終わりが見えない災害復旧工事
私は今、西日本豪雨で土砂災害に見舞われた某県で、復旧工事に従事している。災害復旧は着実に進んでいるが、JRの線路や一般道路のほとんどが未だに壊滅状態である。
通行可能な道が極端に少ないため、一般道は連日の大渋滞。異常に長い通勤時間から、疲労で倒れる人も続出している。
しかし、一般生活者以上に被災地で壮絶な戦いを強いられているのが、災害復旧の工事現場で働く土木技術者である。
復旧工事に従事する土木屋のリアルな声を届けたい。
災害復旧工事の疲労感
私が現在復旧している現場は、大規模な土砂災害の被害を受けた場所だ。山に設置してあった巨大な複数のえん堤が全壊し、道路どころか最下部の貯水池にまで土砂が流れ込み、完全に埋まってしまっている。貯水池の上に架けられていた橋も、土砂の衝撃で完全に崩落し、もう通行できない状態だ。
一刻も早い道路の開通が求められているため、工事は仮設の道路開通計画になる。しかし、道路を復旧する以前に、そこに流れ込んでいる土砂の量が半端じゃない。大型のバックホーでの作業を続けても、土砂の搬出には途方もない時間が掛かる。
しかも、10tダンプなどの搬出車両は、他の災害現場に出払っていることも多く、平日には一台も私の現場に来ないこともある。平日は用意できる車両数が限られるため、現場復旧の作業員は大型搬出車両を使用できる日曜日に働く事を余儀なくされている。
ましてや、連日の猛暑の中……休みなしで働き、体調を崩す作業員も続出している。複数の土木業者が協力して災害復旧工事に当たっているが、圧倒的に人手が足りない状況だ。
無情にも、毎日懸命に作業しても、道路開通までの道のりは果てしなく、終わりが見えない。それが疲労感を倍増させている、というのが実感である。
仮復旧工事の工期
私が請け負っている具体的な施工内容は、陥落した橋梁の仮復旧工事である。高さ約10mも橋が陥落し、道が完全になくなっている現場だ。橋が陥落した場所には川が流れている。
仮復旧作業の施工方法は、まず山水の逃げ道を作るために、コルゲート管(水を排水するための波状管)を設置する。そして、大型土嚢をコルゲート管の隙間に設置。コルゲート管を加工砂で埋め戻し、その上に舗装をかけて車を通すという、一時的な復旧作業だ。コルゲート管で水を逃し、その部分に道を作る工事である。
この施工方法について、県は1ヶ月での開通命令を出している。しかし、正直、1ヶ月での開通は現実的ではない。1日も早く交通の流れを良くしたいのは私も同感だが、施工内容が大規模なだけに、こんな工期を提示されても見通しがつかない。必要な大型土嚢だけでも400体を超え、大型土嚢を作って運搬するだけでも大変な作業である。
しかも、被災した現場に、大量の大型土嚢を置いておくヤードがあるはずもない。運搬だけでもダンプで相当往復しなければならない。この作業だけで1週間はかかる。
私も1ヶ月で道路を開通をしたい気持ちは山々だが、人手と機械、ダンプの数が圧倒的に少ない状況で、とても工期に間に合うとは言い切れない現状なのである。
ボランティアと災害復旧工事
被災現場は、あまりにも悲惨である。目の当たりにしただけで、自然災害の恐ろしさに身震いする。流された自動車や大きな岩、崩壊した家などが莫大な規模で広がっている。
これを何社かの土木会社で復旧しろというのは、絶望的な状況である。1日作業を終えても進行した感じがなく、災害の規模の大きさと恐怖に、さらなる絶望感を覚えてしまう。規模が大きすぎて復旧の見通しがつかず、達成感がないため疲労感も溜まっていく。
われわれ土木屋も、このまま休日返上で作業を続けていれば、そのうち倒れてしまうだろう……。
そんな中、ボランティアの方々が現場にきて、人力作業を手伝ってくれている。これには非常に助かっている。
人が一人増えるだけで不思議と、現場でのモチベーションが上がるのだ。これだけ人が手伝ってくれるのだから、必ず復興できるという気持ちになるのである。
この悲惨な状況を乗り切れるのは、やはり人の前向きな力である。この平成最後の夏休みも、1日1日、協力してくれる方々と全員で前を向いて復旧作業を進めていくつもりである。