土木施工管理技士の転職タイミング
建設業界では、バブル崩壊やリーマンショックなどの影響で公共工事が激減。その影響で土木施工管理技士の大量のリストラがあり、建設業界で働く人数も大幅に減った。
しかし、その後、東日本大震災の復興事業や安倍政権の誕生で、土木施工管理技士の需要が大幅に高まった結果、現在の建設業界は、土木施工管理技士の深刻な人材不足に悩まされている。土木施工管理技士の求人数は、転職に困らないほど多い。
実際に私の勤めている建設会社も、土木施工管理技士の資格をもった人材を強く求め、採用活動を行っている。特に1級土木施工管理技士は需要が高く、資格を持っているだけで会社は優遇してくれる。1級土木施工管理技士は業界では難易度が高いと思われがちだが、試験の合格水準は下げられており、これは土木施工管理技士の人材確保のために国がとった政策の影響だと考えられている。
現在、土木施工管理技士の需要は高まってきており、土木施工管理技士が転職するなら今かもしれない、と私を含め、多くの土木施工管理技士が考えている状況だ。土木施工管理技士の求人数も、スカウトの話も増えている。
土木施工管理技士の高齢化と求人
私が働いている現在の環境では、土木施工管理技士の有資格者は40代以上の方がほとんど。20代の土木施工管理者を私は実際に見たことがない。地方では、それだけ若い世代の土木施工管理者が足りていない。
若者の間では、建設業界は先行きが不安といったイメージが定着している。その結果、若い世代の土木施工管理技士の人材不足が発生。建築の分野は建築家のかっこいいイメージもあるせいか、まだマシなのだが、土木のイメージは相当に悪い。
土木施工管理技士の需要が高まっている今だからこそ、建設業界の悪いイメージの払しょくと、優秀な高齢の土木施工管理者から若者への技術継承が大きな課題になってきていると、現場で痛感している。土木施工管理者の求人は、会社の存続とも密接な関係にある。
即戦力の土木施工管理者と求人
しかし、単に現場の管理や測量ができるだけでは、現在の建設業では全くといっていいほど戦力にならない。実力のある土木施工管理者が必要だ。現場の求めている人材は、施工も行える管理者である。
私の請け負った現場で、2人の対照的な管理者がいた。1人は管理も施工も普通にこなす施工管理者、もう一方、管理は優秀だが施工が全くできない管理者。2人の施工者が同じことを言うと、現場の人たちは決まって前者の言うことに耳を傾ける。「施工」を行うことができる土木施工管理者なので、説得力があるからだ。
自分自身に施工する実力があると、周りは不思議と耳を傾ける。しかし実際に現場で働いている方々は、管理の事を理解していない方がほとんどだ。だからこそ、施工ができる管理者が、現場の人たちに「施工」で示す力が求められてきている。
そのためにも、若い世代の建設業界への入職を促し、施工の技術を継承することが重要になっている。しかし、土木施工管理者の求人に応募が来ない状況はかなり深刻だ。
土木施工管理技士の中途採用
現在、土木施工管理技士の採用形態は人材不足の影響で、中途採用でも新卒採用と待遇が変わらない傾向にある。私の勤め先でも新卒と中途採用の待遇に変わりはなく、逆に土木施工管理技士の有資格者の中途採用は、雇用条件が良い場合もある。土木施工管理技士の過度の人手不足のため、優秀な人材が欲しい証拠だ。また、ヘッドハンティングも増えてきており、土木施工管理技士は、実力とコネクションさえあれば、十分に高収入を狙える職種である。
現在の土木業界は、次世代の施工者を育成するため、若い世代の採用を積極的に行っている。雇用条件も、バブル全盛期の頃までとはいかないが、少しずつ見直され好条件の企業も多く出てきている。土木施工管理技士の求人数は、全国に数えきれないほどある。
若者たちが抱く建設業界に対する悪いイメージのうち、最も多いのが「労働の割に給料が安い」といったイメージだ。しかし、実際には、やり方次第で、他業種よりも稼ぎやすい職種でもある。土木施工管理技士の資格を取得し、キャリアアップする土木施工管理技士は少なくない。大手ゼネコンに転職し、年収1000万円プレーヤーになった土木施工管理技士も実際にいる。また、1級土木施工管理技士を取得し、独立開業している人もいる。
採用形態が好条件になりつつある今、若者に建設業への入職を強くアプローチしていくことが必要だ。有名なゼネコンでも、文系出身者を技術者として採用しようとする動きも出てきたほど、若い土木施工管理技士は人手不足だ。
土木施工管理技士の独立開業
建設業界は他業種に比べて、独立開業しやすい職種といわれている。2級土木施工管理技士の資格を取得すれば、一応自分で会社を起こすことも可能だ。しかし、土木の経営は難しく、何より資金繰りが一番の課題となる。
工事の収入よりもまず多額の人件費、機械のリース代、燃料代など様々なお金が出費として出ていく。その結果、資金繰りに困り経営難に陥る企業が多いのも事実だ。
だからこそ、今の施工管理者には経営していく力が求められている。全く独立をする気がない土木施工管理技士でも、土木の管理の現場に携われば、自ずと工事費と利益が合うか、という問題に直面する。そうなったときに、ある程度の仮定した予算をデータとして打ち出す力も必要になってくる。現在の土木業界は電子入札システムになっているなど、意外とパソコン社会なので、パソコンの知識も勉強しておいた方が良い。
東京オリンピックの開催や災害が続いている今の日本において、建設業の若手の人材不足は本当に大きな問題となっている。私も日々業務の中で、人材の少なさに頭を抱えている。会社が求人しても土木施工管理技士からの応募がないのだ。土木施工管理技士は間違いなく、今から急激に需要が高まる資格。一人でも多くの若者が建設業界に興味を持ち、未来の優秀な土木技術者に育ってくれることが今の建設業界には必要だ。