【ニチレキシリーズ#2】社員の能力を認め、ホメて伸ばす

【ニチレキシリーズ#2】社員の能力を認め、ホメて伸ばす

【ニチレキシリーズ第2弾】多様な働き方

ニチレキシリーズ第2弾は、エンジニア部門のはずだったが、あるテーマについて話を聞くというより、異なる仕事についてそれぞれに聞く感じになってしまった。

それはともかく、ニチレキにはいろいろな働き方、キャリアパスがあることを伝えるという意味では、それなりに有益な記事に仕上がったと言えなくもない。ということで、お三方それぞれの働きっぷりについて聞いてきた。

  • 澤 智之さん
    ニチレキ株式会社 技術研究所
  • 硲 真悠さん
    ニチレキ株式会社 道路エンジニアリング部
  • 大野 香澄さん
    ニチレキ株式会社 中部支店静岡営業所技術係

「この人達となら、やっていけるかもしれない」

澤 智之さん

――ニチレキに入社した理由をお願いします。

澤さん 私は関西の大学で化学を専攻していました。就職に際し、研究員になりたいということで、化学メーカーを中心に就活をしていましたが、あまりうまくいきませんでした。そんなときに、たまたま見つけたのがニチレキでした。

なにをしている会社なのかわからないまま、社員の方々とお話したところ、波長が合って、「良い人そうだ」と思いました。「この人達となら、やっていけるかもしれない」ということで、入社することにしました。

大野 香澄さん

大野さん 私は秋田の高専で化学の勉強をしていました。金属系、有機物系問わず、とにかく材料メーカーに興味があったので、そこに絞って就活していました。研究職志望でした。

そんなとき、ニチレキに就職した学校のOBから学校に「化学系でも良いから、人がほしい」という連絡が入りました。私にとって土木は異分野だったので心配でしたが、道路は生活を支える大事なものだし、自分にとって良い経験になるかなということで、入社しました。

硲 真悠さん

硲さん 私は商学部出身の文系の人間です。就活でも、最初は金融機関や保険会社を中心に回っていましたが、自分には合わないなと思ったので、次にメーカーを回り始めました。その中でニチレキを知りました。

ニチレキのホームページを見ると、「道づくり」という言葉がありました。私にとって道は、当たり前にあるもので、つくるものだとは思っていなかったので、それで興味を持ち、入社しました。入社当初は、なんとなく事務職か営業職だろうなと思っていましたが、とくにこの仕事をしたいというものはありませんでした(笑)。

上海の合弁会社に8年間出向

キビシイ姿勢で作業する澤さん(たぶん右、たぶん上海)

――入社してからどのようなお仕事を?

澤さん 最初に配属されたのが技術研究所で、そこから8年間ほど技術開発に携わってきました。その後、上海にニチレキと中国企業の合弁会社を設立されたので、立ち上げメンバーとして出向しました。この会社では、技術開発のほか、生産とか技術指導といった仕事を8年間やりました。昨年4月から再び技術研究所に戻り、研究を行っています。

――上海出向は平気でしたか?

澤さん 平気ではなかったですが(笑)、他の出向メンバーと団結しながら、「やっていくしかない」と思ってやっていました。

――8年間はけっこう長かったですね。

澤さん そうですね。立ち上げメンバーとしては一番長くいました。

――上海勤務で良かったことはありますか?

澤さん 現地の人に好意的に受け入れてもらったことですね。非常に親密になれました。そのなり方も日本人よりもグッと来る感じでした。自分の視野も広がったので、それが良かったです。中国語は、日常会話程度ですが、話せるようになりました。

――研究の中身はどんな感じできましたか?

澤さん ずっとアスファルト乳剤をやってきました。ほぼ一筋です。ずっと同じ材料の研究をやるのは、社内でも珍しいと思います。

――「シビルケミスト」について、どうお考えですか?

