施工管理は「自由」な仕事
僕は、施工管理という仕事が「自由」だと感じています。それはどこまでもサボることもでき、どこまでも突き詰めて極めることもできるから。やるべきことがあいまいで、なのに決められていることが多いともいえるからです。
仕事の量もそうですし、質もそうです。采配する人間の考え方ひとつで、ブラックにもホワイトにもなり得る。実は、現場で起こる事全てにおいて、思い通りにコントロールできる仕事だともいえるように思います。
過去、幾人もの所長の下で働いてきました。その中で、とても対照的だった2人の所長のお話をしたいと思います。
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対照的だった2人の所長
1人目の所長は、全く現場にいない所長でした。他の現場が忙しいというわけではなく、ただ謎にいないのです。わずか1~2時間現場に来たかと思えば、事務所でマンガを読んでいる状況。本当に何もしていない所長でした。
にもかかわらず、部下についた僕が大変なのかと言えばそうでもなく、気が付けば現場は進み、それなりに建物は完成に向かいます。職人さんは文句を言いますが、それでもきちんと竣工し、現在でも大きなクレームはありません。
2人目の所長は、朝早くから完璧に点検をしてから朝礼に向かうことを強いられます。進捗も品質も、チェックにつぐチェック。部下についた数人の監督全員が、毎日午前2時まで残業をし続ける、そんな現場でした。
それはそれで職人さんの文句も多くなります。少しでも良くないところがあれば容赦なく壊し、修正をさせられるからです。ひいひい言いながら現場は進み、高品質の建物はきっちり竣工、現在でも大きなクレームはありません。
これは尾ひれを付けない状態での実話であり、僕が「どこまでもサボることもでき、どこまでも突き詰めることも可能」と言っている意味、分かっていただいたでしょうか。結局どちらも建物は完成し、クレームもないのが事実なのです。
「どこまでやるべきと考えるか」によって仕事量は決まる
例えば、職人さんが窓がつけたとしましょう。
その後ろから、自分でさげふりを降ろし、スケールでチェックすることもできます。抜粋したいくつかをチェックすることもできますよね。特にチェックをせず、誰かに指摘を受けたときだけ対応する、そんな現場もあるのではないでしょうか。
人によって、その考え方によってこれだけ違うわけです。つまり施工管理の仕事量は、「どこまでやるべきと考えるか」によって決まると言えるのです。そもそも施工管理の仕事範囲は、施工管理自身が作っています。
だって「派遣」という制度がある以上、施工管理の仕事ですら、外注が可能なわけですから。職人さんが帰るまでいなきゃいけない、というのも価値観です。住宅の現場監督を見ればわかるでしょう。法的にどうのというよりも、現実的にそうしているのです。
今回は、別にその良し悪しを言いたいわけじゃありません。施工管理の仕事って、思っているよりもずっと自由でしょ?と言いたいのです。
他では考えられないくらい自由な仕事
若くて「苦しい」と思う人は、きっとまだやらされ仕事になっているからでしょう。自分で決められないなら、窮屈なはずです。中堅になって「苦しい」と思う人は、ちょっと頭が硬い人かもしれません。そうじゃないとだめだと思い込んでいるから。
良くも悪くも、そのラインを自分で決めることができる職業だという意味では、他では考えられないくらい自由な仕事と言えると思います。サボる選択も、成長する選択も。残業するもしないも。
それぞれ人によって考え方が違い、管理の方法は様々です。もちろん会社の規定や、外してはいけない一線もあるでしょう。ですが、それも「やらない」と決めることもできるはず。
自分が何を良しとするのか。どこが最低限のラインなのか。時代と共に変わってきた技術や考え方を、柔軟に見つめることが、もしかしたら業務改善の糸口なのかもしれません。
※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。