「IT技術を拒否する建設現場」だからこそ売れる、電子小黒板「BB工事くん」の秘密

「IT技術を拒否する建設現場」だからこそ売れる、電子小黒板「BB工事くん」の秘密

「IT技術を拒否する建設現場」だからこそ売れる、電子小黒板「BB工事くん」の秘密

後発組の電子小黒板「BB工事くん」が現場に浸透する理由とは?

施工状況を確認するための悪しき風習(?)である「黒板記入」。その手間をなくしたいという現場の声から着想を得て開発されたのが、電子黒板(電子小黒板)だ。国土交通省が発注する土木工事では、2017年2月から電子小黒板の活用が認可され、営繕工事でも2017年4月から電子小黒板の運用がスタートしている。

すでに電子小黒板のサービスを提供する企業は多く、知名度が高い商品や大手企業の商品など、電子小黒板のサービスは出揃った感がある。しかし、ライバル会社が群雄割拠する中、株式会社ビッグブラザーズシステムは、電子小黒板「BB工事くん」の開発に乗り出した。明らかな後発組だが、その“独特なセールス方法”がウケて、「BB工事くん」はじわじわと建設現場に浸透してきている。

建設現場における「IT技術への拒否反応」を逆手にとったともいうべき「BB工事くん」のセールス方法と、「BB工事くん」が現場で親しまれている理由を探るべく、株式会社ビッグブラザーズシステムの営業部部長・田島健太さんに話を聞いてきた。

電子小黒板「BB工事くん」を開発した株式会社ビッグブラザーズシステムの営業部部長・田島健太さん


電子小黒板の認知度はまだ低い?

「電子小黒板の存在自体が、どこまで建設現場に浸透しているのか疑問」。田島さんは自分の足で毎日現場を歩き回っているが、そこで出会う技術者や技能者の中には、電子小黒板のことを知らない人も多いという。彼らに電子小黒板「BB工事くん」の説明をすると、そんな便利なサービスがあることに目を輝かせる人も少なくないそうだ。「高齢の方々だけではありません。スマホを自由自在に操っている若者でも、電子小黒板のことを知らない場合が多いです。電子小黒板の説明をしたら、“マジすげえ”と感動する20代の職人もいました」。

他社の電子小黒板サービスの中には、「数万ダウンロード達成」とうたっている広告も見かけるが、実際の建設現場では、まだまだ電子小黒板の認知度は高くないようだ。特に、規模の小さい現場や中小零細企業で働く職人ほど、電子小黒板の存在を知らない傾向が強い。田島さんが「BB工事くん」の機能をプレゼンすると、その場で購入を即決する人や「社長に教えたいから資料をくれ」と職人たちが群がってくる場合もあるという。

では、「BB工事くん」のどこがスゴいのか?

電子小黒板「BB工事くん」の開発経緯

ビッグブラザーズシステムが電子小黒板「BB工事くん」の開発に着手したのは2016年8月。「他社の電子小黒板よりも、かなり遅いスタート」だった。そもそも電子小黒板を作るきっかけも偶然だった。

電子小黒板「BB工事くん」の撮影画面

スマホアプリの開発を得意とするビッグブラザーズシステムは当初、大規模修繕工事を手掛ける株式会社エーアールエーと共に、リニューアル工事に活用できるドローンシステムの開発を目指していた。「ドローンを使ってマンションの外壁調査をする」など、現場の生産性を向上させるためのスマートフォンアプリの開発だ。しかし2015年4月、首相官邸にドローンが落下する事件が起き、「街でドローンを飛行させることは難しくなり、実用化する目処が立たなくなってしまった」。そして、このドローンシステムのプロジェクトは、次第にフェードアウトせざるをえない状況になっていった。

そうした折、「現場の運営を効率化するために排除すべきムダは、他にも色々ある」という話がエーアールエーの現場サイドから出てきた。その一つが、工事写真や台帳管理に関するムダだった。電子小黒板の事業には、すでに大手企業も参入していたが、ビッグブラザーズシステムは、早速エーアールエーの現場改善に貢献するため、開発から半年でシステムを構築した。それが電子小黒板「BB工事くん」だ。エーアールエーの現場代理人や職人たちの意見に耳を傾け、使いやすさを徹底的に追求。2017年10月にJACIC(一般財団法人日本建設情報総合センター)の信憑性確認の認可も得た。いわゆる改ざん検知機能というやつだ。もちろん公共工事にも対応できる。

「まだ他社への本格的な展開は始まったばかりですが、BB工事くんはシンプルで使いやすいということもあって、徐々にお客様は増えてきています」。電子小黒板「BB工事くん」の反響は上々だ。

