コンクリートの施工不良を救う「打ち肌の色合わせ補修」とは?

コンクリートの施工不良を救う「打ち肌の色合わせ補修」とは?

コンクリートの施工不良を救う「打ち肌の色合わせ補修」とは?

コンクリートの「打ち肌」は、施工管理者の能力バロメーター

土木、建築を問わず、生コンは主要材料として利用されている。そして、施工管理者の関心事の一つは、きれいな「打ち肌」をつくることではなかろうか。

コンクリート打設時に手間をかければかけるほど、「打ち肌」の表情は凛とする。

一方、粗雑な管理を行えば、型枠を外したときに、コールドジョイント、豆板、ひび割れ、ピンホール、水道(みずみち)など、様々な施工不良が「打ち肌」に露見してしまう。

つまり、施工管理の巧拙は、そのまま「打ち肌」に現れるといってもいい。コンクリートの「打ち肌」は、施工管理者の能力を測るバロメーターでもあるのだ。


打ち放しコンクリートの「打ち肌」はトラブルの原因に

しかし、生コン打設は、変数だらけの非常に管理が難しい工程である。気象条件、作業員のモチベーション、生コン工場の製造能力、生コン車の台数、当日の渋滞状況などなど、多くの要因が重なるため、施工管理者が希望する通りに生コンが供給されるとは限らない。さらに予期せぬトラブルも起こりうる。

そして、半製品(生コン)を変数だらけの現場で成型するのだから、どんな経験者でも「完璧な打ち肌」は期待できないのが現実だ。

例えば、【写真1】は、型枠を外した際に発覚した充填不良個所を、グラウトで補修した痕である。最近では、生コン打設の施工不良についても、さまざまな補修工法が確立されているので、コンクリート診断士などのアドバイスを仰ぎながら、適切な補修・補強を施せば、構造上の機能には全く問題ない。

【写真1】充填不良個所をグラウトで補修した痕。断面修復で機能は保全したものの美観上の問題が残る。

ただし、これが打ち放しコンクリート(仕上げ無し)だった場合、きれいな「打ち肌」を求める発注者や施主に、顔向けできない問題となってくる。コンクリート打ち肌の施工不良は、施主や発注者、設計事務所などパートナーとの関係性をギクシャクさせかねない。事実、【写真1】の現場では、取り壊して再施工することが検討されたほど、深刻な事態に発展してしまった。


コンクリートの施工不良に対応できる「打ち肌の色合わせ補修」

そこで注目を浴びているのが、「コンクリート打ち肌の特殊補修(色合わせ補修)」だ。「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」は、特殊な補修技術として、まだ認知度は高くないが、これを知っておけば、型枠が外れて愕然とした際、施工不良への対処方法が一つ増えることになる。いわば「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」は、困ったときの「お守り」と言える。

【写真1】の補修箇所に「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」を施したのが【写真2】である。

【写真2】「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」を適応。補修箇所が見えなくなり、自然な打ち肌が再現されている。

最近は「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」に関する無料セミナーもあり、なかにはCPDSのユニット対象のセミナーもある。しかし、セミナーを受けたからといって、ありとあらゆるコンクリート打ち肌の色合わせ補修ができるようになるほど甘くない。

セミナーで習得できるのは、広範な色合わせの知識体系の序論程度。さらに高度な技術が要求される場合(本実や浮造りなど)は、「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」の専門的な技能者へ仕事を依頼すべきだろう。

「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」セミナーの様子。実際に道具を使ってコンクリート打ち肌をべニア板の上に再現。

初めての打ち肌完成

生コン打設管理では、とかくトラブルが発生しやすい。

日本には100億立方メートルといわれるコンクリート構造物があり、その打ち肌すべてが今後も劣化していくため、いずれ新しく作るよりも維持管理するほうの市場が大きくなるかもしれない。

そうなってくると、「コンクリート打ち肌の色合わせ補修」の市場は、今後ますます伸びていきそうだ。

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なまこんにちは!生コン業界の破綻児、元気な生コンネットワーク(GNN)の設立発起人、ポータルサイト「生コン」の主宰。水の次に流通する材料「生コン」にすべてをささげる漢。保有資格は、1級土木施工管理技士、コンクリート診断士、コンクリート主任技士。
http://www.nr-mix.co.jp/ (ポータルサイト「生コン」)。
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