土木がわかるCADオペが全然足りない!
私はCADオペとして、土木の現場を中心に建設業で5年以上働いてきました。
最初はCADの操作しかできなかったのですが、今では白紙から図面を起こせるようになりましたし、数量を拾ったり、報告書を取りまとめたり、簡単なものであれば、施工計画書も作れるようになりました。
そして現在、土木建設業の現場を異動するたび、どこの現場でも耳にする言葉があります。
「CADオペが足りない!」
この言葉を聞くと、CADを操作できる人が足りない、と捉える人が多いのですが、実は「土木がわかるCADオペが足りない」という意味なのです。CADオペの転職サイトや求人サイトでは分からないと思いますが、土木建設業の現場が欲しがっているCADオペとは、ただのCADオペではなく、次のようなCADオペなのです。
- 土木の知識を持っているCADオペ
- 土木の図面を読めるCADオペ
- 土木の構造物のイメージができるCADオペ
- ざっくりな指示で仕事を進められるCADオペ
土木のCADオペの育成方法
土木のCADオペとして私を育ててくれた方は、私に作業を頼むとき、一度自分でやってみせてくれる人でした。ときには、紙の図面に赤のボールペンや青のボールペンなどを使って、図や文字を描きながら指示を出してくれたのです。私が自分でイメージを描けるように意識して指示を出してくれていたのだと思います。
そういう丁寧な指示のおかげで、私は次第に自分がやっている仕事のイメージを描けるようになりましたし、現場でいつまでにどんな手順で仕事を進めていくのかを学ぶことができました。
私の初めての現場は、鉄道工事の土木工事で、都市部のど真ん中。住宅密集地の工事で難易度も高い現場でした。その現場に勤務しているゼネコンの社員たちはとても優秀で、仕事のクオリティーはかなり高いものでした。
私は最初、仮設図の修正から入っていきました。当初は敷鉄板や重機の呼び方などが全くわからず、土木の知識もそれほどなかったため、常に手取り足取り教えてもらいながら仕事を進めていました。現場は最盛期でとても忙しく、しかも夜勤のある現場なのでかなりバタバタしていましたが、私が教えを乞いに行くと、その方は必ず手を止めて、まずはご自身で手を動かしてみせて、手順や意味などを教えてくれました。山本五十六元帥の名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」を実践している方でした。
土木のCADオペを教育するのは手間?
最初は簡単な仕事でも、まごまごしていた私でしたが、この教育のおかげで1年ほど経ったときには、白紙から図面を起こせるようになっていました。次第に現場職員からの指示や依頼は、えらく簡素になっていき、端から見ると適当な指示に思えたかもしれませんが、そんな指示でもイメージが明確に描けるようになっていました。
私の教育は、手間がかかったし時間もかかったと思います。人によっては自分でイメージを思い描けるようになるまでに1〜2月かかる人もいるでしょうし、何よりも仕事を指示する側はとても面倒なはずです。とても忙しい中、自分の業務時間を割いて手間暇を惜しむことなく教育するのは非効率にも思えます。
しかし、この面倒な教育段階なくして、土木現場でCADオペが成長する事はあり得ません。この段階を踏んでいただいたからこそ、私は土木のことが分かるCADオペとして確実に成長できまし、この教えてくれた人の仕事を少しでも楽にできるように、努力するようになりました。
土木のCADオペは自前で育てろ!
今、CADオペは多くの現場で必要とされています。その中でも、土木の経験がある人はかなり少ないため、非常に貴重な存在です。多くの現場では即戦力を求めていますが、土木のCADオペは絶対数が不足していて、派遣会社にお願いしてもCADオペがいない、と言う状態に陥っています。
当然、即戦力のCADオペに来てもらったほうが、指示する側はとても楽です。けれども、即戦力のCADオペは、すでに別の職場に就業して囲われていることがほとんどです。であれば、面倒かもしれませんが、土木の知識がなくてもCADオペを雇って、最初から育てていくほうが現実的です。育てていけば、そのCADオペさんは周囲の人々や、会社に恩義を感じるでしょうし、その会社に長く勤務してくれる可能性も高くなるはずです。極端な話ですが、そうすれば土木がわかるCADオペをずっと囲っておけるのです。
しかし、ほとんどの現場では、適当な指示でも仕事を進めてもらえる、土木がわかるCADオペを求めています。そのようなCADオペは、引く手あまたで、すぐに転職してきてもらえることは、まずありません。だからこそ、自分たちで育ててみる、と言う発想も必要なのではないでしょうか。そもそも、楽して仕事を任せる、などと考えている会社は、ちゃんとした仕事をこなせるとも思えませんし、そんな職場にCADオペも行きたいと思わないでしょう。逆に、CADを使える方にとっては、今こそ土木建設業に挑戦する絶好のチャンスかもしれません。