株式会社オープンハウスグループ(福岡良介社長)のグループ会社である株式会社オープンハウス・アーキテクト(長井光夫社長)は、注文住宅の建築工程をアニメーションで可視化し、施主へ届ける新サービス「TATETA(タテタ)」をリリースした。
同サービスは、自社開発の施工管理アプリ「Architect Jump」で培った高いIT技術を、初めて一般顧客向けに転換したもの。建築状況をリアルタイムに反映し、住宅が建っていく様子をSNS感覚のアニメーションで楽しめる画期的なコミュニケーションツールだ。
4月9日、東京都世田谷区の「LIFE DESIGN PARK 三軒茶屋」にて、「TATETA~施主の現場に行けない“不安”を“ワクワク”に変える建築DX」と題した記者発表会が開催され、同社DX推進部の田中健次次長が登壇して解説した。
現場のリアルをアニメで楽しむ、SNS感覚の新サービス
従来の家づくりでは、設計完了から引渡しまでの間、顧客が進行状況を知るためには、自ら現場へ足を運ぶか、送られてくる工事写真で確認するしかなかった。しかし、共働き世帯の増加などライフスタイルが多様化する現代において、頻繁な現場訪問は容易ではない。「家づくりの状況が見えない不安」は、注文住宅における大きな課題だった。
その不安を解消し、納得と安心に変えるのが「TATETA」だ。本サービスでは、屋根や家の形状、カラー、階数、バルコニーの有無など、顧客の住宅の特徴に沿ったイラストで建築過程をシミュレーションし、わが家の成長を視覚的に再現する。着工前から引渡しまでの全9工程の進捗に合わせてミニチュア風のイラストや背景が変化し、大工や業者のキャラクターが可愛らしく動くことで親近感を醸成する仕組みだ。
ミニチュア風の住宅イラストが工事進捗にあわせ変化する
さらに「おうちアルバム」機能では、現場監督からリアルタイムに共有される現場写真により、現地に行けなくても最新の状況を確認できる。また、建築知識がない施主でも「今、何をしているのか」を正しく理解できるよう、アニメーション内の「?」マークをタップすると専門的な工事内容を写真付きで分かりやすく解説する「工程詳細解説」機能も備えている。
現場と顧客つなぎ、家づくりを楽しめる仕組みを構築する
このほか、手続きに必要な各種資料を一覧表示してアプリからいつでもダウンロードできる機能や、進捗画面を家族や友人と簡単にシェアできる「SNS共有機能」など、多角的な機能で施主をサポートする。
オープンハウス・アーキテクト「TATETA(タテタ)」PR動画 / YouTube(株式会社オープンハウス・アーキテクト)
現場監督の「手紙」が繋ぐ、デジタルと体温の融合
特筆すべきは、デジタルツールでありながら「人の温もり」を感じさせる機能だ。「TATETA」には、実際の工程進捗(パーセンテージ表示)と連動したアニメーションに加え、現場監督からの「手紙(メッセージ)」が届く機能がある。
通常、施主が日常的に接するのは営業スタッフであり、現場スタッフとの距離はそれほど近くない。田中次長は「対面で施主とお会いするのは営業スタッフがほとんどですが、工事の進捗だけでなく現場監督の人柄まで手紙から知っていただき、『こんな人が担当してくれているんだな』と身近に感じてほしいという想いでこの項目を設けた」と語る。
現場のエコシステム構築から「顧客体験」のアップデートへ
登壇した田中次長は、金融系SIerで銀行システム基盤やモバイルアプリのアジャイル開発を経験後、2020年に同社へ入社。木造事業部のシステムを中心に開発責任者を務め、「現場の今を届けるエコシステムをいかに構築するか」に注力してきた。
「TATETA」の開発背景には、田中次長自身の実体験に基づく「顧客体験(CX)」への着目がある。問い合わせから契約、仕様決めまでは営業スタッフとの打ち合わせがあるものの、いざ施工が始まると途端に連絡が少なくなり、現場の状況が分からないことが施主の不安を増幅させていた。
