「東京 MRe.テクニカルベース」で解説する、タカラスタンダード 東京支社 工務センター 東京工務課長の三谷悟氏

【タカラスタンダード】業界唯一のマンションリフォーム特化型拠点で、現調のポイントを習得

システムキッチン・バスを中心とした住宅設備機器メーカー・タカラスタンダード株式会社(大阪市城東区)は、首都圏のマンションリフォーム分野を強化する。

従来の墨田ショールームを「東京MRe.墨田ショールーム」と改称。首都圏でのマンションリフォームの主要拠点として位置づけ、全面的にリニューアルした。2階にマンションリフォーム特有の現場を再現した研修施設「東京MReテクニカルベース」を新設した。実際の現場では見られない壁構造や配管状況などをガラス張りにして目に見える形で再現。リフォーム前の現場調査方法、留意ポイントや設備配管などの納まり知識の習得ができる施設となっている。

タカラスタンダード 東京支社 工務センター 東京工務課長で、東京MRe.テクニカルベースで講師も務める三谷悟氏は、「タカラスタンダードは、首都圏でのリフォーム売上げ拡大が重点課題の一つ。そこで営業体制の見直しやショールームの強化などに取り組んできた。マンションリフォーム市場を拡大していく上で重要となるのが施工力。そこで施工店や流通店が当社商品の知識や工事力を身につける研修施設の設置がポイントとなるため、今回、新たに開設することとなった」と語る。

首都圏での営業体制の強化へ

――タカラスタンダードでは、2022年4月に「横浜トレーニングベース」、2023年6月に「大阪トレーニングベース」と研修施設を展開されてきましたが、新たにマンションリフォームに特化した「東京MRe.テクニカルベース」を新設された理由は?

三谷悟氏(以下、三谷氏) 前提として、東京とその周辺はマンション比率が高いことにあります。東京都はマンション化率が全国トップで、2021年末時点でマンションストック戸数は約197万戸と、全国でも最も多い数字です。そのため、首都圏でのマンションリフォームや住設機器の市場拡大に対応するには、施工力の強化が求められています。

従来、当社は地方に強かったのですが、近年では首都圏での営業体制の強化とともにショールームの強化も行っています。最近では東京都・足立区の足立ショールームを2018年に新設、直近では2021年に新宿、大田をリニューアルするとともに、埼玉県・川口ショールームを移転しリニューアルオープンしています。

そして、首都圏のマンションリフォームの拠点として、墨田ショールームの1階を「東京MRe.墨田ショールーム」と改め、2階をマンションリフォーム専用の研修施設「東京MRe.テクニカルベース」という構成にリニューアルしました。他のショールームは浴室、キッチン、洗面、トイレと総合的に幅広いバリエーションで展示していますが、この1階のショールームはマンションリフォームに特化し、マンションに納まる商品を展示しています。2階はマンションリフォームの訓練に特化した施設です。首都圏で好調なマンションリフォーム市場を拡大していくため、この施設を開設しました。

――マンションリフォーム市場が活性化している背景は?

三谷氏 マンションの経年によりリフォームの必要に迫られていることが大きいですが、投資家の関心も高くなっています。中古マンションにリノベーションを施し、分譲や賃貸によって収益を上げるビジネスモデルが流行しています。また、建築業界としても戸建て住宅工事市場が年々減少している中で、販路の拡大としてリフォーム工事への注力が挙げられます。こうした背景により、マンションリフォーム市場は東京に加えて大阪などの大都市ではまだこれからも伸長すると見ています。

壁構造や配管状況をガラス張りにし、事前現場調査を研修

――「東京 MRe.テクニカルベース」では、どのような研修を行っているんですか?

三谷氏 マンションに特化したリフォームの事前現場調査ができることが第1の特徴です。マンション構造を学んでいただけるよう、実際の現場では見られない壁構造や配管状況などをガラス張りにして目に見える形で再現しました。代理店や販売店などの入社したての若手営業の方は、リフォーム前の現場調査方法や留意ポイント、設備配管などの納まり知識の習得ができます。すでに、ある程度詳しい方に対しては商品のポイントを含めて解説しています。事前現場調査のポイントを吸収すれば、商品の理解が進み、売込みにも力が入ります。

研修施設には事前現場調査を会得するためにさまざまな工夫がある

また、当社の「横浜トレーニングベース」と同じように、浴室などの設置、下見管理の研修をこちらの施設でも同様に行い、ランクとしては上級者向け・初級者向けに分けて設定しています。現場調査研修は、1日と半日コースに分けています。2022年5月にオープンしていますが、来場者数は首都圏を中心に約3,000名となっています。

――マンションリフォームにおける施工の難しさはどこにあるのでしょうか。

三谷氏 戸建て住宅のリフォームでは建物を商品に合わせることが可能です。もし商品が若干大きければ柱を削るか、下を掘るなどの対応ができます。しかしマンションの躯体を削ったりすることはできませんから、構造を知った上での商品提案が大切になります。ですからマンションの構造や商品知識を知ることがリフォームする上で重要です。

