建設業の生産性向上に「前向きな企業」と「後ろ向きな企業」の違い

建設業の生産性向上に「前向きな企業」と「後ろ向きな企業」の違い

生産性向上に前向きな企業と後ろ向きな企業

先日読んだ日経コンストラクション(2022年3月14日号)の中で、建設業における生産性向上についての取り組みが紹介されていた。

特集で紹介されている企業はいずれも地方にある中小企業だ。実際に取り組んでいる企業は、今回紹介されている企業だけではなく他にも多く存在する。

しかし、取り組みを行っている企業の数はまだまだ少ないというのが実情だろう。実際に取り組んでいる企業がいるので、生産性向上は不可能ではないはずだが、いまだ取り組んでいない企業は、正直やる気がないというのが本音ではないだろうか。

これまでも旧態依然のやり方でうまくやってきたし、今もうまく回っているのだから、そんなの必要ない!と考えている経営者も多いのではないかと考える。成功体験が積み重なっての考え方なので、そうなるのも仕方ないとも言える。

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積極的に生産性向上に取り組んでいる企業の共通点

生産性向上に意欲がある企業を見ていると、ある共通点があることに気づいた。それは”経営者(社長)が若い”ということだ。30代~50代前半の社長が経営する企業は、生産性向上のために様々な取り組みを行っている。

ICTを積極的に活用することはもちろん、残業削減にも積極的に取り組んでいる。残業代が減った分の補填は基本給をアップしたり、賞与や各種手当を活用しているところもあると聞く。

何より時代の変化に敏感だ。自社の業務に活用できそうだと感じたことを、積極的にいろいろと試しているのが見て取れる。そしてPDCAを素早く回し、常に新しいことにチャレンジしようとしている。

もちろん手間暇はかかるし、費用だってバカにならないだろう。さぞ苦労が多く、人材不足にも悩んでいるのかと思いきや、そういった企業にこそ若くて優秀な人材が集まり始めているらしい。

「やる気はあるのか?」と疑問に思える企業

一方、年齢で差別するようで恐縮だが、高齢の経営者が率いている企業の多くは、変化に鈍感になっているように感じる。

これは仕方ない要素もある。私もそうだが、年齢を重ねていくにつれ、変化に対して恐怖や不安を感じたり、今の状態が居心地よく感じるものだ。

ましてや、これまでICTなどを導入しなくても、それなりに業務を回すことができたわけだから、何も問題ないじゃないかと思ってしまう。今までやってこれたのだから変えなくてもいいじゃないか、前例だって少ないのに…となるのは、一理あると考えている。

しかし、そのような企業に未来があるのか?というと疑問が残る。今までよりも生産性が向上している企業と、競争して勝てるのか?生き残れるのだろうか?淘汰される可能性だってある。

もしも、今までと同等の金額でもっと短期で工事ができる企業が現れたら、どうやって勝負するのか?もっともっと安価で工事を請け負うのか?ただその場合、最低制限価格を下回れば失格となって受注機会を逃すこととなる。

生産性向上に対してやる気がない場合、工事の受注機会を逃がす可能性もでてくるわけだ。

将来、経営コンサルが建設コンサルに取って代わる?

日経コンストラクションでは、経営コンサルタントが建設会社と協力して生産性向上に取り組んでいる事例も紹介されている。経営コンサルタントが生産性向上のための取り組みを助言し、それを建設会社が試行錯誤しながら現場作業に取り入れているそうだ。

本来なら、建設コンサルタントが取り組むべきところを、経営コンサルタントが入り込んでいるということだ。もしかすると、今後は建設コンサルタントが取り組むべき領域の一部(もしくは大部分)を、経営コンサルタントが取って代わるかもしれない。

そうなると、建設コンサルタントは工事の設計だけをすればよい、全体のマネジメントは経営コンサルタントが入ってくる、といった事態となることも考えられる。生産性向上に前向きな企業と後ろ向きな企業では、大きく今後の明暗が分かれるかもしれない。

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大手建設会社に勤務する30代の建設技術者。 工事費1000億円超の現場で、計画・設計等を担当しています。