【解答速報】令和2年度 1級土木施工管理技術検定「実地試験問題」

【解答速報】令和2年度 1級土木施工管理技術検定「実地試験問題」

はじめに

今年度受験された受験生の皆様、試験お疲れ様でした。今年度はコロナの影響で、試験の延期もあり、「試験が実施されるのか?」という声もありました。不安も多い中での勉強はモチベーションを保つのも難しく、大変だったと想像されます。

それでは本題に入っていきます。本日の記事は、12/6に実施された令和2年度 1級土木施工管理技術検定 実地試験問題の『解答試案』と『試験の総評』をUPしていきます。

試験団体から解答・配点は発表されません。各資格取得の学校や参考書作っている会社が独自に調べて解答を作っております。今回UPする解答試案は、仕様書・既存の参考書等・過去の学科試験問題から類する文章等を参考に作成しています。

ここに記載している解答は『解答試案』であり、あくまで参考資料です。また、解答は一例であり記述式問題では記載したものの他にも正解となる解答がある場合がありますのでご了承ください。

「実地試験」 試験問題

試験団体(JCTC 一般財団法人 全国建設研修センター)のHPより、次回の試験実施までの試験問題をダウンロード(閲覧・印刷)することができます。


解答試案

【問題1】

省略(ご自身の経験をもとに、それぞれの工事概要・施工経験記述を記入してください)

【問題2】

(イ) (ロ) (ハ) (ニ) (ホ)
混合 勾配 仮置き 透水性 沈下
(沈下量)

【問題3】

(イ) (ロ) (ハ) (ニ) (ホ)
フライアッシュ ひび割れ 鉱物質
(高炉スラグ)
スランプ AE減水剤

【問題4】

(イ) (ロ) (ハ) (ニ) (ホ)
2.5 ブリーディング
(ブリーディング水)
沈下 50 湿潤

【問題5】

(イ) (ロ) (ハ) (ニ) (ホ)
脱落 中震 変形 手すり 40

【問題6】

(イ) (ロ) (ハ) (ニ) (ホ)
工程 安全 第三者
(公衆)
業務分担 環境
(環境保全)

【問題7】(解答例)

以下の項目からそれぞれ1つ解答する。

(1)切土法面排水の目的

  • 雨水・湧水等が工事区域内に入らないようにするため。
  • 円滑な表面排水を確保し、雨水等の切土部への浸透を防ぐため。
  • 雨水による法面浸食や崩壊を防止するため。
  • 地下水位の高い切り取り部の水位を低下させるため。

(2)切土法面施工時における排水処理の留意点

  • 素掘り側溝を設け、掘削する区域内への水の侵入を防止する。
  • 切土面の上部には3%程度の勾配をとり、滑らかに整形し表面排水を促す。
  • 法肩、小段に仮排水路を設け、縦排水で法尻までの排水を促す。
  • 水平排水孔を設け法面内の湧水を排出する。

※解答は、ここに記載したものが全てではありません。

【問題8】(解答例)

以下の項目からそれぞれ1つ解答する。

(1)初期段階に発生する沈みひび割れ

コンクリートの沈みと凝固が同時に進行する過程で、その沈み変位を鉄筋等に拘束されることで発生するひび割れ。

発生原因 ・締固め不足
防止対策 ・沈み変位の終了段階で、再振動を行う。

※「材料に関するものは除く」と記載されているため、以下のような解答は不適当となります。

  • 単位水量が多い
  • AE剤、AE減水剤等を用いて単位水量を少なくする。
  • 細骨材、粗骨材の粒度分布の適切なものを使用する。

※解答は、ここに記載したものが全てではありません。

(2)マスコンクリートの温度ひび割れ

コンクリート硬化時に発生する水和熱がコンクリート内部に蓄積され、その温度が低下する際にコンクリートの収縮が拘束され発生するひび割れ。

発生原因 ・養生期、急激な冷却を受けた

・コンクリート内部と表面付近の温度差が大きい

防止対策 ・打ち込み区画の大きさ、リフト高さ、継目の位置等に留意しコンクリート温度上昇を抑制する。

・直射日光を受けて高温になる恐れのある部分は散水、覆い等の適切な処置を講ずる。

・パイプクーリングを行い養生時の内部コンクリート温度の低下をはかる。

・コンクリート表面を覆うなどして急激な温度変化を与えない。

・型枠脱型後、シートや断熱材を用いコンクリート表面の急冷を防止する。

※「材料に関するものは除く」と記載されているため、以下のような解答は不適当となります。

  • 単位セメント量が多い
  • 中庸熱ポルトランドセメントやフライアッシュセメント等、単位セメント量の少ないセメントの種類を選定する。
  • 高性能減水剤、AE減水剤を使用してコンクリートの単位セメント量を減らす。

