労働時間の上限規制に約8割が未対応。【建設業の中小企業経営者 1,100人調査】

労働時間の上限規制に約8割が未対応【建設業の中小企業経営者 1,100人調査】

約半数が労働時間の上限規制に「対応する予定はない・何をしていいか分からない」

エヌエヌ生命保険株式会社は、建設業の中小企業経営の実態を把握するため、全国の建設業の中小企業経営者(※)1,100名を対象とする調査を実施した。

※従業員300人未満の規模の「会社経営者(社⻑、会⻑、取締役)」、または「従業員のいる⾃営業者」を中小企業経営者と定義。

まず、2024年4月から建設業に適用される労働時間の上限規制の対応状況について聞いたところ、「すでに適用準備ができている」はわずか約2割(22.5%)にとどまり、半数近く(47.0%)が「適用準備や予定はない・何をしていいかわからない」と回答。「今後適用準備する予定」(30.5%)と合わせると8割近く(77.5%)が現時点では労働時間の上限規制への適用準備ができていない状況が明らかとなった。

さらに、労働時間の上限規制への対応状況について総務省分類に基づいた事業詳細別に⾒たところ、「すでに適用準備ができている」の回答率の最多は、炉や窯の建設工事や熱絶縁、道路標識設置や井⼾の掘削などの工事を⾏っている「その他の設備工事業」(43.8%)。また、「今後適用準備をする予定」は「舗装工事業」(41.7%)、「適用準備や予定はない・何をしていいかわからない」は「大工工事業」(69.6%)が最も⾼い結果となった。

7割超が「ICT活用」に消極的

働き⽅や生産性向上に関する制度や施策の導入状況については、大多数の項目で「導入予定はない」という回答が最も多い結果となった。

また、「導入予定はない」という回答は、ドローン・ウエアラブルカメラなど「現場での ICT 技術活用」が 71.3%、「従業員管理の IT 化」(56.2%)、「書類のペーパーレス化」(48.7%)など IT に関連する項目が目⽴つ。

顧客理解が得られず、「週休2日制」や「適正な工期の設定」などが困難

導入が難しい働き⽅や生産性向上に関する制度や施策については、「週休2日制」(39.4%)や「適正な工期の設定」(26.5%)など、働き⽅とスケジュールに関連する項目の回答率が⾼い結果となった。

その理由は、「週休2日制」と「適正な工期の設定」は「顧客理解が得られないから」という理由が最も多く、どちらも50%超に。「現場での ICT 技術活用」では、「導入を主導できる人材がいないから」(47.4%)が最多となった。

「とび・土木・コンクリート工事業」でとくに若手人材の確保に課題

人材面での課題については、「若⼿人材の確保・人材の⾼齢化」(46.7%)、「人材の育成」(38.0%)、「人材の定着」(32.5%)となった。

とくに「若⼿人材の確保・人材の⾼齢化」をあげた回答率を事業詳細別に⾒たところ、最も多かったのは「とび・土木・コンクリート工事業」(69.1%)だった。

残業20時間未満×年間休日120日以上の施工管理求人特集[PR]

この記事のコメントを見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!
“最悪のタイミング”で始まった土木の働き方改革。「このままでは技術者のレベルが落ち、良い職人もいなくなる」
【カンタン解説】建設業の働き方は「法律的」にいつから、どう変わるのか?
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
【衝撃】民間工事で「4週8休以上」は”たった8.6%”。建設業界の週休2日はいつ実現する?
【衝撃】建設業従事者の7割が「残業規制を知らない」 建設業界の働き方改革はいつになったら始まるのか
施工の神様とは、株式会社ウィルオブ・コンストラクションが運営する、「現場目線」の情報を伝える新時代の建設メディアです。

建設業では、しばらくの間、現場の「生の声」が置き去りにされてきました。
長らく3Kと呼ばれてきた建設業は今、国土交通省主導による働き方改革やi-Construction、若手人材の確保育成、資格制度の見直し、地域防災の観点などから、大きな変革期を迎えています。
施工の神様は、施工に関する技術やノウハウ、体験の共有・伝承・蓄積という側面に加え、実際に建設現場で働く建設技術者・技能者の生の声を、建設業界および世間一般に伝えるという役割も積極的に担ってまいります。

個人・企業を問わず、取材してほしい方・執筆協力いただける方・PRしたいことがある方を募集しています。 お問い合わせはこちらへ。
モバイルバージョンを終了