――施工は主に協力会社が行うと思いますが、改めて施工体制を教えていただけますか。

三谷氏 当社には各母店で協力会があり、東京でも「東京タカラ協力会」を設置しています。まず、「【タカラスタンダード】施工士人材育成へ”体験型トレーニングベース”を開設」の記事でも紹介いただいたように、当社のキッチンや浴室を組むには、まず研修後に認定を受けることがスタートです。

現在、当社の東京支社と専属契約し、発注している施工店は約35社です。こちらに対しては安全対策、施工の更新研修などで指導のほか、2か月に1回の支部会を開催したり、年1回に安全大会や更新研修を実施するなど密な連携を持っています。流通店はテクノショップという扱いになり、キッチンなどの研修を受講されれば、組み立てることが可能です。テクノショップはご自身で受注した案件を施工します。

――研修施設と合わせて、1階のショールームでも新たな商品提案のアイディアが生まれそうですね。

三谷氏 マンションリフォームでは、構造上、梁欠きや柱巻など、現場ごとに異なった対応が求められるため、商品知識が大きなポイントになります。東京MRe.墨田ショールームでは、他の総合ショールームでは展示しきれない細かい事例をご覧いただけます。例えば、キッチンコーナーでは既設配管対応やディスポーザー設置などの展示を用意していますが、さまざまなケースに合わせた展示をご覧いただくことで、「ホーローでもここまでできる」ということが視覚的に理解できます。浴室コーナーでも当社独自の「ぴったりサイズシステムバス」のほか、マンションリフォーム向け商品の全サイズを展示しています。ドア位置の変更、梁欠き対応など、マンション浴室のリフォームで最も制約の多い現場を想定した展示も行っており、幅広いお悩みを解決する提案が可能です。実際の商品も見ていただくことで、エンドユーザーに対して新たな提案が生まれることを期待します。

浴室コーナーでは、マンションリフォーム向け商品の全サイズを展示

――今後、販売を強化していく商品は。

三谷氏 2022年夏に中高級シリーズのシステムバス「GRANSPA(グランスパ)」を発売しましたが、当初から売り上げは伸びており、現在も好調に推移しています。また、ホーローシステムキッチンのフラッグシップモデル「レミュー」をモデルチェンジしました。世界初となるホーロー3Dインクジェット印刷技術を用いたデザインや、より家事を楽にする機能を盛り込み、これまで以上に高品質で高級感のあるキッチンへと生まれ変わりました。首都圏ですとデザインにこだわる方も多いので新技術を含めたデザイン性向上が起爆剤になっています。

中高級シリーズのシステムバス「GRANSPA(グランスパ)」

タカラスタンダードの商品が好き。施工面から普及に尽力

――これから、施工店の取り合いも激しくなると思います。

三谷氏 おっしゃる通り、施工店の拡大も必要になりますから、職人さんには「エンジニアリングをやりませんか?」と提案しています。施工者の高齢化が避けられないため、少しでも多くの施工エンジニアを獲得することが目的です。以前は当社の商品の構造が他社と異なることから、「タカラはやらない」と断られるケースもありました。当社ならではの知識がないと組めないとなると、育成にも時間がかかりますから。そのため、2018年と2020年に施工しやすいように構造を変更し、現在は組みやすい商品に変わっています。

当社の強みであるホーローは水や汚れに強いため、水回りにはいい商品です。当社の部材をかけ合わせればいいおさまりが実現しますので、テクニカルベースでの研修を通して、新規エンジニアの獲得にもつなげていきたいと思います。

――「横浜トレーニングベース」「大阪トレーニングベース」、そして「東京MRe.テクニカルベース」と出そろいました。今後についての意気込みをお願いします。

三谷氏 「横浜トレーニングベース」の開設にも関わっていたのですが、西日本も含めた全国からたくさんの研修者が来られたので安心した記憶があります。その後、需要に対応するかたちで大阪にもトレーニングベースができましたが、依然として全国から研修希望者がいらっしゃるので、予約が取りづらいことは申し訳なく思うと同時に、非常にありがたく思います。

私はタカラスタンダードに新卒入社し、約20年が経ちました。13年前までは、埼玉で自分の現場を持ち、施工管理もしていました。私はタカラスタンダードの商品が大好きなので、少しでもタカラスタンダードの商品が普及するよう、施工面からこれからも後押ししていきたいですね。

施設概要

東京MRe.テクニカルベース

所在地:〒131-0032東京都墨田区東向島3-39-3 2階
延床面積:約217m2

東京MRe.墨田 ショールーム

所在地: 〒 131-0032 東京都墨田区東向島3-39-3 1階
延床面積:336m2
TEL / FAX: 03-5631-5190 03-5631-5193
営業時間:10 00~17 00(休み:水曜日・木曜日・ GW・お盆・年末年始)
オープン:2022年5月14日
主な展示内容:システムキッチン10セット、システムバス11セット、洗面化粧台9
セット、トイレ2セット、エマウォール他

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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