1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 安全管理「作業主任者の選任・職務と安全衛生教育」
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第38回目は、安全管理その2「作業主任者の選任・職務と安全衛生教育」のポイントを押さえます。
「作業主任者の職務」は、前の記事の「元方事業者の職務」と合わせて覚えておくと覚えやすいです。まずはどのような作業に作業主任者が必要なのかチェックしましょう。
作業主任者の主な選任業務一覧
作業主任者は、危険を伴う作業を安全に行うために選任される役職で、技能講習を修了したものから選任されます。試験では、どのような作業を行う場合に作業主任者を選任しなければいけないかが出題されます。
作業主任者の選任が必要な主な作業
作業主任者を選任すべき作業 | 作業主任者の名称 |
掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業 | 地山の掘削作業主任者 |
土止め支保工の切りばり又は腹起しの取付け又は取りはずしの作業 | 土止め支保工作業主任者 |
型わく支保工組立て又は解体の作業 | 型枠支保工組立て等作業主任者 |
高さが5m以上の足場・つり足場・張出し足場の組立て、解体又は変更の作業 | 足場の組立て等作業主任者 |
高さ5m以上のコンクリート造工作物の解体又は破壊の作業 | コンクリート造の工作物の解体等作業主任者 |
コンクリート造の橋梁(高さ5m以上であるもの又は橋梁支間30m以上である部分に限る)の架設又は変更の作業 | コンクリート橋架設等作業主任者 |
酸素欠乏危険場所における作業 | 酸素欠乏危険作業主任者 |
高圧室内作業(圧気工法) | 高圧室内作業主任者 |
1級土木施工管理技士の試験では、作業主任者の選任が必用な作業はどれか?という問題が出題されます。
誤りの選択肢として出題される作業は、「既製コンクリート杭のくい打ちの作業」「鉄筋の組立て作業」「コンクリートの打設作業」です。これらは高さが何mであろうと、作業主任者が必用な作業に指定されていないため誤りになります。上記の指定のある作業の高さの規定を下回る数値の場合も誤りとなるので要注意です!
作業主任者の選任に関する練習問題
【練習問題】
◇ 次の(1)~(4)の記述のうち、労働安全衛生法令上、作業主任者の選任を必要とするものはどれか。
(1) 長さが18mの既製コンクリート杭のくい打ちの作業
(2) 高さが5m の構造の足場の組立て又は解体の作業
(3) 高さが3.5 m のコンクリート造の工作物の解体又は破壊の作業
(4)高さが4m、支間が25 m のコンクリート製橋梁上部構造の架設の作業
解答(2)…くい打ちの作業は作業主任者の選任は不要。コンクリート造の工作物の解体又は破壊の作業は高さ5m以上、コンクリート製橋梁上部構造の架設の作業は高さ5m以上であるもの又は支間30m以上である部分で作業主任者の選任が必要となる。よって(1)(3)(4)の作業は作業主任者の選任は不要である。足場の組立・解体作業は高さ5m以上の場合、作業主任者の選任が必要である。よって(2)が正答となる。
作業主任者の職務
作業によって、多少は異なりますが下記の3つが代表的な作業主任者の職務となります。
- 作業方法を決め、作業員を直接指揮する。
- 器具、材料、工具等を点検する。
- 安全帯等保護具の使用状況を監視する。
試験では、作業主任者の職務に該当する業務はどれか?という問題が多く出題されます。
では、作業主任者の職務にあたらない誤りの選択肢となる業務は何か?それは、前の記事で勉強した元方事業者の職務に当たる業務はすべて誤りとなります。
- 現場の巡視
- 足場組立て解体等危険個所の立入り禁止措置
- 強風や大雨など危険時の作業中止の決定
- 足場の組立図や施工図等、計画書の作成
- これらは元方事業者の職務のため、作業主任者の職務にはあたりません。
作業主任者の職務に関する練習問題
【練習問題】
◇ 次の(1)~(4)のコンクリート造の工作物の解体等の作業における危険の防止に関する記述のうち、労働安全衛生法上、不適当なものはどれか。
(1)事業者は、高さが5m以上のコンクリート造の工作物の解体又は破壊の作業を行う場合には、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任しなければならない。
(2)コンクリート造の工作物の解体等作業主任者は、外壁、柱等の引倒し等の作業を行うときは、引倒し等について一定の合図を定め、関係労働者に周知させなければならない。
(3)コンクリート造の工作物の解体等作業主任者は、作業の方法及び作業者の配置を決定し、作業を直接指揮しなければならない。
(4)コンクリート造の工作物の解体等作業主任者は、器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除かなくてはならない。
解答(2)…一定の合図を定め、関係労働者に周知させるのは、作業主任者ではなく、事業者(元請)の行うべき責務である。前項で勉強した元請の責務と作業主任者の職務はこのように関連して出題されるため、合わせて覚えておきましょう。