澤さん 細かく考えるところは化学の視点を持って、大きく考えるときは土木の視点を持つということだと考えています。原因追求は化学、現象把握は土木ということだとも言えると思います。私はまだそこまでいっていませんけど(笑)。

――大野さん、これまでどんなお仕事を?

大野さん 私も最初は技術研究所に配属になり、同じくアスファルト乳剤の研究に携わりました。5年目に静岡営業所に異動してからは、材料の試験や調査などを担当するようになりました。研究所のころと比べ、会社外の道路管理者さんやプラント会社さん、工事会社さんといったお客様と関わる仕事が非常に増えました。仕事の質も「狭く深く」から「広くほど良く深く」に変わりました(笑)。どちらも大変です。

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文系だったけど、技術系の仕事を任される

――硲さんは?

硲さん 最初の配属先が道路エンジニアリング部調査課という部署で、現在までずっと同じ職場です。配属されたときは、道路エンジニアリング部では、事務系の仕事ではなく、主に調査とか解析といった技術系の仕事を任されました。最初は仕事内容についてまったく知識がなかったので、ゼロから覚えていきました。

――文系の人が技術系の部署に配属されるのは、レアなことなんでしょうか?

硲さん レアみたいです。

――大丈夫でしたか?

硲さん 最初に配属先を伝えられたとき、道路エンジニアリング部という存在すら知らなかったので、自分で大丈夫かどうかすら、考えられませんでした(笑)。

――調査や解析の仕事とはどのようなものですか?

硲さん 例えば、道路管理者さんから路面性状調査業務を受託して、調査したデータをもとに、解析したり、コンサルティングなどを行うといったことです。道路エンジニアリング部だけでなく、現地担当の技術社員の方々と連携しながら行っています。私が担当してきたのは、データの解析の作業です。現場に行って作業をするということはめったにありません。

なにも知らない状態で、質問攻めにあう

――思い出に残っている仕事はありますか?

澤さん やはり、上海で会社を立ち上げたときですね。現地で一から試験機器を調達して、研究自体はわりとすぐに行えるようになったのですが、工場がまだ完成しておらず、合弁を組んだ中国企業が持っていた別の工場を使わざるを得ませんでした。

中でも、乳剤製造については、その工場は完全アナログのちゃっちい設備しかありませんでした。今となってみれば、そんな条件の悪い工場で、通訳を介して現地社員に指導しながら仕事をしたことが、強く思い出に残っています。

――メンタル的に大丈夫でしたか?

澤さん 大丈夫でした。ニチレキも、メンタルが強い社員ばかりを出向させたのだと思っています(笑)。

多忙極める感じで働く大野さん

――大野さん、思い出に残っている仕事は?

大野さん 私が静岡営業所に異動したばかりのときに、中部横断道の橋梁の防水工事の完了試験を担当したことです。防水に関してなにも知らない状態でいきなり担当したので、思い出に残っています。

会社としては私に経験を積ませるために担当させたと思いますが、他の会社の方々にしてみれば、ニチレキというメーカーから来たプロという感覚なので、なんでもかんでも質問されるわけです。非常に大変な思いをしました。「自分はメーカーの人間なんだ」ということを強く認識しました。お叱りを受けることもありましたが、最終的には感謝していただいたので、良かったです。人間的にも成長できたと思っています。

――例えば、どういう質問を受けたのですか?

大野さん 現場ということもあって、材料に関する質問の中でも適用条件や品質確保に関する質問が多かったです。弊社には「HQハイブレンAU工法」という高性能な防水工法があるのですが、コンクリート床版がどういう状態だったら施工しても良いのかとか、試験結果が悪かった原因はなにかといったことを聞かれました。

当時は、知識が足りなかったり、全ての現場に張り付いていたわけではないので、リアルタイムでちゃんと答えられないことが多かったんです。

――メンタル削られそうですけど、大丈夫でしたか?