※解答は、ここに記載したものが全てではありません。

【問題9】(解答例)

以下の項目からそれぞれ1つ解答する。

規定方式 締固め管理の方法
品質規定方式 ・仕様書を基に施工部位・材料に応じて管理項目・基準値等を適切に設定し、これらを日常管理する。

・乾燥密度(もしくは締固め度)、空気間げき率または飽和度、強度特性・変形特性を用いて管理する。

工法規定方式 ・(試験施工を行い、)締固め機械の機種・敷均し厚さ・締固め回数等を(仕様書に)規定し管理する。

・トータルステーションやGNSSを用いて計測し、盛土地盤の転圧回数と走行軌跡を管理する。

※解答は、ここに記載したものが全てではありません。

【問題10】(解答例)

以下の項目から合わせて5つ解答する。

機械掘削 ・掘削面の高さが2m以上となる地山掘削を行う場合は、技能講習修了した者のうちから地山の掘削作業主任者を選任する。

・点検者を指名し、作業開始前には作業箇所および周辺の地山を点検させる。

・安全に作業を行うために必要な照度を保持する。

・安全な勾配の確保、土止め支保工の設置等、地山の崩壊・土石の落下による危険防止措置を講ずる。

・埋設物が予想される場合は、試掘を行い、埋設物の種類、位置等の確認を行う。

・作業範囲内への作業員の立入を禁止する。

積込み作業 ・バケットをトラックの運転席の上を通過させない。

※解答は、ここに記載したものが全てではありません。

【問題11】(解答例)

以下の項目からそれぞれ5つ解答する。

  • (国土交通省指定の)低騒音、低振動型建設機械を使用する。
  • 機械の点検・整備状態を良くする。(履帯の張りの調整に留意する)
  • 遮音壁、遮音シート等を設置する。
  • 不必要な空ふかしや高い負荷をかけた運転は避ける。
  • 不必要な高速走行は避ける。
  • 土工板、バケットなどの衝撃的な操作は避ける。(丁寧に作業を行う)
  • 影響の少ない作業時間帯、作業工程を設定する。(夜間、早朝の作業を避ける)
  • 作業の待ち時間にはエンジンを止める。(アイドリングストップ)
    (・工事の目的、内容等を事前に地域住民に説明し、協力が得られるように努める。)

※解答は、ここに記載したものが全てではありません。

令和2年度 1級土木 実地試験 解答速報

令和2年度 1級土木 実地試験 解答速報 / YouTube(関西建設学院【ひげごろー】)

この動画では、解答速報の解説を行っています。答えの内容に質問・疑問がある場合は、YouTubeにコメントいただけると、直接この記事の著者に届くため、もれなく返信できますのでよろしくお願いします。

また、本記事の解答が最新のものであり、動画内の解答から訂正している点が数点あります。YouTubeの概要欄に訂正を記載していますのでご確認ください。


総評

全体の試験の難易度としては、中程度(例年に比べるとやや易しい内容)だったように思います。では、各問題の難易度を3段階(高・中・低)で評価していきます。

問題1

施工経験記述は、3年連続の品質でちょっと裏をかかれた感じはしますが、1級の施工経験記述に関してはこれがあるので、絞らず3テーマ(工程・品質・安全)について準備をしておく必要があると再認識させられました。

問題2(難易度・中)

(5)以外は過去に学科試験・実地試験で出題された文章からの問題でした。
(ロ)の[勾配]、(ニ)の[透水性]は比較的答えが導きやすかった想像されます。
(ホ)の[沈下]これも前後の文章から十分答えが推測できたのではないでしょうか。

