「劣ってるヤツほど、土日も働く」スーパーゼネコンの現場監督が明かす“超絶仕事術”

スーパーゼネコンの現場監督が斬る!

スーパーゼネコンで働き、月収100万円以上を稼いでいる現役バリバリの現場監督さんに、休日を確保しながら現場を運営する極意や建設業界への不満を聞いてきました。

発言内容が過激であるため、匿名での掲載となってしまいましたが、現場監督にとっては非常に学びの多いインタビューとなっています。

全国の建設現場に「週休2日」を浸透させるためにも、日本の現場監督さん全員に読んでいただければ幸いです。

発注者の言いなりで「米つきバッタ」のような技術者

——国は建設現場の「週休2日」を推進しているが、やはり土日の作業を望む作業員は多い?

作業員は別に土日に働きたいわけではない。給料が安いからという理由で働かざるを得ない状況にあるだけです。休めるなら休みたいと思うのが普通。なかには常に働きたいという人がいますが、ほんとに稀です。建設現場で休む環境を作るには強制力しかない。つまり現場を運営する元請次第ということです。

土日休工は元請会社の采配で決まるので、元請が休むといえば下請は休まざるを得ません。もちろん請負業の下請は仕事をしたがるかと思いますが、強い気持ちで断ることが肝心です。

そのためのポイントとして、契約時に土日休みであることを交わす必要があります。それに伴い単価が上がるなどの弊害はあるかもしれませんが、それは技術者の力量で解消するべきでしょう。

——発注者との関係は?

元請が休むには元請もそれなりのことをしなければならない。それが発注者との折衝です。土日作業になるのは、天候不順による工程遅れ等を除いては、発注者からの無理な要求に応えようとする元請の自己満足が原因となっているケースが多いです。

実際、自分の身の回りには発注者の言いなりになって、なんでも承ってくる米つきバッタのような技術者が多い。また、それをこなさないと自分の能力が足りないと思われるのが嫌だという小さなプライドや、自己満足でやっている技術者も多い。休日を確保するためには、できないことはできないという姿勢が肝心です。

私自身にも無理難題を言ってくる発注者や委託監督は非常に多いですが、無理難題を請け負ってくる元請が断れば済むことだと思っています。書類等の元請サイドで終わるような業務である場合、請け負ってきた元請が苦労すればよいのでしょうが、重層構造の建設業の場合、ほとんどが下請を巻き込んだ業務になることが多いのが問題です。


発注者の無理難題を断り、委託監督官の横暴は投稿する

——無理難題を断れる?

自分は、無理なことは無理と断って仕事をしています。それでも特に支障を感じたことはありません。発注者から苦言を呈せられる場面も多いですが、特に何とも思いません。そんな感じですから、書類提出が遅くなることもあります。しかし、その書類が遅れると致命的かどうかぐらいはわかりますので、発注者とディスカッションしながら書類提出の時期を見計らいます。

経験上、監督官より委託監督の方が無理を言う場面が多いですが、そんな時は監督官に相談します。たとえばですが、九州地方整備局では「いきいき現場づくり」という施策があり、ホームページ上で現場に関する相談ができるようになっています。ここに委託監督官の横暴を投稿すればいいわけです。結果的に無理を言う委託監督はいなくなったと聞いています。

——評価点は気にしない?

会社は発注者からの評価(点数)を求めますが、落第点を取らなければよいと思っています。これは企業人としてどうかとは思いますが、年間数社しか選ばれない狭き門を自分のエゴで周りの人を巻き込んで過重労働にするようなことはしたくないです。それでも、私も国土交通省やURから表彰されたこともあります。全部が全部点数を取りにいこうとするから無理があるわけです。


土日出勤の現場監督は劣っている

——書類作成も大変では?

私はきれいな書類を作ろうとはしません。若い技術者は何でもPCで小綺麗に作ろうとするため時間がかかります。PCでつくった方が早い場合は何も言いませんが、遅い場合は自分が手書きで作ります。

打合せの書類などほとんどが手書きで、最終的に電子納品する書類だけをPCで作るようにしています。字が汚かろうと、絵がヘタかろうと、相手に説明がつくレベルであればOKです。部下にもそれを指導しています。

それで結果的に自分の運営する現場は、他の所長たちよりも断然に就業時間は短いです。土日はほとんどが休み。それでも年度末はどうしても土曜日出勤になりがちですが、日曜出勤だけは絶対にしません。

作業員さんたちからは土曜日休みを嫌がられますが、こうでもしないと自分も作業員も土曜日に休みなんかとれません。しかし結果的には、土曜日に自分の現場を休んだ作業員さんたちは、別の現場で働いていますので、自分一人がこんなことをしても意味がないとは思っています。結論としては、意識を変えるというより、強制的に休む環境を作るしかないということです。

——土曜日に休めない現場は、監督の力量不足?

