工事検査官に「見てもらう工事検査」から「見せる工事検査」への変革!

工事検査官に「見てもらう工事検査」は古臭い!

「もう工事検査の話かよ~」って思ってしまう、そこのあなた!

「工事検査は、工事検査官に書類を見てもらう」という意識は、もうやめませんか?

常に受け身の状態で、工事検査を受けるのって辛いですよね。次は何聞かれるのだろう、どんな質問が来るんのだろう・・・いつもドキドキしていたらストレスがたまってしまいます。これからは「見せる工事検査」へ変えていきましょう。

もともと検査していた側の私が言うのだから大丈夫!難しく考える事はありません。工事検査官が何を確認したいのか、何を聞きたいのかなど、聞かれる前に答えてしまえば良いだけです。

じゃ、工事検査官は何を聞きたいのか?

答えは簡単、考査項目に記載されている内容こそ、相手が聞きたいことです。考査項目以外の質問は、あえて言うなら工事検査官の趣味の世界です。なぜなら、考査項目以外は評価項目ではなく、点数につながらないからです。しかし、そんな趣味の質問も蔑ろには出来ませんから、真摯な対応が重要になってきます。

見せる工事検査へ「検査項目の再確認」

国土交通省の発注工事における考査項目について、今一度、確認しましょう。

評価項目 細別 考査内容
1.施工体制 Ⅰ.施工体制一般 ・施工体制及び施工管理体制の評価
Ⅱ.配置技術者 ・現場代理人、主任(監理)技術者、専任技術者等の職務の執行及び技術的判断に関しての評価
2.施工状況 Ⅰ.施工管理 ・施工計画書に基づき、適切かつ効率的な施工管理を実施しているかどうかの評価
Ⅱ.工程管理 ・適切な工程管理を実施しているかどうかの評価
Ⅲ.安全対策 ・安全管理措置を適切に実施しているかどうかの評価
Ⅳ.対外関係 ・対外調整、周辺環境対策などに対して、適切に実施しているかどうかの評価
3.出来形及び出来ばえ Ⅰ.出来形 ・目的物の出来形の水準を評価
Ⅱ.品質 ・目的物の品質水準を評価
Ⅲ.出来ばえ ・目的物の仕上げやすりつけなどの出来ばえの評価、及び機能の評価
4.工事特性 Ⅰ.工事特性 ・施工規模や工法などの難しさ、厳しい自然環境・社会条件に対して高度な技術力をもって対応したものの評価
5.創意工夫 Ⅰ.創意工夫 ・施工、品質、安全衛生などについて、創意工夫をもって対応したものの評価
6.社会性等 Ⅰ.地域への貢献等 ・環境保全、地域とのコミュニケーションや地域活動への参加、地域への援助等で、地域に貢献した内容の評価
7.法令遵守等 ・関係法令などを遵守して、無事故・無処分で工事を実施したかどうかの評価
8.総合評価技術提案 技術提案履行確認 ・総合評価落札方式において技術提案を求めた工事について、その履行状況を評価

上表を確認したら、考査項目運用表で、詳細に考査項目を研究します。

工事検査は、考査項目運用表に基づいて実施され、評価されるわけですから、どのように資料を整理するか、いかに見やすく簡潔に、工事検査官にどうアピールするか、しっかり作戦を練っておきましょう。

見せ方一つで、工事検査官の印象が変わります。最初の数ページを見ただけで、工事検査官はしっかり整理されている書類か否かの臭いを嗅ぎつけます(工事検査のプロフェッショナルですから)。

工事検査官は、百戦錬磨のプロです。書類のまとめ方、アピールの方法をしっかり作戦立てましょう。

見せる工事検査へ「検査書類の整理」

監督職員は、日々、工事検査を意識しながら、品質管理や出来高管理、安全管理など、必要な書類を随時整理するべきです。そのサポート役として、施工管理技士が率先して仕事をするのが肝要です。

くどいようですが、「もうそろそろ工事検査だし、書類の整理でも開始するか~」なんていう状況からは、一刻も早く脱出しなければなりません。

日々、品質管理や出来形管理、写真管理をすれば、おのずと検査書類は完成します。検査書類を整理するため、工事完成後に書類を準備する時間は、本来不要です。

日々やるのが大変だと主張する監督職員、施工管理技士の方は、普段から書類整理が出来ていない証拠となります。普段の施工管理、品質管理について対応できていない未熟な技術者だということです。

考査項目にも「書類を共通仕様書及び諸基準に基づき適切に作成し、整理しているか」「日常の出来形管理、品質管理を的確に行っているか」と記載されているように、「日常の」管理が求められています。

よって、普段から「工事検査」を意識して整理することが大切です。後回しにすると、必ずボロが出ます!

