現場監督が派遣会社を選ぶ上でいちばん大切なこと

現場監督が派遣会社を選ぶ上でいちばん大切なこと

派遣会社を選ぶためにいちばん大切なこと

今年で67歳になるわたしは今、人材派遣会社に登録し、その会社の派遣社員として現場で働いている。

これまで派遣社員として働く際には、付き合いのある複数の派遣会社に、それぞれの会社が抱えている現場案件の話を聞きつつも、仕事の切れ間ごとに新しい派遣会社にも声を掛けて、常に自分の窓口を広げるようにつとめてきた。

だが、ここ4~5年は新たな派遣会社に声を掛けることは少なくなった。

この歳になると、わたしの仕事に対する思いと、履歴書や経歴書だけを見てくる派遣会社の考えに大きなズレが生じることは十二分に承知しているので、仕事を探すときにはわたしのことをよく知っている担当者がいる派遣会社が中心になってくる。新たな派遣会社を探すのもせいぜい年に2、3件に留めて、これまで付き合いが深い会社からの案件探しが中心となっている。

そんな長年、さまざまな派遣会社で働いてきたわたしが、これまで所属する派遣会社を決めるにあたって、いちばん大切にしてきたことがある。

“モノ言える”派遣会社に登録すべし

それは、わたし自身が建設現場で何らかの事故に遭ったとき、最悪、死亡したときに、派遣会社とその担当者が、どこまでわたしの残された家族の立場に立ってくれるかどうか。

つまり、事故があったときに派遣先の建設会社の言いなりとなるのではなく、しっかり主張すべきことを言える会社、もしくは担当者かどうかだ。

だが、派遣社員として働くほとんどの現場監督がそこまで考えていないように見えるし、派遣会社側も死亡した際にどのようなフローで家族に保険金が支払われることになってるいるかまで、明確に答えられる担当者は滅多にいない。

だが、建設業界で働くということは、様々な危険がつきまとう。とくに、わたしは長年、海外現場で働いてきたが、海外では事故に遭う確率がグーンと跳ね上がる。

これはわたしが海外で働く中で聞いた話で、あくまで参考までに聞いてほしいのだが、

  • 海外で暴動に巻き込まれて死亡し、その遺体を搬送する費用が700万円
  • 緊急事態によって自国から脱出するための航空費用が50万円
  • 行方不明になった際の捜索費用が2000万円
  • 事故に遭い、家族が現地入りするための渡航費用・宿泊費などが家族2人分で500万円

など、事故などに巻き込まれたときには大きな金銭的な負担を負うことになるという。それに、その間に家族に掛かる精神的な負担も計り知れない。

国内ならともかく、言葉もまるで通用しない国へ行き、あやふやな情報に振り回され、精魂尽き果ててやっとの思いで帰国したら、ビックリするような金額の請求書が届いた・・・。そんなことは実際に起こりうることだ。

そんなとき、海外案件に不慣れだったり、現場を理解していないような派遣会社や、何でも派遣先企業の言いなりとなり二つ返事で応対してしまうような派遣会社では、まったく頼りにならないのは火を見るより明らかだ。

給料だけで派遣会社を決めるのは危険

わたしがこんなことまで考えるようになったのは、海外でそれなりに危険な目に遭ってきたからだ。

派遣会社で働いている方、もしくは働こうと思っている方は、まずはせめて口頭でもいいので、事故後の対応等について担当者と具体的に話をしてみることをお勧めする。そして、それを家族あてに残しておくとなお良い。

最後に、わたしには、海外のギリギリの緊張感の中で本音で付き合ってきた仲間と呼べる人たちが13人いる。その中の10人は今も海外の現場で働き、わたしを含む3人が日本にいるのだが、この13人のうち10人は現在、派遣社員として働いてる。彼らが所属している派遣会社に共通していることは、どこも案件の内容に精通し、実績がある、派遣社員の立場に立てる派遣会社であるということだ。

世の中には数えきれないほどの派遣会社が存在するし、一見すると魅力的な案件も多く掲載されている。

だが、これから派遣会社に登録するつもりの方、とくに海外で働きたいと思ってる方は、ただ給料だけで判断するのではなく、自身と家族を守るためにも、ぜひその派遣会社と担当者の質をしっかり見極める努力をしてほしい

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アジア、アフリカなど海外の建築現場で長年、施工管理に従事している。世界中で対日感情が良好なのは、先人たちの積み重ねである。日本人として恥ずかしくない技術者でいたい。
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