建設現場で活躍する女性技術者
建設業界ではここ数年、女性技術者の活躍を耳にすることが増えた。
実際、私の会社でも女性技術者が2人働いているのだが、めちゃくちゃ活躍している。彼女たちはいずれも土木分野で、立派な戦力として活躍し、会社からも評価されている。
そんな彼女たちから話を聞く機会を得た。彼女たちの悩みを紐解くことで、女性技術者起用のヒントが見えてくるかもしれない。
女性技術者ならではの葛藤
「女性であるということに対して、現場で何か不便を感じたことがあるか?」と聞いてみた。
2人とも「ある」と答えた。共通していたことは、キャリアアップだった。
「表面上では平等に教えてくれるが、実際に教わる内容をもっとレベルアップしてほしいと感じる時がある。女性だから、将来結婚をして妊娠でもすれば、この仕事を続けていけないといったイメージがあり、なかなか重要なポジションで仕事をさせてもらえないことにもどかしさを感じる。確かに会社側からすれば、結婚・出産をして働けなくなることはダメージだし、そこに対するリスクヘッジも十分理解できるのだが、みんながみんなそうではないと思う。私たちのように、建設業界で所長としてバリバリやっていきたいという女性もいるんです」
ハッとさせられた。
私自身、女性技術者と聞いて、『将来結婚や出産をして施工管理というポジションからは離れていくんだろうな』と勝手にイメージを持ってしまっていたからだ。
男性の意識を変えることが最優先?
建設現場でも女性技術者は活躍できる。これは今一緒に働いている女性技術者の2人が証明してくれた。
彼女たちが現場にいてくれて本当に助かっているし、彼女たちのような女性技術者がもっと活躍できる業界になってほしいと思っている。
一方で、彼女たちがどれだけ努力しても、現場で埋められないハンデがあることも事実だ。力仕事は女性にとってはどうしても限界があるし、男性側はそれを手助けしながら仕事をしなくてはいけない。壊せない壁がある。
だからといって、やっぱり建設現場で女性が働くことは無理だと言っているわけではない。女性でも建設現場で十分活躍できると私は思っている。では、どうしたらいいのか?
それは、適材適所で考えればいいだけだ。女性の得意な分野を把握して、その業務の専任として働いてもらうことができれば、業務効率化もできて、現場も上手く回る。
例えば、事務処理が得意な女性であれば、施工管理が行っている書類作成を担ってもらうことで、自分は現場に集中したり、他業務に専念することができる。
女性技術者は今後、間違いなく建設業界にとってスタンダードな存在になる。
しかし、その足かせになっているのは、我々男性の、女性差別とまでは言わないが、女性の働き方を勝手に制限してしまっていることだと思う。
建設現場を女性が働きやすい環境にするためには、制度や設備の充実だけではなく、我々男性の意識を変えることが最優先なのかもしれない。