都市開発

デベロッパーの意味とは?大手企業10社と平均年収ランキングを紹介

英語の「デベロッパー(developer)」の意味は、「開発者」や「発展させる人」です。その意味の通り、不動産・建築業界におけるデベロッパーとは、個別の建物から大規模な街や地域の開発にまで携わる仕事です。

しかし、単に「不動産開発」と聞いても、仕事内容をイメージしにくい人も多いのではないでしょうか。この記事では、デベロッパーとはどのような仕事か、デベロッパーに必要とされる資格や仕事のやりがい、年収などを詳しく解説します。

デベロッパー(ディベロッパー)とは

ここでは、不動産業界におけるデベロッパーとはどのような位置づけにあるのか、またデベロッパーと混同されやすいゼネコンとの違いについて説明します。

不動産業界におけるデベロッパーとは

一言で不動産業界と言っても、その業務内容は多数の分野に分かれています。それらの業務を大まかにまとめると以下の4つです。

  • 建物の建築計画や事業を展開していく「企画・開発事業」
  • マンションや家、土地などを得る「売却・販売事業」
  • ビルやマンションなどを管理する「管理事業」
  • 賃貸や売買を取りまとめる「仲介」

この分野のうち、主に不動産や建物の「企画・開発事業」を行っている業界や企業をデベロッパーと呼びます。

デベロッパーが関わる仕事は、ビルの建築から街全体の開発プロジェクトまで、幅広くかつ大規模な事業内容となることが大きな特徴です。

ゼネコンとの違い

デベロッパーが不動産開発の計画を立てたり、企画を展開させたりする仕事内容であるのに対し、ゼネコンとは、実際に工事をして建物を建てていくといった、建設業務に携わっている総合建設会社のことを指します。

総合建設会社とは、ビルやマンションなどを建てるための設計、資材の調達から施工の実施まで、すべての工程を総合的に管理して工事を進め、建物を完成させる事業および企業のことです。

大手デベロッパーの仕事内容

次に、不動産業界におけるデベロッパーの業務内容はどのようなものなのか、具体的な仕事内容についてみてみましょう。

用地を仕入れる

開発業務を始めたり、企画や計画を立てるためには、まず建物を建てたり開発をしたりする土地が必要です。不動産開発の土地を探し出して購入することを「用地仕入れ(用地取得)」と言いますが、デベロッパーの仕事は、まずこの用地仕入れから始まります。

土地探しには情報収集や市場調査などが必要です。そのため、不動産の知識だけでなく、経済全体やマーケティングの知識も必要となります。

また、土地を探し出して購入するといっても、土地は有限なので開発したい地域の土地が簡単に手に入るわけではありません。土地の所有者への売却依頼や交渉といった手腕にも長けていることが求められます。

開発計画を立てる

開発用地が準備できたら、開発計画を立てます。取得した土地の立地や周辺環境をより詳しく調べ、その場所にふわさしい開発や街づくりがどのようなものになるのか、また開発を成功させるために必要な建物や施設などは何かといった内容を精査することが必要です。

そして、建築士やデザイナーなどと共に、どのような建物を建てるかといった具体的な構想や設計を打ち出していき、具体的な工事内容などが固まったら、どのゼネコンへ工事を依頼するかを決定して工事の発注をします。工事中も、何度も現場確認や打ち合わせをしなければなりません。

販売・募集活動をする

工事が完了して建物や街づくりなどのハード面が出来上がったら、入居者やテナントなどを募集する営業活動の開始です。いくら外側の入れ物を作り上げても、活用できなければ意味がありません。

開発目的やコンセプト、地域のニーズなどに合った店舗やオフィスなどを誘致します。その際に、自社で抱えている不動産流通部門が営業を担う場合もありますが、外部の企業と提携して進めることも多いです。

管理をする

リーシングなどの営業活動によりオフィスや店舗の入居が完了すれば、管理業務の開始です。テナント管理や建物の管理を中心に、入居者が安心して快適に過ごせるように点検や修理、入退去時の対応などを行います。

同じ企業内で管理部門を設けているところもあれば、管理業務を外部に委託しているところもあるので、委託先の管理会社からの報告を確認したりすることも大切な業務です。

デベロッパー企業の種類

どのような開発を行っているかによって、デベロッパー企業はいくつかのタイプに分けられます。どのようなタイプがあるかをみてみましょう。

大規模開発を手がける大手企業の「総合デベロッパー」

デベロッパー企業の代表とも言えるのが、大規模開発を手掛ける総合デベロッパーです。総合デベロッパーは仕事の規模が大きく、さまざまな部門が必要になるので、必然的に大手企業であることが多くなります。

