豊洲市場の建設工事に参加した施工管理技士にインタビュー
豊洲市場(東京都江東区)の建設工事をめぐって、小池百合子・東京都知事や、大手ゼネコンに関する報道が再び加熱しています。
こうした一連の報道について、実際に豊洲市場の建設工事に参加した施工管理技士は、どう思っているのでしょうか?
ゼネコン名や工事名を伏せるという条件で、施工管理技士Aさんがインタビューに応じてくれました。
豊洲市場の施工管理者が語る、マスコミと発注者に対する「不満」
――豊洲市場の報道について、実際に工事に参加した建設技術者として、どう見ていた?
施工管理技士A 事実と異なる内容を自称「建築エコノミスト」が語ったり、偏向的な報道が多かったりして呆れた。
工事としては契約・設計の内容を満たしたものを施工し、検査に合格している。それなのに、計画や設計の不備が、施工したものに転化されることへの憤りはある。
――豊洲市場の追加工事の入札不調などを受けて、日本経済新聞が書いた“小池知事に激怒 ゼネコン「豊洲の乱」”という記事をどう思う?
施工管理技士A 話題を集めるために少数のマスコミが勝手に言い出しことでくだらないと思っている。マスコミは「反小池」になったが、「親ゼネコン」にはなってはいない。ゼネコン(公共工事)は、マスコミの格好の餌食であることに変わりはない。
今まで無理して入札を行ってきたし、人手が足りない状況の中で、わざわざ赤字の仕事を受ける必要はない。金額設定、工期設定の甘さがあることへの責任が常に発注者でなく、施工者に負わされることへの不満はある。
――安全対策工事の入札工事不調が頻発していることをどう思う?
施工管理技士A 仕様を見ていないのでなんとも言えないが、他に仕事がある。ボランティアではないので儲からなければやらない。
――工期も逼迫している中、ゼネコン関係者から小池都知事についてどういう意見がある?
施工管理技士A 技術、コストを見て妥協すべきだし、小池都知事はそれを理解して都民へ説明すべき。施主も設計も東京都民も「水」を甘く見すぎ。
――守秘義務もある中、会社内や技術者間で、どんな意見があった?
施工管理技士A 一般常識では理解されないし、納まらないところもある業界なので、特に気にしていない。
――豊洲の工事で印象に残っていることは?
施工管理技士A 施工者が計画したほうが納まりもコストも最良。
――豊洲の工事は他の現場と何か違いましたか?
施工管理技士A 汚染土壌の有無。市場という特殊用途。
豊洲市場の施工管理技士が指摘する「東京都の建設業改革」の問題点
――予定価格の事後公表、1者入札の中止など、小池都知事による東京都の入札制度変更についてどう思う?
施工管理技士A 誰でもできる業界、規模ではないので、変更してもあまり変わらない。根本的な問題を理解していないので特に意見はない。
――小池都知事の「民間に比べて東京都の工事は高い」という発言についてどう思う?
施工管理技士A 民間が安すぎるだけ。かといって、東京都も高いとは言えない。下請けや作業員への適切な支払いを考慮すれば高いとは思わない。
――東京都などが実施している「週休2日モデル工事」をどう思う?
施工管理技士A 多少は残業時間は少なくなるが、根本的な解決にはならない。
――技能労働者の高齢化が進展しているが、今後若手を確保できる見込みはある?
施工管理技士A ない。