死ぬほど簡単に「80点以上」は絶対ムリ!っていうか、現場代理人に全て任せるな!

工事成績採点表の一部

「死ぬほど簡単に80点以上」は絶対ムリ!っていうか、現場代理人に全て任せるな!

安全対策だけじゃ、80点以上の工事成績評定はムリ

先日、「施工の神様」に『死ぬほどカンタンに「80点以上の工事成績評定」を取る方法』という記事が掲載されました。

なかなか、的を得ている記事だと思いつつ、私は「違うな!」と思いました。

確かに、安全対策、施工体制台帳は重要ですが、国発注の工事では安全対策や施工体制台帳だけを充実させても、絶対に80点以上の工事成績評定は取れません。

検査官のウケは良いですが、点数には繋がりません!

工事成績評定の配分とは?

そもそも工事成績評定の配分ですが、工事成績評定で一番大きな割合を占めるのは「品質」。これが約15%。

次に「施工管理」で、これも約15%。

三番目が「出来形」で約14%。これで45%!

残念ながら「安全対策」は10%!

「施工体制台帳」に関しては、「施工体制」に関する数ある評価項目の一つであり、全体比率で考えると、ほとんど工事点数に影響しません。

そもそも施工体制台帳は、建設業法上、整理できていなければいけない(法律違反)ですので、評価に値しないのが現実です。

そして当たり前ですが、工事の評価はあくまでも人間がしますので、「この程度の安全対策は当然!」と思われれば、工事点数には繋がりません。工事成績評定は、検査官の主観に左右されるものなのです。

先述したように、『死ぬほどカンタンに「80点以上の工事成績評定」を取る方法』という記事は、確かに的を得ています。しかし、安全対策だけでは、工事成績評定には繋がらないのです…。


「施工プロセスのチェックリスト」を完璧に履行せよ!

では、工事成績評定で80点以上の点数を取るにはどうすれば良いのか?

建設技術者であれば、「施工プロセスのチェックリスト」を知っているでしょう。真面目な発注者は、月1回の頻度で確認行為を行っています。

この「施工プロセス」を完璧にすることが、工事成績評定を確実にアップする方法です。

検査官は、限られた時間の中で検査を実施します。当然、全てを見ることは不可能です。その不可能な部分を補完するのが「施工プロセスのチェックリスト」なのです。

工事成績評定の最初に必ず記載されています。

「施工プロセスチェックリストのうち、○○について指示事項が無い」という項目。

「施工プロセスのチェックリスト」に、「指示事項が無かった」となれば、もう問題無しです。

他にも評価項目はありますが、「考査項目別運用表」を確認してください。普通に仕事していれば、クリアできるはずです。

「施工プロセスのチェックリスト」は各工事の主任監督職員が実施します。

検査官も、主任監督職員には敬意を払いますので、ダメ出しすることはありませんし、主任監督職員が「きちんと現場を進めてくれました」と言ってくれれば、検査官はその意見を尊重するのです。

現場進捗における最前線で奮闘された方の意見を踏襲するのは、ある意味当たり前。

検査官は、仕事として検査に来ているものの、現場の苦労までは分かりませんので…。


工事点数80点のコツは「品質・施工管理・出来形」現場代理人任せにしない?

「品質・施工管理・出来形」こそ、われわれ受注者の持っている技術力をアピールするところです。

品質の良いものをどのように造りあげるのか?

充実した施工計画書を作成し、施工管理を実施しているのか?

仕様書に記載されているとおりの基準値で出来形管理されているのか?

最後にハッキリ言います。 簡単に80点以上の工事成績評定を取ることは出来ません。

特に、ここ最近の傾向として、全てが現場代理人任せになっていませんか?

営業・技術者がしっかりスクラムを組んで、工事に臨む体制を構築すべきです。

しかし、最近こんな話がよくあります…。

営業サイドで「技術提案書」を作成し、結果、採用されたのに、現場の技術者はその内容を「知らない」のです!

本来、現場で出来ない、無理難題なことを提案してはいけません。

「技術提案=契約条件」なので、出来なければ契約不履行です。

工事成績評定を語る以前の問題です。

会社として、全員が同じ認識を持って取り組むことこそが、80点を超える近道なのです。

※「施工の神様」編集部では、「施工の神様」の掲載記事に対する反論も募集しています。土木・建築現場での体験談をお気軽にご寄稿ください。投稿方法はこちら

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某省庁OB。数多くの土木工事等に従事。 退職後、受注者としてのスキルを高めるため、民間企業で修行し、現在は発注者支援業務に従事中。技術提案、工事費積算、現場管理、完成図書作成、CALS/EC等々のスキルあり。
自分の持っているスキルを存分に周知し、皆様方の一助となれれば幸いです。
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