「ちゃんと施工されているのか不安に思い、自ら現場に足を運んで確認するお客様も少なくない。契約後のサービスでも満足してほしいと願う中で、住宅工事の進捗をアニメーションで確認できるソリューションには確かな手応えを感じていた」(田中次長)。アニメーションを採用した理由についても、「なじみやすさと、どんな環境でも見られるため」と語る。リリース時は、年間約300棟の注文住宅施主への提供を予定している。
木造×ゼネコンの「二刀流」と、「建築に、革新を。」のミッション
同社の成長を支える根底には、「建築に、革新を。」というミッションがある。1991年に「株式会社アサカワホーム」として創業し、2015年にオープンハウスにグループ入り(翌年現社名へ変更)。従業員数は当時の約300名から1,064名(2026年4月時点)へと拡大し、売上高は1,065億円(2025年10月期実績)を誇る総合建築企業として全国規模で事業を展開している。
その強みは、個人向け注文住宅から法人向け木造建築、さらにはRC造マンションなどの総合建築まで、あらゆる建築ニーズに対応できる幅広い請負体制にある。高度な専門技術と強固な管理体制を備え、建設会社としては珍しい「木造」と「ゼネコン(RC造マンションなど)」の二刀流で多くの顧客の要望に応えているのだ。木造事業の累計完工棟数は約5万6,000棟に達し、ゼネコン事業の成長率は直近4年間で694%を記録。今後はゼネコン事業単体で年間70現場以上のRC造施工案件(10億〜20億円規模のハイグレードマンション施工など)を手掛けるなど大幅に強化していく方針だ。
そして、この成長を支える6つの強み(①品質管理の徹底による「高品質の追求」、②厳格なコスト管理による「好価格の実現」、③各事業プロセスでの「スピードの追求」、④様々な要望に対応する「設計・デザインの追求」、⑤提案からアフターサービスまでの「顧客満足度の追求」、⑥属人的な管理を逸脱する「生産性の追求」)を実現する源泉の一つに、徹底したDX戦略がある。
木造住宅分野での技能者の高齢化や人手不足に対し、2021年から自社開発の施工管理アプリ「Architect Jump」を導入。工期13%削減、出戻りコスト80%削減といった生産性向上を実現した。「現場の技能者や監督の視点を重視し、全年代が使いやすく、わかりやすい操作性を追求した結果、社内のリアルタイム更新率は99%、社外の技能者の利用率は80%という高い浸透率を達成している。高齢の大工さんからも『他のアプリは理解できないが、Architect Jumpは操作しやすい』と好評だ」と田中次長。
この「Architect Jump」シリーズを通して培った現場管理にかかわるリアルタイムなデータ連携技術の確実な基盤があったからこそ、「TATETA」という施主向けのコミュニケーションツールへと昇華させることができたのである。
注文住宅から建売へ、広がる「家づくりの透明化」
今後は、オープンハウス・アーキテクトへ建築請負をする不動産事業者へ向けて、「建売物件」の進捗状況についても同様に「TATETA」の展開を予定しており、事業者のみならずエンドユーザーへも建築過程の透明性を高める方針だ。
また、基盤となる「Architect Jump」においても、アプリでの入退場管理機能を開発。現場の負担軽減と入退場記録のデータ化を実現し、滞在作業員の可視化や、将来的には熱中症などの自動注意喚起機能も実装予定だという。
現場の鼓動をアニメーションで可視化し、施主の不安を「ワクワク」へと昇華させる「TATETA」。自社開発アプリで培った鉄壁の技術を顧客体験へ転換し、透明性の高い家づくりを具現化した。デジタルな進捗管理と現場監督の温かな「手紙」が交差するとき、住まい手と造り手の絆はより深化していくだろう。

