「施工図なんか無くても出来る」と思ってる人が多すぎる!
最近、まともな施工図とそうでない施工図の見極めがつかない人が多く、施工図の正しい評価がされていないように感じる。
建築設計図に毛が生えた程度の図面でお茶を濁そうとする人間もいて、しかも往々にしてそんな人間が上に居たりする。すると、まともな施工図を描こうとする人ほど、嫌になって辞めてしまう。
鉄筋にしろ、躯体にしろ、仕上げにしろ、正確な施工図があるか無いかで建築の品質が決まる。
最終的には、手戻り・やり直しの連続で何とか出来たとしても、膨大な無駄な時間と手間が掛かってしまう。これは、現場に携わった人間なら誰でも実感しているだろう。
施工するに当たって最も大切な図面であるにもかかわらず、施工図の評価は低い。なぜだろうか?
そもそも設計図面の質が低すぎる
設計図面そのもののレベルが下がっているのも、大きな要因だ。そもそも、設計者の描く図面の質が低いのだ。
設計図面がいい加減だとどうなるか?
施工者は、何とか設計者の意図をくみ取って形を実現しようとするが、それがどうにも納まらない場合がある。
そんなときは、設計者が事前に施工者に話すことが常だった。つまり、設計者自身も考えあぐね、施工者と相談しながら施工図をまとめていこうということだ。図面を作成する段階ではまだ施工者が決まっておらず、施工者のレベルが特定出来ないといった事情もある。
だが、今は少し事情が違う。
図面を描く時間がドンドン短縮され、意匠、構造、設備の整合性さえ取れていないことが多いのだ。さらに敷地の特別な条件が加味されたりすると、詳細は全て現場におんぶに抱っことなる。現場で、施工の段階で、何とかまとめてよ! となるわけだ。
ガマンして施工図をまとめるのはもう限界
そんな意匠、構造、設備のちぐはぐなところを調整しながら、最終的な一つの回答にまとめ上げるのは昔よりさらに難しい作業になっている。
そもそも、施工図をまとめ上げるには、当然ながら建築を良く知らないと出来ない。
それを、さも設計図面さえあればすぐ出来るように思っている認識不足の人たちには、「じゃあ、あんたが描いてみろよ!」と言いたい。
「まだか、まだか!」と催促し、元の図面がいい加減なのを棚に上げ、文句ばっかり言う設計事務所の人間にも、「もっとまともな、納まってる設計図面を描けよ!」と言いたい。難しいところは全部現場任せで、それで「設計者でございます!」と大きな顔して偉そうなことばっかり言うが、設計者として自分たちの責任をどう考えてるのか、真面目に考えて欲しい。
そんな扱いをされても、今まで多くの施工図作成者はガマンにガマンを重ねて、施工図面を描いてきた。
しかし、時代が変わり、今の若い人はそうはいかない。若い技術者が悪いのでなく、そんな慣習を野放しにしてきた私たち建築業界に関わって来た人間全員の責任だ。
cadになる前の図面のが酷かったやろ。何言ってんだ