現場監督はもっと勉強しろ!熟練の職人も意外と知らない「型枠工の工夫」

現場監督はもっと勉強しろ!熟練の職人も意外と知らない「型枠工の工夫」とは?

現場監督はもっと職人から学べ!型枠工の意外な知識

土木の世界は、いかに今ある材料で早く施工を終わらせるかが前提の世界である。そのため、土木の施工を長年なりわいとしている技術者・技能者たちは、さまざまな知識を持っている。

特に職人たちの技術には、現場監督として施工を近くで見ている私自身、いつも感心させられている。しかし、そんな熟練の職人たちでも「型枠」は現場ごとに新しい発見があると言う。

そこで今回は、職人たちから聞いた、型枠工の使える意外な知識を紹介する。


型枠工の面木を打ち付ける際のポイント

型枠工に面木施工はつきものである。面木を打っておくことで、角から構造物が割れることを防ぐのが目的だ。

土木の世界では、面木を打った後に生コンを打設し脱型してみると、構造物に面釘の頭が埋まってしまい、後からクリッパーなどを使用して取らなければならない、という光景をよく目にする。これは面釘の頭が面木の面よりも飛び出してしまっているからである。

しかし、実際に面釘を打ったことがある方ならご存知だと思うが、ハンマーを使って面釘を打とうして、ある程度打ち込むと、面木にハンマーが接触してしまう。そうすると面木が割れてしまうため、最後まで打ち込めない状況になってしまう。

そこで、熟練の職人がどうしているかといえば、65の釘の頭を利用しているのである。面釘の頭部分に、65釘の頭を密着させ、65釘の先端をハンマーで殴ることで、きれいに面木の面まで面釘が入っていく。面釘を面木の面の角度に合わせて打ち込むこともポイントだ。

実際に、この方法で施工している職人や施工班を数人は見かけたが、ほとんどの施工者はこの知恵を知らない。そのため、面釘の頭がある程度飛び出してしまう事は仕方がないと考えている施工者も多い。知らなかった施工者の方は、この施工方法を試してほしい。面白いように、きれいに面釘が入っていく。


セパの溶接の工夫

型枠を組み終わったら、枠が動いたり浮いてしまったりするのを防ぐためにセパの溶接を行う。その際、セパの溶接の仕方によって、生コン打設時に型枠にかかる力のかかり方に違いが出てくることは、多くの現場監督もご存知だと思う。膨張性がある生コンは打設すると枠が膨れるため、サポートなどでツッパリを取ることは当たり前の話である。しかし、セパの溶接一つで、枠の上下にかかる力を利用できることは、案外知られていない。

まず型枠のセパは、横方向のセパと縦方向のセパを十字型に溶接する。その際、どちらか片方向のセパを少し下方向に曲げて溶接することで、型枠が上に行こうとする力を抑えることができる。つまり枠の浮き止めの役割だ。逆に横セパと縦セパを水平に溶接してしまうと枠が上に浮いてしまう。これは生コンの圧力がセパにかかる力を利用した施工方法である。

水平に溶接されたセパに生コンが入ると、生コンは性質上、上方向にセパを引っ張ろうとするが、それで型枠が浮いてしまう原因になる。逆に下方向に向いたセパに生コンが入ると、生コン重量の力がそのまま下方向のセパにかかる。そうすることで下方向に圧が働き、枠が浮き上がることを防いでくれるというわけだ。

意外とセパの溶接の仕方で、枠の浮き止めをできるということを知らない施工者は多い。私もこの方法を知ったときは非常に感動した。

施工管理技士は「資格の教科書」よりも「職人の知恵」から学べ

職人たちは毎日施工を行いながら、色々な知恵を身に着け、日々勉強している。しかし、私たち施工管理技士は資格の教科書に載っている施工方法が絶対に正しいのだと思い込んでしまいがちだ。

毎日、目まぐるしく状況が変化する環境の中で施工を行っている職人たちの知恵は、教科書では学ぶことが出来ないくらいに勉強になる。

私は施工者を管理する立場だが、職人たちからは勉強させてもらってばかりである。施工管理技士に必要な応用力は、職人たちから学ばせてもらうのが一番の近道かもしれない。

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大学卒業後に一度、建築商材会社に就職するも、その後、現場に立ちたいという想いから、建設会社に転職。 これまでに道路舗装や下水道、解体などの工事に携わってきたが、今は急傾斜地区崩壊対策事業の測量や施工を主に担当している。

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