首都高若手社員シリーズ第3弾【入社3年目 王さん】
首都高若手社員シリーズを二週にわたり掲載してきたが、最終回となる今回は、入社3年目で、高速大師橋の更新事業に携わる王サイさんだ。
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現場や社員が「カッコ良かった」
――首都高に入社した理由は?
王さん 生まれ育った場所の近くで働くたいという思いがあり、その上で、就活では、空港、鉄道、道路といった会社に関心を持って活動しました。
会社を理解するため、いろいろな会社のインターンシップやOB訪問に参加し、その中で首都高のインターンシップに参加させていただきました。インターンシップでは、東品川・鮫洲更新事業の現場見学があり、都市内の狭隘かつ隣を車が走っている場所で、大規模な工事を進める様子を見て、直感的に「スゴくカッコいい」と感じました。
また、OB訪問では何人かの首都高社員の方々にお話を伺いました。仕事に対する熱い思いを語ってくれる方々ばかりで、それも直感的に「カッコいいな」と感じました。
――「転勤なし」が前提だったんですね。
王さん 私は千葉の人間なのですが、東京近郊で働きたいという強い思いがありました。
――首都高でこれをやりたいというのはあったのですか?
王さん 首都高では、これからインフラの大規模更新が非常に重要になると思ったので、そういった分野で自分が学んできた土木の知識を活かしたいという気持ちはありました。
――そもそもなぜ土木を学ぼうと考えたのですか?
王さん 私の実家は埋立地の上に建っているのですが、東日本大震災の際、液状化しました。停電や断水も起きました。当時私は中学生でしたが、その経験がインフラに関する原体験になっています。
高校に進学し、進路を決めかねていた際に、担任から大学のオープンキャンパスを進められ、そこで土木という学問の存在を知りました。ものスゴく幅広い学門だなと思いましたし、私たちの生活を支える非常に重要な学問だとも思いました。被災した経験も踏まえ、土木を学ぶことで、将来、社会に貢献したいと考え、志望しました。
――土木のなにを学んだのですか?
王さん 大学の学部ではコンクリート工学を学んで、大学院では地盤工学を学びました。
在宅勤務続きで、「これはヤバい」と思った
――最初の配属先は?
王さん 神奈川建設局の設計課でした。配属後まもなく、更新・建設局に組織改変されましたが、仕事の内容は同じです。携わった業務としては、国土交通省の京浜港湾事務所から受託した東扇島の港湾道路の設計業務があります。あとは、新大宮上尾道路の設計も担当しました。
――仕事に対する戸惑いなどはありませんでしたか。
王さん 入社早々、緊急事態宣言が出たので、6月ぐらいまで週1出勤になってしまいました。在宅勤務の態勢がまだちゃんと整っていない中、知識がないまま仕事に入っていったので、「これはちょっとヤバい」と思いました(笑)。このまま仕事を覚えられずに2年目になって、 新しく入ってきた後輩に「なんだこの先輩」と思われたらどうしうようと思い、焦りました。
緊急事態宣言が明けてからは、受注者さんと打ち合わせしながら、仕事を進められるようになりました。ただ、受注者さんがなにを言っているか理解できなかったり、自分の考えと比べると、上司が考えることは、 考え方や知識に幅の広さがあり、すごいなと思うとともに、仕事は難しいなと感じました。
――入社早々、まともに仕事を覚えられる環境ではなかったんですね。
王さん 最初は少し、戸惑いがありました。打ち合わせなどは全部リモートなので、画面越しでしか会わない人もけっこういました。仕事に少しづつ慣れてきた今となっては、リモートは便利なツールだと感じています。
生で見ると、スゴい迫力
高速大師橋更新事業の状況(4月中旬時点)
――現在はなにを担当しているのですか。
王さん 昨年10月から更新・建設局大師橋工事事務所というところで、高速大師橋の更新事業に携わっています。施工管理や品質管理、安全管理、工事費の算出などを担当しています。
――高速大師橋の更新事業は「世界に類を見ない工事」だそうですね。
王さん 世界的に見てどうかはわかりませんが、少なくとも、日本国内ではあまり事例のない施工方法だと認識しています。ザックリ言うと、この事業は、既設の橋梁の隣に新しい橋梁を組み立てて、2つの橋梁をスライドさせることで、橋梁を架け直すというものです。
更新事業ではありますが、私としては、新しい橋梁を架ける新設事業のような印象があります。新設橋は、3分割のうち、2ブロックは横浜と有明の地組場から台船に積んで運ぶことになっています。先日、中央径間の約130mのブロックが運び込まれ、架設されたのですが、生で見ると、スゴい迫力でした。
中央径間のブロックは約1900tあり、それを船で運ぶこと自体も、かなり大変なことです。風速が10m以上あると、揺れるので作業できません。波の高さが1m以上あっても、作業を中止します。天候に左右されやすく、スゴくデリケートな作業です。
多摩川の下流には、多摩川スカイブリッジという橋梁があるのですが、この橋梁を船がくぐるには、潮位が下がったときをねらうしかありません。潮位が高いと、橋梁に衝突してしまうからです。逆に、新設橋を現場水域内のベント上に架設する際は、潮位が高い時を狙い、 新設橋がベントを上越しする形で架設する必要性がありました。
――今の仕事は楽しそうですが。
王さん それは楽しいです。ただ、「日々勉強」という感じです。たとえば、積算業務というのがあるのですが、工事費の妥当性を自分で判断するのは、なかなか難しいと感じているところです。
YouTube動画はPRツールとして重要
――首都高のYouTube動画に出演していますね。
王さん 最初出たときは、設計変更業務のピーク時だったので、「ただただ出た」という感じでした。ただ、今となっては、YouTube動画はPRのツールとしてスゴく重要だと思っています。高速大師橋の更新事業では、2週間の通行止めをするのですが、通行止めに対するお客様の理解を得る上では、事前の広報が非常に重要だと考えるようになったからです。
工事の必要性、重要性を動画で分かりやすく説明することで、工事の周知、理解促進につながると考えており、YouTubeは広報として非常に重要なツールであると認識しています。首都高のファンになってもらうためにも、YouTubeは非常に良いものだと思っています。
――YouTuberとしての抱負は?
王さん ハードルは高いと感じていますが、首都高の工事を応援してもらえるようなファンを増やして、 結果的に再生回数を伸ばすような動画づくりをしていきたいです。
首都高リニューアルプロジェクト~高速大師橋更新工事vol.4(地組編) / YouTube(首都高速道路株式会社)