産業廃棄物の処分費用の実態
建築現場、特に解体現場とリフォーム現場で仕事をすると、産業廃棄物の処分が必要になります。
法的には産業廃棄物は20種類に分類され、その種類ごとに処理方法が異なりますが、最終的に再資源になるものもあれば、一般社会と遮断して埋め立てられる有害物もあります。
私たちが産廃処理業者に廃棄物を持ち込んだ際、廃棄品目によって処分費が異なるのは、処理方法や保管に掛かる費用の違いが要因というわけです。
産業廃棄物の処分費用の計算方法
木くずや紙類、ビニールなどは処分しやすいので、混載で持ち込んでも処理費用は比較的安いです。
一方、石膏ボード、瓦礫、タイル、陶器となると、単体で持ち込んでもかなりの出費になります。木くずにタイルが混じっている場合は、タイルの引き取り価格に引っ張られるので、処分費を安くしたい場合は、面倒でも分別しなければなりません。
産業廃棄物を処分するに当たっての計算方法は、「引き取り単価×体積」です。つまり、体積が小さくなるように、出来るだけ細かく砕いて持ち込むと安く済みます。特にトイレや洗面台のボールなどの陶器は、そのままではかなり嵩張っているので、砕くのは必須と断言してもいいぐらいです。
金属類の買い取り相場
逆に、鉄や銅などの金属類は、金属リサイクル業者が買い取ってくれます。
買い取り金額は、金属の種類によって異なります。建設現場で1番多く発生するであろう鉄は、今現在キロ当たり30円程。給湯器などに含まれる銅はキロ当たり700円程です。
とはいえ現場で処分される鉄は純粋な鉄ではなく、色々混じっているので単価はグッと低くなります。給湯器も同様で、一部に銅が使われているだけなので単価は下がりますが、それでもキロ当たり130円ぐらいが相場の取り引き価格です。
相場と言いましたが、価格は常に変動しています。私の記憶では、2008年の北京オリンピックを控えていた時期が、最も買い取り金額が高く、今の1.5倍ぐらいの取引価格だったような気がします。
金属類の取引価格が高いということは、それを欲しがる連中も多くなります。つまり、エアコンの室外機や給湯器を盗む輩も多いということです。配管をぶった切り盗む者、丁寧に取り外して盗む者、色々いました。
最近はエアコンの室外機や給湯器の単価も下がり、また監視も強まったので道路の側溝の蓋や公共施設の水栓などがターゲットになっているようです。
盗難される配管、水栓、給湯器、電動工具等
もちろん、建設現場も狙われています。
新築アパート現場に搬入させていた水栓が夜間に全て盗まれたとか、戸建のリフォーム現場でも水栓が盗まれた、など建設現場での盗難事件はよく聞いたことがあります。水栓は真鍮なので買い取り金額が高く、また盗みやすいのも狙われる要因でしょう。現場では保管管理を徹底して気をつけなくてはいけません。
実は私もリフォーム現場で撤去してきた給湯器を盗まれたことがあります。撤去した給湯器を車の後ろに置いていたら、いつの間にか無くなっていました。
それ以前にも、私は車上荒らしに電動工具を盗まれたことがあったので、それと比べるとショックは少なかったですが、盗まれたという事実だけでも気分は滅入ってしまうものです。貴重品や高額な工具などには気を使いますが、金属類とはいえ残材は大丈夫だろうと思っていました。
・・・産業廃棄物にしても金属類にしても再利用されるべき資源がほとんどなので、残材処分は社会的に重要な仕事と言えます。
現場で働くわれわれは、社会貢献の意識を持って残材処分に取り組むと、また違った面白味を感じることができるのではないでしょうか?