マンション開発の「マンションデベロッパー」

主に分譲マンションの開発を手掛けているのが、マンションデベロッパーです。マンションのニーズのある土地を取得し、建設して分譲します。

公共団体や公社などの「公的デベロッパー」

公団や公社といった、国や地方自治体などのもとで街の開発や基盤整備などに携わっているのが、公的デベロッパーです。住宅都市整備公団などがあります。

デベロッパー大手企業10社と平均年収ランキング

ここでは、デベロッパー大手企業10社と各社の平均年収をご紹介します。

デベロッパー大手企業10社

  • 三井不動産株式会社
  • 三菱地所株式会社
  • 住友不動産株式会社
  • 野村不動産ホールディングス株式会社
  • 東急不動産ホールディングス
  • 森ビル株式会社
  • ヒューリック株式会社
  • 東京建物株式会社
  • 飯田グループホールディングス株式会社
  • 株式会社オープンハウスグループ

平均年収ランキング

デベロッパー大手企業10社の平均年収ランキングをご紹介します。(掲載している平均年収は、最新の有価証券報告書を参照しています)

  • ヒューリック株式会社 平均年収:1,904万円
  • 三井不動産株式会社 平均年収:1,269万円
  • 三菱地所株式会社 平均年収:1,246万円
  • 野村不動産ホールディングス株式会社 平均年収:1,033万円
  • 東急不動産ホールディングス 平均年収:1,030万円
  • 東京建物株式会社 平均年収:1,009万円
  • 森ビル株式会社 平均年収:887万円
  • 飯田グループホールディングス株式会社 平均年収:801万円
  • 株式会社オープンハウスグループ 平均年収:731万円
  • 住友不動産株式会社 平均年収:713万円

デベロッパーの平均年収は、在籍している企業の規模や種類、また年齢や成績によって大きく異なりますが、500~600万円程度と言われています。しかし、平均年収が1,000万円を大きく超えているデベロッパー企業も数多くあるので、職種としては高収入に属していると言えるでしょう。

デベロッパーになるために必要な資格、向いている人

ここでは、デベロッパーの仕事に就くために必要な資格や仕事のやりがい、デベロッパーに向いている人などをご紹介します。

デベロッパーとして働くために必要な資格

デベロッパーとして働くには、初めからデベロッパー企業に入る以外にも、不動産業界で何年か経験を積んでからデベロッパーに転職するという方法もあります。

デベロッパーとして働くために必須の資格は特にありませんが、不動産関連の資格を取得しておくと有利であり、また就職後に取得を求められる場合もあります。

一例を挙げると、宅地建物取引士、不動産鑑定士、管理業務主任者などです。また、司法書士や行政書士といった法律系の資格も役立つことがあります。

デベロッパーの仕事のやりがい

デベロッパーの仕事のやりがいは、街づくりや地域開発といった大きな仕事に携われる点にあります。

プロジェクトの一員として仕事をやり遂げれば、日常生活では味わえないような達成感が得られることでしょう。また、年収も高く、成績次第ではかなりの高収入を狙える点も魅力の一つだと言えます。

デベロッパーの仕事に向いている人

前述した通り、デベロッパーで働くために必須の資格はありません。ですが、不動産業界におけるデベロッパーの業務は多岐にわたるため、コミュニケーション能力はもちろん、高い交渉力や臨機応変に対応する力も求められるでしょう。

デベロッパーの仕事に向いている人の特徴として、責任感がある人、チームワーク意識が高くコミュニケーション能力がある人、リーダーシップがある人などが挙げられます。

デベロッパーは街や都市の開発に関わる仕事

デベロッパーとは、不動産開発全般に携わる仕事です。実際に建設工事に携わるゼネコンとは異なり、計画や企画を立案して実行していくといった仕事をします。

デベロッパーの仕事は多岐にわたりますが、不動産関連の資格を取得していると有利な場合が多いです。

努力次第で高収入が得られるだけでなく、街づくりや地域開発といったやりがいや達成感のある仕事ができる点が魅力だと言えるでしょう。

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