【1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策】安全管理その6「安全対策(車両系建設機械・移動式クレーン作業・酸素欠乏症等防止規則)」
【1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策】の第42回目では、安全管理その6「安全対策(車両系建設機械・移動式クレーン作業・酸素欠乏症等防止規則)」について、勉強のポイントをまとめていきます。
車両系建設機械の安全対策
車両系建設機械の安全対策では、次の3点がよく出題されます。
- 事業者は、あらかじめ作業箇所の地形や地質の調査を行い、現場条件に適した作業計画を定めなければならない。また工事区間を明示し、立入禁止措置を行う。
※「調査や作業計画の作成を、下請業者や作業主任者に任せる」といった記載があると誤りです。
- また、事業者は労働者が作業計画書通りに作業を行っているか巡視しなければならない。
※「有資格者が機械の運転を行っている場合は、作業計画書通りの手順の作業を行っているかの確認は不要である」との記載があると誤りです。
- 現場で使用する建設機械は、運転者、取扱者を選任し、当該建設機械に表示する必要がある。
※元請業者は建設機械の持ち込みに際し、運転者・取扱者を明示したシールを貼り付けさせる現場が多いです。
移動式クレーン作業の安全対策
移動式クレーン作業の安全対策では、用語に関する問題と施工に関する問題の2パターンが出題されます。下線部は、特に注意が必要です。
〇 用語に関する問題
- 吊り上げ荷重→吊り上げる事のできる最大の荷重のこと。ジブの長さを最も短くし、クレーンの傾斜角も最大にした状態で吊り上げる事のできる荷重(フックや吊り具の重量を含む)。
- 定格総荷重→ジブの長さやクレーンの傾斜角といったクレーンの使用状況に合わせたクレーンが持ち上げられることのできる荷重のことで、フックや吊り具の重量を含む。
- 定格荷重→ジブの長さやクレーンの傾斜角といったクレーンの使用状況に合わせたクレーンが持ち上げられることのできる荷重のことで、フックや吊り具の重量を差し引いた、実際に吊上げることの出来る荷重のこと。
試験問題では、「定格荷重」と「定格総荷重」がよく出題されます。「フックや吊り具の重量」を含むかどうかで誤りか正しい記述かどうかを判断しましょう。
また、「定格荷重」とはクレーンの状態に合わせた最大の荷重を表す言葉です。「定格荷重を超えて荷重をかけられる」という記述があった場合は、どんな条件であろうと誤りとなります。
〇 施工に関する問題
- 強風時は吊り荷が風であおられ、転倒などの危険があるため作業は中止しなければならない。
- 吊り荷を上げた状態のままで、運転者は運転席を離れてはならない。
※「安全を確認するため」「作業主任者指揮のもと」など、もっともらしい条件がついていても、吊り荷を上げた状態のまま運転席を離れることは禁止されています。
- 原則、クレーンで労働者を吊り上げてはならない。ただし、作業場やむを得ない場合で、吊り具に専用のとう乗設備を設ける場合のみ労働者を吊り上げることができる。
- クレーン機能付きバックホウでクレーン作業を行う場合は、車両系建設機械と移動式クレーン双方の資格が必用となる。
安全対策(移動式クレーン作業)の練習問題
【例題】次の記述は正しいでしょうか?
◇クレーンの定格荷重とは、「吊り荷」と「フック」「その他吊り具等」の重量を合計した吊り上げ許容荷重のことをいう。
解答×…定格荷重は負荷させることができる最大の荷重から「吊り荷」と「フック」「その他吊り具等」の重量を控除した荷重のことをいう。
◇事業者は、ドラグショベルによりクレーンモードで吊り上げ作業を行う場合、車両系建設機械の運転資格者に特別教育や技能講習を省略して作業をさせることができる。
解答×…ドラグショベルは通常は掘削等の作業を行う建設機械である。クレーン機能は備わっているが、クレーンとして使用する場合は、つり上げ荷重によって、特別教育、技能講習、または免許が必要となる。
酸素欠乏症等防止規則
酸素欠乏症等防止規則では、用語の定義と作業主任者の職務について出題されます。
〇 酸素欠乏症等防止規則の用語の定義
- 酸素欠乏…空気中の酸素濃度が18%未満の状態
- 硫化水素中毒…硫化水素濃度が1/100万(10ppm)を超える空気を吸入し生ずる症状が認められる状態
- 酸素欠乏等…空気中の酸素の濃度が18%未満である状態、または空気中の硫化水素濃度が10ppmを超える状態。つまり、酸素欠乏の状況もしくは硫化水素中毒のいずれかの状態にある場合を指す。
※「酸素欠乏症等には硫化水素中毒状態は含まない」との記述があると誤りです。
- 第二種酸素欠乏危険作業…酸欠・硫化水素中毒の両方のおそれのある作業
〇 作業主任者の職務
- 直接指揮、呼吸器等の使用状況を監視する。
- 測定器具、換気装置等の器具、設備の点検を行う。
- 第一種酸素欠乏危険作業箇所では、作業開始前に空気中の酸素濃度を、第二種酸素欠乏危険作業(酸欠・硫化水素中毒の両方のおそれのある場合)箇所では、空気中の酸素濃度および硫化水素濃度の両方を測定しなければならない。
※「どちらかのみが許容値内であることを確認して作業を開始した」という記述があると誤りである。
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