トラブル封じの術!!
職人の世界から、戸建て住宅の施工管理の世界に足を踏み入れて約半年。上司からの無茶ぶりにより入社2ヶ月で7現場を任され、間もなくそのうちの3現場が、工程が滞ることなく無事故で竣工を迎えようとしています。
新米現場監督に丸投げとはいえ、お客さんや営業さんから見れば「工事責任者」という目で見られるのは当然なので、泣き言も言っていられず…。右も左も分からない状態でも、現場を受け持ったからにはプロという意識を持って、毎日仕事と真剣に向き合っています。
とはいえ、今こうして新米施工管理者の私が、工程が滞ることも事故もなく工事を終えようとしているのは、不思議な気持ちです。言ってみれば、これは「まぐれ」なのかもしれませんし、たまたま簡単な現場だったのかもしれません。
直属のセコカンの先輩からは、「キミの現場は決して簡単な現場ではないよ」と言っていただけたものの、正直、受け持った現場が施工管理的に難しい現場だということすら、よく分かっていないレベルです(笑)。
ただ、分からないからこそ、がむしゃらに目の前の課題を勉強・予習し、手を打つという連続でした。今こうして無事に竣工まで迎えられたのはなぜなのか、自分自身で振り返って分析してみることにしました。
思い返せば思い返すほど、実に様々なトラブルがありました。ですが、実際には現場が止まってしまうようなトラブルは起こっていません。
つまり「トラブルがなかった」のではなく、「トラブルが大きくなる前のまだ誰も気づかないくらいのうちに解決し、トラブルの肥大化を抑え込んだ」ということです。
いわゆる、トラブル封じの術です!!と、カッコよく言ってみましたが(笑)、要約するとこうです。
- トラブルとなる”根っこ”が生えた瞬間に真っ先に断つ
- 次工程に入る前にはクリアにする
- トラブルをなかったことにする(徹底的にトラブルを未然に防ぐ)
スピード対応が信用、信頼に繋がる
トラブルは、大きくなる前に根絶することが大切です。その際、重要なのが「スピード感」です。対応が遅い現場監督は信用されないですし、もちろん信頼もうまれません。
大小限らずトラブルは100%あるものなので、トラブルが発生した際には、「待ってました!」くらいの気持ちで、スピード勝負で臨むことが重要だと思っています。それを痛感した私の実体験を2つご紹介します。
「近隣からクレームが来てます」と会社から連絡が…
事務員 近隣の方から○○の件でクレームが来ています。
Takict 了解!最優先でこれからすぐ行くので、1時間後の○時○分にお宅に伺うとすぐお伝えください!
こう伝えて、約束した時刻を絶対に死守する。たったこれだけです。どう説明しよう…などと考えることは余計な時間を浪費するだけでなく、対応が遅いことで相手の怒りを増幅させる可能性もあります。
とにかく、これでもかというくらい現場にいち早く直行し、対応する。これが重要です。スピード対応をした結果、クレームはどうなったでしょうか。
近隣の方 早い対応に関心しました。
会社 すぐに動いてくれてありがとうございます。
このように、悪いイメージや問題は払拭され、どちらからも厚い信頼を獲得することができました。
現場の外壁職人さんの工程が気になり…
ある日、仕事中の会話で「外壁」というキーワードが出た時、ふと自分の現場の外壁職人さんの工程が気になったので、なんとなく電話をすることにしました。
Takict 外壁は○日~○日の予定でしたよね?予定通りで大丈夫ですか?
外壁屋 ああ!!そうだっけ!?あれっ!?他の予定と間違えてた!!
Takict (苦笑い)。いや、気をつけてくださいね(笑)。
外壁屋 早く確認してくれて助かったよ。大丈夫!予定通りでお願いします!
結果として、予定通りに工事は完了しました。もしあの時、何も確認していなかったら、当日になって「職人がこない」「物がこない」というような、とんでもなくくだらないトラブルになっていたでしょう。気になったら即確認!
確認するだけでも、トラブルの根っこは発見できるものです。思えば、このようにすぐ反応・すぐ行動で対応することで、何個もトラブルの根っこを断ち、信頼を獲得しながら今日まで来ることができたのだと思っています。
これぞ、まさにトラブル封じの術!!
と、またカッコよく言ってみましたが、術でもないし、ネーミングセンスもイマイチなので、もうこれ以降は使うのはやめようと思います(笑)。
トラブルの根っこの正体
私自身、ここまでなんとか大きなトラブルもなく来ることができましたが、実はトラブルの根っこが知らぬ間に成長してしまっていて、最後にトラブルが発生してしまう可能性だって大いにあります。
トラブルが発生する要因は、「盲点」にあると思っています。では、その「盲点」は何からうまれるのでしょうか?
- 「これくらいならいいだろう」
- 「きっと大丈夫だろう」
- 「確認しなくてもいいだろう」
- 「あの職人ならちゃんとやってくれるだろう」
この「~だろう」が、”トラブルの根っこ部分“だと思っています。つまり、トラブルの正体は「仕事への慣れが作り出している」ということです。
慣れが盲点をうみ出し、盲点からトラブルの根っこがうまれ、気付かぬうちに肥大化したトラブルで、他人や会社に迷惑をかけてしまう。これは、私自身も心に留めておかなければならないことだと思っています。
「慣れに流されない強さ」というのは、工事の責任を担う施工管理者にとって重要なスキルの一つと言ってもいいのではないでしょうか。
慣れに流されることなく、「よし!今日もフレッシュマンの気持ちで行くぞ!」と常に初心にかえり、トラブルの根を見つけた時にはしっかりと刈り取っていきましょう。ご安全に!