打ち放しコンクリートの「打ち肌」はトラブルの原因に
しかし、生コン打設は、変数だらけの非常に管理が難しい工程である。気象条件、作業員のモチベーション、生コン工場の製造能力、生コン車の台数、当日の渋滞状況などなど、多くの要因が重なるため、施工管理者が希望する通りに生コンが供給されるとは限らない。さらに予期せぬトラブルも起こりうる。
そして、半製品(生コン)を変数だらけの現場で成型するのだから、どんな経験者でも「完璧な打ち肌」は期待できないのが現実だ。
例えば、【写真1】は、型枠を外した際に発覚した充填不良個所を、グラウトで補修した痕である。最近では、生コン打設の施工不良についても、さまざまな補修工法が確立されているので、コンクリート診断士などのアドバイスを仰ぎながら、適切な補修・補強を施せば、構造上の機能には全く問題ない。
ただし、これが打ち放しコンクリート(仕上げ無し)だった場合、きれいな「打ち肌」を求める発注者や施主に、顔向けできない問題となってくる。コンクリート打ち肌の施工不良は、施主や発注者、設計事務所などパートナーとの関係性をギクシャクさせかねない。事実、【写真1】の現場では、取り壊して再施工することが検討されたほど、深刻な事態に発展してしまった。