見せる工事検査へ「パワーポイントの有効活用」

工事検査は、受注者さんのプレゼンテーションの場だと認識して下さい。

では、工事検査でいつプレゼンすべきか?

検査の最初に行われる「工事概要の説明」で全てプレゼンしましょう。

ここで、誤解しないように一言。

工事概要の説明は発注者(監督職員)が行うことが基本です。しかし、受注者さんが実施してはダメという決まりはありません。

じゃ、何を、どのように見せるのか?

当然、電子による検査になりますから、パワーポイントを有効活用しましょう。ゴチャゴチャした文言を極力少なくし、見た目で勝負します。見せる項目は、工事全体が分かるダイジェストにしちゃいましょう。

具体的に言うと、考査項目のほとんどが分かるパワポを作っちゃいましょう。工事検査官に聞かれる前に説明して、先手打っちゃう作戦です。

  1. 工事概要
    工事名・工事場所・工期・請負代金・発注者(監督員名等)
    受注者(現場代理人・監理技術者・品質証明員等)・工事数量 等
  2. 施工状況【施工管理・工程管理・安全対策・対外関係】
    工事着工前・完成後の写真・
    ゲートやポンプの製作状況・施工方法、製作機器完成状況・据付状況
    施工管理の状況写真・品質証明員による社内検査状況 等
  3. 出来形・出来ばえ【出来形・品質・出来ばえ】
    出来高や品質の水準が評価出来る代表的なグラフや写真 等
  4. 工事特性
    本工事現場固有の自然環境や社会条件に対する対応が分かる資料 等
  5. 創意工夫
    本工事で実施した創意工夫の代表的な写真 等
  6. 社会性等
    本工事で実施した地域貢献等が分かる資料等 等
  7. 法令遵守
    日々のKYK状況や新規入場者教育・社内パトロール・機器類の始業前点検状況 等
  8. 総合評価技術提案
    総合評価技術提案の履行状況が分かる資料
  9. その他
    イメージアップ、新技術の活用、御社としてアピールしたい事項 等

基本的に、パワポを作成するために、新たな資料を作成する必要はありません。検査書類から抜粋すれば良いのです。

また、全ての写真や資料を取り込みすぎると、膨大なボリュームになり、見ている側に飽きが生じるので、伝えたいことを簡潔・的確にまとめることが重要です。

うまく伝えることで、工事検査書類を改めて見る必要性が低下します(全てちゃんとやってると理解します)。工事検査官は忙しいので、出来る限り短時間に終わらせたいのです(沢山の工事を検査しなければならないので)。

これでお互いがwin-winになること間違いなし。あとは、皆さんのセンス次第です。

工事検査官に「評価してもらう技術」も大事

工事検査で肝要なのは、せっかくの成果を工事検査官にきちんと評価してもらいましょう、ということです。

良い点数とるためにはどうすれば良いのかということも、監督職員とそれをサポートする施工管理技士にとって重要なスキルの一つです。工事検査官にきちんと説明し、きちんと「評価してもらう技術」を養うことも忘れないようにしましょう!

ちなみに、私が携わっていた工事の検査時間は1時間もかかりませんでしたが、優秀な工事評価点数を頂きました。

工事検査の評価点は、受注者の評価点と思われがちですが、携わっている監督職員の評価点です。工事検査官には真面目に、真摯に対応し、事故なく竣工したことを大いにアピールしましょう!

ピックアップコメント

私の住んでいるところはパワーポイントなどを使ったプレゼンは禁止になりました。評価の対象では無いとの事です。苦労した点などは口頭で説明してくださいとの事です。

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「失敗しても怒られない」元・格闘家が建築施工管理技士を目指すワケとは?
某省庁OB。数多くの土木工事等に従事。 退職後、受注者としてのスキルを高めるため、民間企業で修行し、現在は発注者支援業務に従事中。技術提案、工事費積算、現場管理、完成図書作成、CALS/EC等々のスキルあり。
自分の持っているスキルを存分に周知し、皆様方の一助となれれば幸いです。
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