システムキッチン・バスを中心とした住宅設備機器メーカー・タカラスタンダードは2022年春に、今後のリフォーム需要への対応力強化も含めた施工基盤づくりをねらいに、施工力増強・確保に向け、神奈川県・横浜市に「横浜トレーニングベース」を開設した。全17コースにおよぶ研修を2022年4月から開始している。
今は新築だけではなくリフォーム業界も同様に担い手確保・育成は待ったなしの状況にある。しかし、建設現場でしっかりとした指導が受けられない若手技能者が現場の入り口で戸惑い、挫折して建設業界を去ってしまうケースが後を絶たない。
「横浜トレーニングベース」は基本の「キ」を体験型で学べ、育成面で大きな期待を寄せられている。今回、講師をつとめている、同社営業本部営業推進部工務グループの橋本幸洋さんに話を聞いた。
拡大するリフォーム需要への施工力向上を狙う

「横浜トレーニングベース」で講師をつとめる橋本幸洋さん
――2022年春に「横浜トレーニングベース」を開設されましたが、その意図は。
橋本 幸洋さん(以下、橋本さん) 当社独自の「高品位ホーロー」は、清潔で頑丈な水回りに最適な素材です。ただ一方で、キッチンや浴室のホーロー壁パネルは現場でサイズに合わせた加工を行うため、当社製品に対する特有の知識・技術が必要になります。そのため、ホーロー加工を伴う商品の設置は、当社が認定した施工士が行います。
この施工士の資格取得をするためには、当社が定める施工士認定制度による認定を受ける必要があります。これまでは、各事業所が実施する研修を受講していただき、商品や設置の知識が基準を満たした方を施工士として認定してきたのですが、今後さらに拡大が見込まれるリフォーム需要への対応に必要不可欠な施工力を増強するため、専用の研修施設「横浜トレーニングベース」を設けました。短期集中で商品設置について基礎からしっかりと学んでいただける研修場を設定し、研修完了後には各事業所に戻り、現場実践研修に引き継ぎます。
研修は基礎的な内容から、スキルアップ向上までを網羅
――「横浜トレーニングベース」では、どんなことを教えているんですか?
橋本さん 「横浜トレーニングベース」での研修には、「商品設置」が14コース、「下見管理」が3コースの全17コースがあります。初めてタカラスタンダードの商品に触れる方向けの基礎的な内容から、すでに 一定レベルの経験のある方がスキルアップを図れる応用的な内容まで、それぞれのレベルや需要に合わせたコースを選択してもらって、2~5日間のカリキュラムで時間をかけてじっくりと研修を行っていきます。
商品設置コースでは、システムバス(8コース)、システムキッチン(4コース)、ホーローパネル(2コース)の組み立て方法を含めて、現場で行う加工を一から実体験できる内容となっています。できる限り一度の受講人数を絞っているので、参加者全員が全工程を経験できるようコース設計しています。
下見管理コースは、図面の見方や現場でのルールやマナーなどの基礎知識に加えて、商品設置前に現場で行う納まりの確認など、実際の下見採寸に関する実習を行います。
また、施設には木造住宅に多い在来工法や2×4工法という建築工法を想定したシステムバス什器も備えています。現場ごとに異なる構造や条件にも柔軟に対応できるよう、現場さながらの充実した組み立て実習が経験できます。