生コン屋の配合ミスで、自宅謹慎になった主任技術者の悲劇

生コン屋の配合ミスで、自宅謹慎になった主任技術者の悲劇

悲劇!自宅謹慎に至った経緯

以前、『建設現場から”干された”話。主任技術者として大失態、数か月の自宅謹慎を経て』という記事を書きましたが、今回は、そもそもなぜ自宅謹慎になったのか?についてお話したいと思います。

当時私は、主任技術者 兼 現場代理人として、数千万の工事を担当していました。

その現場は一人現場で、工事内容は、橋梁上部工工事(PC上部工)で支保工を立てていき、型枠を張り鉄筋を組み、シースを入れてPCケーブルを挿入し、コンクリートを打設、PCケーブルを緊張して、余長切断し、後埋めして施工完了となる単純な工事でした。

打設方法がポンプ打設だったこともあり、打設当日は応援を頼んでいました。数量は大した量ではありませんでしたが、コンクリートの品質管理や発注者対応などで、私が現場全体を見れる状態ではなかったからです。

コンクリートの配合は40-12-20(H)膨張材入りで、レディーミクストコンクリート納入書には確かにそう記載されていました。当時は納入書の記載でしか確認しておらず、それが正解だと思っていました。

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生コン会社から「配合間違い」の連絡が入る

打設が終わり、いつもなら左官屋さんが表面を仕上げて終わるのですが、H(早強)にしては固まってくるのが遅くないか?との声があり、私も同じことを思っていた矢先、生コン会社から1本の電話が入りました。

「H(早強)ではなく、BB(高炉)の生コン車を行かせてしまった」と言うのです。

伝票では、確かに40-12-20(H)膨張材入りと記載がありましたが、生コン屋がプラント内での取り違えに気付かず、40-12-20(BB)膨張材入りを行かせてしまったとのことでした。

電話をしながら頭はフリーズ状態。綿密な打ち合わせをして、特にコンクリートの配合には注意して、生コン屋にはFAX・電話・メールで再三通知していたのですが、それでも起こってしまったミスでした。

コンクリート配合間違いをどう乗り切ったか

その後どうしたのか?というと、発注者に経緯を話した上で、現在の構造物は取り壊し、再度作り直すとのことで発注者の承諾を得ました。その翌日には、解体作業に向けての計画を練ることになりました。

解体計画書と作業手順書、下請契約書の作成をしたのちに、発注者に提出、解体作業へと入りました。解体作業では、コア削孔、フラットソー、ワイヤーソー、アンカー、ウォータージェット(橋脚部や施工目地部に使用)、コンクリート破砕など、様々な施工をして解体作業を行いました。

フラットソーとワイヤーソーでコンクリート断面を縁切りし、そこからコア削孔でコンクリート断面に穴を開け、そこにワイヤーを通して、移動式クレーンで吊り上げてダンプに積み込み、解体ヤードに運搬したのち、破砕作業という流れで対応しました。

解体後は、型枠を組んで、鉄筋を組んでシースをという流れになりますが、一度作ったものを解体してしまったので、予備の材料がありません。

この問題については、鉄筋屋の加工場に在庫(他の現場の鉄筋が私の現場と同一規格だった)があったため、加工などをフル稼働でしてもらい、各工種を2パティーで施工し、無理やり工期内で施工を終え、竣工検査までなんとかマンパワーでやり遂げました。

生コン屋のミスなのに、なぜか自宅謹慎に

その後、お金の問題で大いに揉めました(笑)。もともとは生コン会社の間違いだったので、ありのままを私は主張し、生コン屋もミスを認めました。

しかし、払える額ではなかったようで、その生コン屋はあえなく倒産…。すると、矛先が私へと向けられ、なぜか自宅謹慎させられることに。

謹慎理由は、H(早強)とBB(高炉)ぐらい見た目で分かるだろうということと、たまたまグループ会社だった生コン屋を倒産に追い込んだから、だそうです。理不尽にも程があると思いませんか?

自宅謹慎を経て、その後どうなったのかについては、前々回の記事を読んでいただければと思います。ウソみたいですが全部本当にあった話です。皆さんも同じような経験をしないよう、くれぐれもコンクリートの配合間違いにはお気をつけて。

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