「iPad(=モノ)を売る」という逆転の発想の電子小黒板

まず電子小黒板「BB工事くん」の特長で驚くのは、「BB工事くん」はアプリではなく、「BB工事くん」をインストールしたiPadそのものを「モノ」として売る点だ。月々の課金もない、完全な売り切りだ。「BB工事くん」の受注があるとアップルストアへiPadを買いにいく。

「建設現場はまだまだアナログです。アプリとかクラウド、ソフトウェアなどはいくら説明しても〝未知との遭遇〟を毛嫌いする人、苦手意識を隠せない人も多い。そもそも端末をお持ちでない方、ソフトのダウンロードの仕方すらわからない方も多いです。そこで、最初から“モノ”として提供することにしました」。

それだけではない。電子小黒板「BB工事くん」の購入者にiPadを届ける際は、操作説明だけでなく、現場で使えそうな他のアプリもインストールしてあげるし、iPadの各種設定、wi-fi設定も行う。購入後のアフターサポートも無償だ。まるで街の電気屋さんや酒屋さんの御用聞きのようなことまでしてくれる点が、「IT技術に拒否反応を示しがちな建設現場」でウケている。レンタルも可能だ。

「売れたらおしまい、ではなく、現場で実際に使っていただかなくては意味がありません。BB工事くんを通じて、iPadなどIT技術を現場運営に活用するキッカケにもなればと思っています」。

シンプルな機能で愛される電子小黒板「BB工事くん」

電子小黒板に限らず、この手のサービスは機能が煩雑で操作が難しくなりやすい。その点も電子小黒板「BB工事くん」は考慮している。

「お客様のご要望を聞いていると、ついつい“あれも、これも”と機能を追加してしまいがちで、特定ユーザーの要望を取り入れた結果、その他の方々にとっては不要な機能も実装しそうになります。しかし使わない機能は、IT操作が不得手な職人さんにとって、苦手意識を助長することにつながりかねません。現場での操作性を考えると、どの現場にも共通する最小公約数の機能にしないと考え、BB工事くんは極力シンプルであることを心掛けました」。

電子小黒板「BB工事くん」の黒板編集画面

たしかに、他社の電子小黒板を利用する職人の中には「複雑で使いにくい」という意見の人も少なくない。機能が多いことはありがたいのだが、機械に疎かったり、慣れていない人からすれば、ややこしいばかりで、余計なお世話になってしまうこともある。

しかし電子小黒板「BB工事くん」の場合、工事現場の「名前」「種類」「場所」の3つを設定するだけで、あとはiPadで現場を撮影すれば、写真内に黒板が表示されるという、なんともシンプルな仕組みとなっている。JACICの「改ざん検知機能」にも対応しているので、撮影時点で画像にロックがかかり、後から修正・加工をしようとしてもすぐに発覚してしまう。つまり、操作性だけでなく、安心も兼ね備えた電子小黒板といえる。

電子小黒板「BB工事くん」は台帳作成も簡単!

電子小黒板で面倒なのは写真管理だ。数百枚にも及ぶ現場の写真整理は、考えただけで頭が痛くなるという人もいるだろう。しかし「BB工事くん」なら写真をパソコンへデータを転送・保存するだけで簡単に写真台帳をまとめられる上、データ改ざんや画像エラーもチェックできる。さらに、ボタン一つでExcel、PDF形式での台帳作成もでき、面倒な写真整理やデータ入力からも解放されるため、会社に戻ってからの残業や自宅での作業が必要なくなる。

電子小黒板「BB工事くん」の台帳編集画面

実際、「BB工事くん」を導入した現場の作業効率は大幅に改善している。「BB工事くんを使う前は、現場での仕事が終わった後、夜中2時頃まで写真整理をしていたという建設技術者の方からは、BB工事くんのおかげで毎日約2〜3時間の時間削減につながったと言う声を頂戴」しているという。

電子小黒板「BB工事くん」は、CALSモード(国交省に提出するためにデータを軽くする機能)にも対応しているため、作った台帳をその場でメール送信することも可能だ。

電子小黒板「BB工事くん」は「建設現場の作業効率化=働き方改革」に貢献

建設業界での有力な営業方法は、いまだに足を使った営業、FAX、DMが主流だと言われている。それほど建設現場とウェブの世界は距離が遠いのが現実でもある。

今後、建設現場にIT技術を普及させるためには、大上段に構えるのではなく、電子小黒板「BB工事くん」のように、街の電気屋さんや酒屋さんの御用聞きのようなサービスが、まだまだ必要なのかもしれない。

電子小黒板「BB工事くん」は、建設業界に今必要とされている“+α御用聞きサービス(?)”を通じて、電子小黒板の普及による建設現場の作業効率化と働き方改革に貢献していく。

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