ベタ基礎とは?布基礎との違いやメリットを簡単解説

ベタ基礎とは、建物を支える土台の部分全体を鉄筋とコンクリートで補強することです。建物全体を面で支えるため、荷重を分散できるという特徴があります。

この記事では、布基礎との違いや、ベタ基礎のメリットについて詳しく解説していきます。

ベタ基礎とは

ベタ基礎とは、建物の基礎部分全体を鉄筋コンクリートにして、補強する基礎工事の手法です。

基礎の立ち上がり部分に加えて、建物の土台となる地面もすべて鉄筋とコンクリートで覆うため、建物の重さが分散されて強度が高まるという特徴があります。

現在では多くの戸建て住宅などで利用されており、耐震性を高める役割も果たしている手法です。

布基礎との違い

布基礎(ぬのきそ)も、基礎工事の手法として広く利用されています。布基礎は、地面から立ち上がって建物を支えている部分に鉄筋が入り、その周辺をコンクリートで覆う手法です。

一見、ベタ基礎と同様、全体を鉄筋とコンクリートで覆っているように見えますが、実際のところは立ち上がっている部分だけが覆われているので、点で建物を支えていることになります。

そのため、面で支えるベタ基礎と比べると支柱にかかる荷重が大きく、強度は低くなるでしょう。また、コンクリートの厚みもベタ基礎よりは薄いことが多いので、耐震性も低くなる傾向にあります。

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ベタ基礎の4つのメリット

ベタ基礎のメリットとしては、次の4つが挙げられます。

  1. 耐震性に優れる
  2. 強度に優れる
  3. 防湿効果を期待できる
  4. シロアリ被害を予防できる

1.耐震性に優れる

ベタ基礎は、厚みのある強固な鉄筋とコンクリートで建物の土台全体を覆う工事手法のため、建物の重量を分散させます。万が一、地震によって建物に強い力がかかったとしても、特定の部位だけに集中して力がかかることがなく、建物の倒壊を回避することが期待できるでしょう。点で支える布基礎よりベタ基礎のほうが、優れた耐震性を有する工事手法といえます。

2.強度に優れる

ベタ基礎では、地盤全体と建物を支える支柱部分を鉄筋とコンクリートで覆うので、建物の強度を増すことができます。一般的に布基礎のコンクリート部分の厚さは5cm程度ですが、ベタ基礎は15cm程度と約3倍厚く、重い建物を強固な土台で支えているといえるでしょう。

3.防湿効果を期待できる

家屋に湿気が入り込むと、木材でできた壁や天井などの構造部分が腐食し、早期に住宅が劣化してしまう恐れがあります。ベタ基礎の厚いコンクリートの層は、地面から湿度が上がってくるのを防ぐため、家屋全体の防湿効果も期待できるでしょう。

4.シロアリ被害を予防できる

ベタ基礎では厚いコンクリートで土台を覆っているので、シロアリが家屋に上がって来にくいというメリットがあります。また、厚いコンクリートで地面から湿度が上がってくることも防ぐため、シロアリなどの生き物が繁殖しにくい点も、シロアリ予防につながっているといえるでしょう。

ベタ基礎か布基礎か迷ったときは?

ベタ基礎は耐震性と強度に優れ、なおかつシロアリ予防や除湿効果も期待できる優れた工事手法です。しかし、場合によっては布基礎を選ぶほうが良いこともあります。

以下の4つのシチュエーションに分けて、ベタ基礎と布基礎のどちらを選ぶほうが良いのか見ていきましょう。

  • コストにこだわるなら布基礎
  • 寒冷地も布基礎のほうが良いこともある
  • 耐震性にこだわるならベタ基礎
  • シロアリ・湿気が気になるときもベタ基礎

コストにこだわるなら布基礎

ベタ基礎は鉄筋とコンクリートで覆う面積が広く、しかもコンクリートの厚みも布基礎より厚いので、材料費も手間もかかるため費用が高くなってしまいます。コストにこだわるのであれば、布基礎を選ぶほうが良いでしょう。住宅の建坪が広ければ広いほど基礎工事の費用は高くなるので、どんな手法を選ぶかによって大きな差が生まれます。

寒冷地も布基礎のほうが良いことがある

寒冷地では地面が凍結しやすく、特に気温が低い日は地面のかなり深い部分まで凍結し、基礎部分を押し上げることがあります。そのため、寒冷地では地域ごとに基礎工事の深度が決まっており、規定の深度よりも深い部分から基礎工事を行わなくてはいけません。

ベタ基礎は建物の下全体にコンクリートを入れるため、コストがかかる手法です。深く掘り下げて工事を行うとなると、さらにコストがかかり、基礎工事だけでも莫大な費用がかかりかねません。そのような理由もあり、基礎工事に費用がかかりがちな寒冷地は、布基礎が適している場合もあるでしょう。

耐震性にこだわるならベタ基礎

耐震性にこだわって住宅を建てるのならば、建物全体を面で支える高強度のベタ基礎を選ぶほうが良いでしょう。しかし、布基礎であっても建物を直接支える立ち上がり部分の底部を広くしたり、コンクリートを厚くしたりすることで耐震性を高められることもあります。耐震性にこだわる場合は、工事手法だけでなく、工事の内容も詳しくチェックするようにしましょう。

シロアリ・湿気が気になるときもベタ基礎

住宅を長持ちさせるためには、シロアリを予防するだけでなく防湿も心掛ける必要があるので、長く住める住宅を建てたいと考えているのであれば、ベタ基礎を選ぶほうが良いでしょう。また、湿気が家屋内に上がってこないことで、床冷えも回避できます。

工務店やハウスメーカーに尋ねてみよう

地域あるいは住宅業者によっても、ベタ基礎と布基礎のどちらが良いかの基準が異なるケースもあるので、工務店やハウスメーカーに基礎工事の手法について相談してみましょう。

また、住宅業者によってはベタ基礎と布基礎のどちらか一方の手法しか対応していないケースもあります。希望に合わない基礎工事しか対応していないときは、別の業者に相談する必要も生じるでしょう。時間と手間がかかっても、住宅を支える大切な土台部分にこだわって、住宅を作っていくことが大切です。

家の基礎についても真剣に考えてみよう

住宅を建てる際には、つい内装や外装などの目に見えやすい部分にこだわりがちです。もちろん、それも大切なことですが、住宅を支える基礎工事についても真剣に考え、こだわってみてはいかがでしょうか。

耐震性や強度にこだわる方であれば、ベタ基礎が良い選択肢となるでしょう。しかし、ベタ基礎であってもコンクリートが薄いのでは、思ったような強度が発揮されないことがあります。工事手法を選ぶだけでなく、工事の内容についても詳しく尋ね、納得できる方法で施工してもらうようにしましょう。

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