなっていくのか?

※この記事は、『新エンタの法面管理塾』の記事を再編集したものです。

この記事のコメントを見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!

関連記事はありません

大手法面専門建設会社に就職後、32歳で独立。あまりの暇さに「新エンタの法面管理塾」というブログを開設し、法面のノウハウを公開しています。
新エンタの法面管理塾 ⇒ http://norimen.net/