従来技術との比較

従来技術との比較

梁上部とスラブを同強度で同時打設。止め型枠の設置や解体が不要に

ゼネコン6社が共同開発

ゼネコン6社(淺沼組、奥村組、熊谷組、五洋建設、鉄建建設、矢作建設工業)は共同で、「異種強度を打ち分けた鉄筋コンクリート梁工法の設計法および施工方法」を開発し、日本 ERI 株式会社の構造性能評価を取得した。

今回、性能評価を取得した工法は、断面の上部と下部で強度が異なるコンクリートを使用する梁の設計および施工に関するもの。現場打ちまたはハーフPCa部材において、梁上部とスラブのコンクリートを同じ強度で打設可能となる。

止め型枠の設置や解体が不要に

RC 造のPCa梁は、梁の下部をPCa化し、梁の上部コンクリートを現場打ちするケースが一般的。梁とスラブのコンクリート強度が異なる場合、打ち分けるための止め型枠の設置、打設、型枠解体と、いくつかのステップを踏むため、現場で多くの時間と労力が必要だった。だが、同工法では、梁の上部とスラブを同じコンクリート強度で一度に打設することが可能となるため、施工手順を省くことができる。

従来技術と同工法との比較

片側もしくは両側にスラブが取り付く梁が対象。スラブは0.1L0以上の幅を有し、厚さは梁せいの0.19倍以上とするほか、梁上部のコンクリート高さ(梁下部より低い強度の部分)は、梁せいに対して 1/2以下の高さとし、梁上部のコンクリート設計基準強度は、梁下部に対して 1/2 以上とする。梁PCa工法と現場打設工法のいずれにも適用できる。

適用範囲の概要

使用材料には、梁の主筋として使える鉄筋を JIS G 3112 で定める範囲(SD295~SD490)に加え、大臣認定品である590N/mm2級も適用できる。また、せん断補強筋も大臣認定品である 1,275N/mm2 級まで使用可能。

設計では、異なる強度のコンクリートが同一梁断面内に存存するため、スラブが存在することの効果と異種強度コンクリートが混在する影響を同時に考慮した「等価平均強度」という考え方を導入し、許容応力度設計と終局強度設計を行う。

今後は、各社で設計施工物件を主とした RC 建物に適用し、施工の合理化、生産性の向上を推進していくとしている。

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