【 黒舗装 vs 白舗装 】コンクリート舗装の新技術「1DAY PAVE」とは?

アスファルト舗装(黒舗装)とコンクリート舗装(白舗装)

道路の舗装といえばアスファルト舗装が圧倒的に多いですが、最近ではセメント業界や生コン業界がコンクリート舗装の普及に力を入れています。両者はその見た目の色の違いから、黒舗装(アスファルト)と白舗装(コンクリート)と呼ばれ、日本でも1960年(昭和35年)頃までは主要幹線道路の半分はコンクリート舗装でした。

しかし、高度経済成長期の急激な交通量の増加に伴い、全国的に道路整備が急ピッチで進められることになり、初期の建設コストが安いことと早期交通開放が可能ということで、アスファルト舗装がシェアを伸ばしていったのです。また、当時は既設のコンクリート舗装に損傷が多く、またその補修技術も十分ではなかったこともあり、よりアスファルト舗装に取って代わられていきました。

日本でもコンクリート舗装の威信回復を!

現在の日本では94%近くがアスファルト舗装ですが、一方で海外の状況を見ると、隣の韓国では高速道路の3分の2、主要都市幹線道路の3分の1がコンクリート舗装、アメリカでも4割近くはコンクリート舗装なのです。

確かに初期建設コストはアスファルトよりも高く、養生期間が必要となるので早期開放が難しいというデメリットもありますが、長寿命・高耐久・環境保全や資源の有効活用などの視点から考えるとコンクリート舗装のメリットは数多くあり、日本でもそのシェアを伸ばしていこうとコンクリート業界全体で取り組んでいるのです。

実際、共用後25年程度で比較すると、コンクリート舗装はメンテナンスがほとんど不要であるのに対し、アスファルト舗装は2〜3回の打替え補修が必要となるので、ライフサイクルコストの観点から見るとコンクリート舗装の方が2割程度低く抑えられるとされています。


早期開放ができるコンクリート舗装「1DAY PAVE」

コンクリート舗装の普及を進めるにあたり、デメリットの解消が必要不可欠となります。その中でも「道路をいかに早く開放できるか」が重要です。そこで開発されたのが早期開放型のコンクリート舗装「1DAY PAVE」。1DAY PAVEとはその名の通り、「施工後24時間で必要とされる強度発現を可能」にした技術であり、これまでのコンクリート舗装の常識を覆したのです。

1DAY PAVEの基本コンセプトとしては、早強セメントを使用、水セメント比を35%前後にし、高性能AE減水剤を使用する、となっていますが、夏場など気温が高ければ普通セメントでも可能です。スランプは15cm前後なので特別な機械を必要とせず、施工性も良いのです。

発展途上の新技術「1DAY PAVE」

1DAY PAVEの施工マニュアルはセメント協会が発行しているので誰でも簡単に情報を入手することもできますが、まだまだ発展途上の新技術ではあります。水セメント比を抑え、高性能AE減水剤で流動性を確保していることで、普通のコンクリートよりも粘性が強く、ブリーディングがほとんど無いのが特徴の一つで、養生剤などを使って仕上げなくてはなりません。また、施工直後の風や直射日光によってプラスチックひび割れが出やすいので、シート養生を行った方が良いなど、いくつかの注意点はあります。

しかしながら、原油価格によって材料費が変動するアスファルト舗装と違い、コンクリート舗装は材料供給も安定していますし、1DAY PAVEは大型車の燃費向上、ヒートアイランド対策にも効果があることが報告されています。舗装の現場に関わる技術者の方々には、環境的な視点や長期的な視点で捉え、ぜひこの1DAY PAVEを使ったコンクリート舗装という新技術を積極的に採用して欲しいと願います。

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異業種から生コンクリート業へ転身したコンクリート技士。旧態依然とした特殊な業界、悪しき慣例などに唖然としたものの、業界をより良くしたいという想いのもと日々孤軍奮闘しています。 建設現場において重要な材料であるコンクリートについて、業界内部の裏事情や新しい技術など生コン屋目線で赤裸々にお伝えします。 「コンクリート主任技士」「コンクリート診断士」取得挑戦中。
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