土日も出る職員にかぎって大概、独身でダラダラ仕事できるヤツか、能力的に劣っている人か、自己満足で仕事をしている人でしょう。自分から見て「仕事できる」って言うヤツは土日休みが多いですね。

それでも土曜日に出勤する職員は多いので、子供の学校行事、授業参観などに参加できないケースは多く、それだけじゃないですが、子供との関係が疎遠になるケースもみられます。日曜出勤する職員も多く、家族と疎遠になり、ひどいケースでは離婚となった職員もいます。

働いてばかりで、いつまでたっても独身という職員もいます。独身で仕事ができるのは当たり前。家族を持ちながら仕事するのがどれだけ大変か。やっぱり男は結婚して一人前!昔の人はうまいこと言ったもんです。

自分の場合は、土日は休みますが、能力があるわけではなく、最低限の発注者からの評価、最低限の利益を確保しつつ工期を守るという、開き直って仕事をしているタイプです。確かに、周りからの評価も高くないですが、家族円満、仲良しの彼女もいて、月収100万円以上は稼いでいます。


自由度が少ない土木業に入職者が増えることはない

——どうすれば建設現場で働く若者や女性を増やせる?

昭和世代の学校教育はいわゆる「詰め込み」、会社組織は「縦社会」もしくは「年功序列」でメンタル的に強くなる傾向にあったと思います。一方、平成世代は「ゆとり教育」でメンタル的に強くなくても生きていける傾向にある。実際、自分が働いている職場でも、2つの世代が共存していますが、世代間のギャップが顕著でギクシャクしています。

昭和世代の人間から見た平成世代への共通した意見は、「平成世代はお金を稼ぐよりも休みたがる」「仕事に対する積極性はない」「ゆとり教育の弊害が社会人となってから出ている」です。

「ゆとり世代」と「女性」の意見を汲むことで、建設業界の人手不足を解決するなら、「週休2日制の完全実施」「残業の撤廃」「女性用仮設備(トイレ等)の整備」「産休、育児休暇等女性が働きやすい就業環境の整備」「工事内容に見合ったゆとりある工期の設定(発注者側の対応が必要)」と、結局のところ、どこでも聞くような一般論しか思いつきません。

——それだけで解決する?

いや、建設業、特に土木業は建築業よりもイメージが悪いので。たとえば、ニュースで犯罪者として紹介されるのは必ず「土木作業員」で「建築作業員」とは聞いたことがない。ドラマでも、犯罪者が社会に復帰してまず職に就くのは道路工事の作業員。

また、リストラにあったエリートサラリーマンも、道路工事の作業員となるドラマが多い。土木業が人を集めるにはまず、世間に対するイメージの払しょくが必要です。かつて、卓球は「根暗」というイメージで低迷していましたが、現在は卓球人口は激増しているとか。これぐらいの逆転劇がない限り、建設業に人が集まることはないでしょう。

特に公共工事が主体の土木業は頭でっかちのお役人(発注者)に支配され、会計検査に引っかからないように現場運営、書類づくりをさせられる。この前も私の現場で会計検査があるということで、大型重機を一旦外に出さないといけない事態になり、発注者とモメました。モノづくりにしても、四角四面に構造物を作るしかなく、便利な材料や製品があっても、NETIS登録されていても「実績がない」などの理由で採用されず結局、昔ながらの手法でしか施工できない。自由度は極端に少ないのは異常です。

だから同じ建設業界でも、自由度がまだマシな建築業に人が集まる。特に土木業は魅力がないため、入職者が増えることは今後もないと思います。

——ありがとうございました。

ピックアップコメント

時間外労働してまで綺麗に作る必要性はないのでは・・・

この記事のコメントをもっと見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!
24歳女性現場監督の葛藤「現実を隠してでも、女性を採用すべきか?」
コンクリート打設時、生コン屋は受入検査をゴマかしている!?
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
権威主義にウンザリした元ナビタイムIT技術者が、あえて土木で起業するワケ
渋谷に「ラブホテル」を新築できない理由とは?
腐った監督職員は密告しろ!「請け負け」しないための公共工事必勝法
「施工の神様」創刊編集長。建設関係の方は気軽にメールください。「施工の神様」に対するご意見やご批判、一緒に飲んでみたい、いろいろ話をしてみたいなど、どんな内容でもOKです。2019 土木学会 若手PU委員会 副幹事長 Facebook:https://www.facebook.com/100015053384927
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 「劣ってるヤツほど、土日も働く」スーパーゼネコンの現場監督が明かす“超絶仕事術”
モバイルバージョンを終了