国道57号復旧から1年。変化がもたらす"光と影"

国道57号復旧から1年。変化がもたらす”光と影”

国道57号の復旧で経済や生活環境が改善

先日、熊本日日新聞に、国道57号復旧から1年たった現在の状況が掲載されていた。

熊本地震で大きな被害を受けた国道57号現道部と北側復旧道路が、昨年10月に供用開始して1年が経過。熊本市~阿蘇市との往来について、交通量が増え、迂回路だったミルクロードの渋滞緩和にもつながっていると書かれていた。

特に、阿蘇市にとっては観光業の復興へ光明が差し、人が戻ってきているそうだ。先日は阿蘇山の中岳が噴火したが、落ち着いてきたことでまた賑わいを見せているらしい。

熊本地震やコロナ禍、大規模な水害等によって、観光業は厳しい時期が続いていたと推察されるが、人が戻ってきているということは、地域に落ちるお金も戻ってきているのではないだろうか。

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安定した緊急道路の確保、渋滞緩和も

改善されたことはそれだけではない。救急車などの緊急車両が安定して通行できる道路となっていることもあり、安定した緊急道路の確保にもつながっている。

冬季はミルクロードなどの道路が凍結するため、救急隊員への負担は大きかっただろう。しかし、今では、北側復旧道路を通ることで熊本市域への基幹病院へ安定して搬送できるようになった。道路線形がよく、スピーディーに搬送できるようになったこともあり、担当する隊員の負担軽減にもつながっているそうだ。

さらに、渋滞緩和にもつながっている。阿蘇市から熊本市域、もしくはその逆方向もそうだが、通勤による往来はとても多い。

地震後はミルクロードを通るしか道が無く、渋滞が発生することもしばしばであり、往来に時間がかかっていた。しかし、現在は大きく短縮が図られ、交通の便も改善しているようだ。

建設に関わった者からすれば、利便性が向上したり、緊急道路確保ができたり、観光面にも貢献できるということが目に見えてわかるということは、非常にありがたいことである。苦労が報われる気分だ。


インフラ整備は移住促進にも寄与

阿蘇地方では、もともと移住を希望する人がいるようなのだが、それがさらに促進されるかもしれない。

特に最近は、コロナ禍によるテレワーク導入・促進されている背景もあり、地方に移住して仕事に取り組む人が増えてきている。自然豊かな場所で、のどかな風景を楽しみながら仕事をしたい人には、阿蘇地方はうってつけの場所と言えるだろう。

阿蘇市では、宅地整備の計画もあるとのことで、さらなる移住促進が図られるかもしれない。地震直後は移住を希望する人はほとんどいなかったようだが、時間が経つにつれ、居を構える人が少しずつ増えてきているそうだ。さらに、これからは商業施設の誘致にも力を入れていくようだ。

状況の変化は、光がある一方で影もある

一方、交通が分散したことで交通量が減った地域では、ファミレスが撤退したり、コンビニが移転するといった副作用が生じているようだ。

状況が変化するということは、光があれば影も生じるということだ。

すべての人が恩恵を被るということはまずないだろう。だからこそ、影をいかに光に変えていくかが、自治体やそこに住む人々に問われる。

嘆いたり批判をしたって何も変わらない。状況が変わったのなら、それにどう対応するか、どう変えていきたいかをみんなで一緒に考え、やれることを1つずつやっていく。

その先に、「真の復興」があるのではないだろうか。

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建設コンサルタントに勤務する技術者。一時期、派遣社員としてゼネコンの現場事務所にCADオペや施工管理、工務係として勤務したことあり。積算はもちろん施工計画などいろんなことでわからないことだらけで日々勉強中。
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