女性土木技術者のパイオニア
株式会社大竹組(徳島県牟岐町)には、女性土木技術者のパイオニア的な存在がいます。入職歴23年目の橋本美春さんです。
徳島県内の他の建設会社の女性からは「師匠」と呼ばれる橋本さんは、どのような思いで建設業に携わっているのでしょうか?
デスクワークはイヤ、現場で仕事をしたい
――土木に興味を持ったきっかけは?
橋本 阿南高専で土木の勉強をしたことです。姉が同じ高専で電気を学んでいたのですが、「土木は女子がいない」と言われたので、土木にしました。
――卒業後、大竹組に?
橋本 そうです。インターンシップでコンサル会社に行ったのですが、1日中机に座る仕事だったので、「これはイヤだ。現場の仕事がしたい」と思い、そこはやめることにしました。高専の先生にそう告げると、「今まで現場に行きたいと言った女子はいない。(そんなことを言っていたら)就職ないぞ」と言われました。事実、女性の先輩はコンサルが多かったです。5年生の2月まで就職が決まらず、焦りましたが、なんとか大竹組に就職が決まりました(笑)。
――デスクワークが嫌いだった?
橋本 当時は、現場の仕事もデスクワークがあることを知らなかったんです(笑)。とにかくデスクワークをしたくないという気持ちでした。
株式会社大竹組工事主任 橋本美春さん
出産を機に退職、転職後、大竹組に再就職
――あこがれの現場仕事はどうでした?
橋本 楽しかったです。女性技術者は私だけでしたが、スンナリ仕事に入っていけたし、周りからもメッチャ大事にしてもらいました。最初の3ヶ月は測量や生コン試験などの現場作業、内業を担当し、その後、様々な現場で監督をやりました。入社2年目に2級土木施工管理技士、5年目に1級土木施工管理技士の資格を取得しました。その後、結婚し、出産を機に、大竹組を退職しました。
――育児休暇ではなく、退職?
橋本 出産後、「子育てもあるし、ちょっと休んでみようかな」と思ったので、退職しました。大竹組は通勤時間が長かったので、自宅近くの別の建設会社に就職しました。しばらく育児に専念するため、しばらくしてそこも退職しました。専業主婦をしていたところ、旦那に「頼むから、仕事に行ってくれ」と懇願されました(笑)。私の収入がゼロになって、「1馬力ではツライ」からです。山西常務に「大竹組に戻りたいんやけど」と頼むと、「ええよ」の一言で再就職が決まりました。
橋本さんのアイデアで、工事の看板は「女性らしく」ピンクに。
吹流しのイラストも「鯉のぼり」になっています。