元請の求める書類のクオリティに混乱
ここ一年ほど、プラント建設の安全専任として仕事をしている。最近、元請の人間から書類のことで色々と言われていることがある。
それは、各サブコンから出てくる書類の不備についてがほとんどだが、中には、提出する前に一通りチェックをして、通常ならそこまで言わないだろうと思うような箇所まで指摘されるものもある。
具体的な例をあげると、㈱ではなく株式会社と書くこと、印が薄くよく見えない場合はしっかり判別出来るように再押印すること、住所と宿泊所が一緒の場合でも同上では駄目でしっかり住所を書くこと、などだ。
つい最近あった指摘では、元請に提出する新規入場者教育時の書類に関して、「遡って書類を確認したところ、不備があったので直すように」と指示が来た。いくつかの書類に血圧を書く欄があるのだが、その数値が違っていると言う。
確認したところ、確かに事前に提出されている健康診断書に記載のある数値とは異なっていた。書いた本人に事情を聴くと、その書類を書く時、会社に血圧計があったので計り、その数値を書き入れたとのことだった。
血圧は、体調が変われば数値は微妙に変わるので、最新の測定を書くほうが正直な報告だと思うが、医療機関での数値のほうが正確だという理由から、全部、健康診断時の数値に合わせて欲しいと言われた。
私からすれば、余程数値に振れ幅がない限り、そこまで大きな問題ではないように思えるが、それでは駄目だと元請の人間は言う。
私もそんなことでいちいち言い争う気もないので「ハイ」と返事をしたが、考えようによっては、書類をよく見てる証拠だなと後々思う出来事になった。
作業員名簿は必ずしも一致している訳ではない
ただちょっと困ったケースもあった。
各会社からの作業員名簿を元請に提出しているのだが、その名簿に載ってる名前と実際に現場に来てる作業員達の名前が、必ずしも全部一致している訳ではないという場合だ。
送り出すほうは事前に予想をつけて、誰と誰を送り込もうと考えているが、その人数や人は時として変更になるケースがある。30人程の名簿を渡されたが、蓋を開けてみれば、その中から数人しか現場には来なかった、なんてこともあった。
つまり手元にある名簿は、今現在働いている正確な作業員名簿ではないということだ。それを指摘された。
「新規入場者教育を受けた人達の記録と、作業員名簿の人数、名前が一致しない。実際に、現時点で現場にいる人達が分かるような名簿じゃないと意味がないので、書き換えるように」と指示があった。
これは、元請の書類担当の言い分が正論だ。ぐうの音も出ない。
厳密にやろうとすれば、毎日毎日その日にいる作業員の名簿を作らないと、本当に正確な名簿にはならないだろう。だが、実際に毎日書類を作って提出するまでのことを考えると、溜息しか出て来ない。
この件をサブコンに問い合わせると、「これから新たに送り込もうと思ってる人もいれば、今の現場から引きあげて途中から別の現場に行く人間もいるので、その都度、正確に現場に入ってる人間を訂正していくのは勘弁してくれ」と言われた。
確かに作業の進み具合によっては、毎日この現場に来る作業員ばかりではない。また、急遽人が入れ替わることも珍しくない。サブコンの言い分もよく分かる。
ただ、どこかで折り合いをつけないといけない。
毎日名簿を作っているとあまりに書類が煩雑になるので、作業員名簿に今現場に来てる作業員に印を付けて、週に一回提出することで何とか納得してもらった。
私が所属してる今の会社より、はるかに多くの作業員を抱えているサブコンの人間にこの話をしたところ、「あぁ、そのことはうちも言われたよ。でも、そんなこと出来る訳がない!出来ません!そう言ってやったよ」と、鼻息荒く教えてくれた。
現場の人間からするとそうだよなぁ…と、しみじみ思う出来事だった。
それほど権限はないのに、責任重大な安全専任者
書類の作成や管理、現場に掲示しなければいけない掲示物の整理なども、全て安全担当者の仕事だが、ハッキリ言って、個人的にはあまり面白い仕事ではない。
だが、安全書類や施工管理台帳などは、いざという時は現場で一番重要な書類になるので、しっかり作っておかなければいけないのはよく理解している。
仮に大きな事故が起これば、安全専任者が労働基準局や警察に呼ばれ、書類を見られ、厳しい取り調べを受ける。安全専任者はそれほど権限もないのに、責任だけはとても大きい。
小さな作業であっても、仕事においての責任の重大さを忘れないよう自分に言い聞かせながら、今日も現場で安全専任として働いている。