この3問が書ければボーダーの6割になります。ここから(イ)(ハ)が書けたかが、点数を伸ばせたかのポイントになりますが、(ハ)は語句を推測するにはヒントが少なく色んな語句があてはまりそうなので、非常に難問だったかと思われます。

※ここでいうボーダーとは、合格判定基準の6割という意味で、2問以下だと不合格とか足切りという意味ではありません。1級土木実地試験に足切り点はなく、0点の問題があっても他の点数でリカバーできれば合格は可能です。ただし、施工経験記述が不適当な場合は、その時点で不合格となる場合があります。

問題3(難易度・中)

(ロ)[ひび割れ](ニ)[スランプ](ホ)[AE減水剤] この3つは前後の文章から、比較的簡単に解くことができたのではないでしょうか。(イ)(ハ)が書けたかが点数を伸ばせたかのポイントになります。
(イ)の[フライアッシュ]と(ハ)[鉱物質(高炉スラグ)]が、過去にあまりみたことの無い出題方法で難問でした。「混和剤」ではなく「混和材」について問われているというところに気づけたかがポイントになります。

問題4(難易度・低)

(イ)[2.5](ハ)[沈下](ニ)[50](ホ)[湿潤] この4問は、しっかり過去問や学科の知識が残っていれば比較的簡単に答えがでてきたのではないでしょうか。ただ打重ね時間間隔に関しては、暑中の2時間の方が多く過去に出題されていたため、2時間と書いてしまった受験生が多かったかもしれません。
(ロ)はとても難問で私もものすごく悩みました。最初は[単位水量]だと思ったのですが、単位水量の場合は「多い」ではなく「大きい」というのが一般的です。では、[細骨材]なのか?と、なりましたが…砂すじの原因は材料分離(ブリーディング)に伴うモルタルの流出なので、水の量がキーポイントなんです。…あ、答え[ブリーディング]か…ってなりました(笑)。

問題5(難易度・中)

(ロ)[中震](ニ)[手すり](ホ)[40] この3問は、しっかり過去問や学科の知識が残っていれば比較的簡単に答えがでてきたのではないでしょうか。ちょっと難問だったのが、(イ)[脱落] (ハ)[変形]ですね。(イ)(ハ)が書けたかが点数を伸ばせたかのポイントになります。

問題6(難易度・高)

施工計画は記述では良く出題される問題なのですが、穴埋め問題での過去問は少なくちょっと戸惑った受験生の方も多かったのではないでしょうか。サラッと答えが出せたのは(ハ)[第三者]ぐらいかなと。後は、前後の文章から如何に推測できたか…という感じですね。

問題7(難易度・中)

切土の排水は、出題頻度は高くはないですが、過去問10年ぐらいしっかりされていれば、過去にも同じ問題の出題があったので、十分対応できるレベルの問題かなと思います。

問題8(難易度・中)

特別な配慮の必要なコンクリート・ひび割れ対策で、これも定番の問題でした。

問題9(難易度・低)

これは、ここ数年の過去問やってても何度もでてきた、最近の土工事の品質管理のトレンド問題。ちょっと解答欄が狭かったようで端的にまとめれたかがポイント。

問題10(難易度・低)

例年なら、絵があって解答するタイプの出題方法ですが、絵が無いため答えられる幅がものすごい広がるので、安全衛生規則から逸脱していなければ、何を書いても○になるという点数の取り易い問題でした。

問題11(難易度・低)

約10年ぶりぐらいの出題で、副産物からの出題を予測していた人はびっくりしたかもしれませんが、これも過去問でみたことがあれば、当たり前に現場で行ってる対策を書けばいいので比較的イージーだったのではないでしょうか。

・・・いかがでしたでしょうか。トータルで見ると、難易度は低~中かなという感じの問題も多く、記述以外では6割以上解けた受験生は多かったのではないでしょうか。後は、きっちり施工経験記述が書けていれば合格の可能性は高いと思います。いい結果が出ることを祈りましょう!

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大阪工業大学を卒業後、某ゼネコンに就職。現在、一般社団法人全国教育協会(関西建設学院)にて土木・建築施工管理技士の資格取得セミナーの講師を担当している。体育会系で勉強が好きではなかったため、「勉強が苦手な人にわかりやすい解説」をモットーに、業界No.1講師を目指して修行中!
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