大野さん 上司にいろいろなことを教えてもらいながら、何とか乗り切りましたが、とにかく大変でした(笑)。

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スマホによる舗装調査サービスを開発

おそらく「GLOCAL-EYEZ(グローカルアイズ)」で作業中の硲さん

――硲さん、思い出に残る仕事は?

硲さん 今もそうですが。新しい点検技術の企画提案に携わったことです。AIによる自動点検とか、遠隔点検といった技術開発です。最近では、東京大学などと共同で行ったスマホによる調査技術にニチレキの窓口として携わって、昨年7月に新技術としてリリースされたところです。

3年ほど前、スマホによる調査技術の開発がスタートした当初は、周りから「スマホで調査なんかできないよ」と言われましたが、途中から「使えそう」みたいな雰囲気に変わって、リリースにこぎつけることができました。

――スマホで画像を撮るのですか?

硲さん スマホで写真を撮って、その写真をもとにAIでヒビ割れなどを検知し、診断するシステムです。名称は「GLOCAL-EYEZ(グローカルアイズ)」 です。

――すでにサービスを開始しているのですか?

硲さん そうですね。すでにいくつかの自治体さんにはお使いいただいています。

社員の能力を認めて、ホメてくれる

澤さん

――ニチレキに入社して良かったと思うことを教えて下さい。

澤さん チャレンジすることに抵抗がないところです。社員がやりたいようにやれる環境があります。たとえ失敗しても、それなりのフィードバックがあれば、良しとする風土があります。そこがニチレキの一番良いところですね。

大野さん 澤さんと同じですが、いろいろなことにチャレンジさせてくれるところです。若い社員であっても、その能力を認めてくれるのもニチレキの良いところだと思います。社員それぞれ「この子はこれが得意だ」ということをしっかり把握した上で、仕事を割り振ってくれます。社員の能力を認めてくれて、ホメてくれる。そういうところが、ありがたいと思っています。

硲さん

硲さん お二人と同じになってしまいますが、新しい仕事なども、どんどん任せてもらえるところです。論文なんかも、学生のころよりも書いています。論文は、昨年の土木学会で発表しました。

「スゲーな」と思われる製品を開発したい

――今後やりたい仕事はありますか?

硲さん 私はずっと調査解析の仕事だけをしてきたので、いまさらほかの部署に行って、やっていけるのだろうかという不安が先に立ちます。これまでに自分が手がけてきたことを、ニチレキ社内に浸透させて、市場展開していかなければいけない。そんな気持ちでいます。

大野さん

大野さん ニチレキの製品には、業界の規格にない、新しい特徴、性能を付加した物があります。例えば、「シナヤカファルト」という製品は、舗装が壊れにくくなる非常に良い製品なのですが、多くの実験をもとにその効果を検証しています。私は、このような説明が難しそうな製品でも、その良さがパッと見てわかる資料をつくってみたいです。極端に言えば、小学生が見ても「これスゴいヤツだ」とわかるような資料を。

――転勤は苦にならないですか?

大野さん 苦にならないですね。実家に帰るのに大変でなければ、どこでも行ってみたいです。東北民なので、西日本はちょっとコワいですが(笑)。

――東北の人は「行っても東京まで」という人が多いみたいですね。

大野さん そうですね。実は静岡に来る前は、静岡を西日本だと思っていました(笑)。

――澤さん、今後やりたい仕事を。

澤さん 誰が見ても「これはスゲーな」と思われるような製品を開発したいです。海外でも通用するような製品をつくりたいと思っています。

――乳剤を使ってということですね。

澤さん そうですね。ここまで来たら、突き詰めてやろうという感じですね。

――いまさら異動させられても困る?

澤さん いや、本音では異動はしたいんですよ。日本国内の現場、営業所での技術営業をまったく経験していないからです。現場を知らないと、本当のことはわからないんじゃないか、常々そう思っています。現場に行って、視野を広げたいですね。絶対に広がると思っています。

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