現場を見回りながら「休憩ポイント」を探す
比較的広い現場だと、若手現場員たちは、いかに所長や職人さんにバレずにサボれるかということを常に考えています。
滅多に誰も上がってこない建物の屋上の端っこ、裏庭、中庭など、現場を見回りながら「休憩ポイント」を探っています。
自分しか知らないポイントを見つけた時の気分はもう最高です。
そして私の経験上、怖い所長であればあるほど、所長以外の現場員の結束力は強く、全力で一緒に休憩ポイントを探します。
先輩現場員が事務所に戻ってこない
ある現場でのことです。
職人さんたちの作業が終わり、私も現場の見回りを終え、もう外は暗くなっていました。
私は現場事務所で書類作業を進め、所長も同じく事務作業をしていました。が、もう一人の先輩現場員が夜遅くまで、なかなか事務所に戻って来ません。
しばらく待っていましたが帰ってこないので、心配した所長と私は懐中電灯を手に現場へ探しに行きました。
しかし、いくら探しても、いくら呼んでも、全然先輩は見つかりません……。
所長にバレる
私と所長は必死に探し続けましたが、懐中電灯で現場を隈なく照らしても、先輩現場員は一向に見つかりません。
まさか、どこかの足場から落ちて、意識不明で動けなくなっているのでは、と本気で心配になってきました。
そこで、ふと気付き、先輩現場員の携帯に電話をかけてみることに……。すると、どこかから、かすかに着信音が聞こえ、その方向へ探しに行くと、ふらっと先輩が現れました。
「ちょっと図面を持って施工確認しに行っていました……」
その顔と声は完全に寝起きでした。
そもそも現場は真っ暗ですし、懐中電灯を持っていなければ図面も見れません。
私と所長は、完全にどこかで寝ていたな、と踏んでいます。しかし先輩は断固として認めません。今でも認めません。
この事件は未だに私たちの間で伝説になっています。
完璧にサボれる「休憩ポイント」を発見しても、休憩しすぎには注意したいものです。